〈小3〉1学期の「総合的な学習の時間」指導アイデア

3年生の1学期におすすめの「総合的な学習の時間」の指導アイデアを紹介します。文部科学省編著『今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開(小学校編)』(アイフィス)の作成にも協力した、神奈川県公立小学校指導教諭の荒木昭人先生が解説します。

執筆/神奈川県公立小学校指導教諭・荒木昭人

総合的な学習オリエンテーションを行い、どんな学習なのかを共有する

3年生になった子供たちは、初めての総合的な学習にワクワク・ドキドキしていることでしょう。また、「何をするのかな?」と不安になっている子供もいるかもしれません。

そこで、総合的な学習の時間とはどんなことをする時間なのか、子供たちに伝えましょう。

①4年生にインタビューする

前年度に「どんな学習をしたのか」「どんな人と関わったのか」「どんなことを学んだのか」などについて、4年生にインタビューをします。

国語科の「話すこと・聞くこと」の学習と関連付けて指導したり、総合的な学習の時間の「情報の収集」の場面として位置付けたりすることも考えられます。

②映像資料を活用する

総合的な学習の時間の様子が記録されている映像資料を視聴することで、総合的な学習の時間で大切にしている「探究のプロセス」のイメージがもてるようにします

例:NHK for school「ドスルコスル」

探究のプロセスがイメージできる場面では、途中で再生を止め、子供たちに対して「どんなことをしている場面ですか?」などと問いかけ、その活動の意図を考えられるようにしましょう。

子供の思いや願いからスタートさせる

総合的な学習の時間は、単元の立ち上げが重要です。立ち上げを工夫することで、子供たちの意欲の高まりも大きく変わってきます。ここでは、その立ち上げの工夫について紹介します。

教科の学習から総合的な学習につなげる

ここでは、社会科の学習で「昔の道具・暮らし」を調べる活動を行った子供たちが、お囃子に興味をもったという例で説明していきます。

「昔の道具・暮らし」を調べる中で、お囃子で使う道具や楽器を見付けて、興味をもった子供たちは、 道具に触ってみたり、楽器で音を出したりすることを通して、 「お囃子についてもっと調べてみたい」「お囃子を実際にやってみたい」という願いをもちます。

社会科の「昔の道具・暮らし」を調べる学習で、「お囃子」についてまとめたもの。
社会科の「昔の道具・暮らし」を調べる学習で、「お囃子」についてまとめたもの。
お囃子に使われる「あたりがね」に興味をもち、手に取って音を鳴らしてみる子供。
お囃子に使われる「あたりがね」に興味をもち、手に取って音を鳴らしてみる。

このように、教科で「調べたい」「やってみたい」という思いや願いをふくらませ、そこから総合的な学習の時間をスタートさせるという方法が考えられます。

プロとの出会いで、活動の意欲を高める

総合的な学習の時間で重要となるのは、「人との出会い」です。どんな人に、どのように出会うのかによって、その後の学習活動が大きく変わってきます。

例えば、地域で子供たちにお囃子を教えていたり、実際にお祭りでお囃子の演奏をしていたりする人たちに来校してもらい、お囃子の演奏を見せてもらう機会を設けます。

お囃子のプロたちが来校し、体育館で実演。
お囃子のプロたちが来校し、体育館で実演。

目の前で本物の演奏や獅子舞の動きを見た子供たちは、「かっこいいな」「自分もやってみたいな」という憧れを抱き、高い意欲をもって学習活動に取り組むことにつながっていきます。

プロから獅子舞の扱い方や踊りを教えてもらう子供。
プロから獅子舞の扱い方や踊りを教えてもらう子供。
お囃子のおかめ・ひょっとこ踊りをプロから教えてもらい、体験する子供たち。
お囃子のおかめ・ひょっとこ踊りをプロから教えてもらい、実際に体験。

諸感覚を生かした体験から、取り組むべき課題を見付ける

総合的な学習の時間では、体験活動を重視しています。発達段階を考慮すると、特に3年生の学びの充実には、体験活動をどのように位置づけるかが重要です。諸感覚を働かせたり、組み合わせたりする体験活動を設定することで、そこで気が付いたことなどを整理していくうちに、取り組むべき課題が見えてくる場合があります。

地域の川の調査活動を行う子供たち。
地域に流れる川についての調査活動を行う。

スタートした学習体験をより探究的にするための工夫

無事に単元がスタートした後は、子供たちの思いや願いが連続的につながっていくような工夫が必要です。ここでは、子供たちが主体的に表現したり、その表現を教師が整理したり蓄積したりする工夫について紹介します。

体験活動などを通して気付いたことや考えたことを表現し合う活動を設定する

体験活動や調査活動を行った後、そこで気付いたことや考えたことについて、グループや学級全体で話し合うことによって、気付きなどが共有されたり、その後に取り組んでいくべきことについての見通しがもてたりします。

ここからは、地域に流れる川についての調査活動を例に説明します。

〈川のきれいさについて調査活動した後の話合い活動の様子〉

〇〇川についての調査活動を終えて、分かったこと・感じたことを話し合いましょう

〇〇川を調査したら、奥の方にゴミがけっこう落ちていたよ。1位はカン、2位はビニール袋、3位はペットボトル。ゴミが奥の方にあるのは、ゴミが流れるからか、こっそりと誰かが捨てていくのかな。あと、深さを調べたけど、場所によって違って30cm~50cmくらいだった

私は同じ地域の××川に生息する昔と今の生き物について調べた。昔はコイやウナギ、ドジョウやザリガニがいたんだって。でも今はウグイ、ドジョウ、アユがいるということが分かった

僕も川にいる生き物について興味をもったので調べたよ。おじいちゃんにきいたら、昔、××川は今よりきれいだったようで、たくさんの種類の生き物がいたけど、今はその半分くらいになってしまったんだって

今回は〇〇川のきれいさや落ちているゴミとかについて調べたけど、今度は〇〇川にすんでいる生き物について調べてみたいな

賛成。川のきれいさを調査するための「指標生物」というのがあるらしいので、見付かった生き物を記録しておいて、「指標生物」なのかを調べるといいと思う

子供の振り返りや話し合った内容などを記録し、蓄積する

子供たちは学んだことを様々な方法で表現をしていきます。その表現を可視化し残していくことが重要です。そうすることで、子供自身がこれまで行ってきた学びのつながりを実感するとともに、表現することの価値を自覚し、表現活動に対しての意欲も高まっていきます。

①話合い活動での学びを整理した板書

「川の生き物探し体験」の後に行った話合い活動の板書。
「川の生き物探し体験」の後に行った話合い活動の板書。白ぬり部分には、ネームプレートが貼られている。
振り返りの話合いを構造化した板書例。
振り返りの話合いを構造化した板書。

②絵地図や写真を活用した教室環境

絵地図や写真を活用した教室掲示
地図に写真や資料などを貼り付けて掲示するのも、子供が思考を整理するのに効果的。

③学級通信

学級通信 総合的な学習「地域に流れる5つの川を調べよう!」

評価のポイント

数種類の振り返りカードを準備し、そのカードを使い分けるのも一案です。例えば、1枚に複数回の振り返りが書けるようなカード〈資料1〉、短い時間で簡単にできる振り返りを日常的に繰り返したい場合はA5サイズの小さめのカード〈資料2〉など、評価したい場面や資質・能力に応じて使い分けましょう。

複数回が書ける振り返りカード。
〈資料1〉複数回が書ける振り返りカード(ダウンロードは以下をクリック)
短時間で行う日常的な振り返りに使う振り返りカード
〈資料2〉短時間で行う日常的な振り返りに使う振り返りカード(ダウンロードは以下をクリック)

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