自動で席替え・バーコードで宿題チェック 便利アプリ2選【先生が開発!】
GIGAスクールの波がやってきて、授業や校務で日常的に使うようになったICT。校務の効率化に役立ってほしいICTですが、まだまだ現場の多忙解消につながるツールはそろっていません。ならば、自分で作ってしまえ!と、IT企業では及ばない便利アプリを開発している先生もいます。
現場発の手から喉が出るほどほしかった便利アプリを2つ紹介します。
目次
便利アプリ①「席替えメーカー」
大学卒業後に中学校の教員になり、現在はWebエンジニアとして働いている寺井省吾さん。教師が児童生徒一人ひとりと向き合うことに、より多くの時間を費やすことができるよう、自分の勤めている学校だけでなく日本中の教師の方の業務を改善したいと考えました。
そんな寺井さんが自ら考案して作り上げた「席替えメーカー」は、児童生徒の名前と条件を入力するだけで座席の配置を瞬時に形成してくれる超便利なウェブアプリです。パソコンとタブレットのブラウザ上で使用できます(スマホは画面が小さいため、座席配置が適正に表示されません)。
↓ウェブアプリへのアクセスはこちら
https://sekigae.jp/
↓アプリの詳しい使い方と機能の紹介はこちらから
https://note.com/krpk1900/n/n4453088b89dd
様々な条件付きの席替えが可能!
既存の席替えアプリはランダムなシャッフル機能だけのものが多かったですが、「席替えメーカー」では以下のような様々な条件を考慮した席替えが可能です。
- 目が悪い児童生徒を最前列に配置したい
- 教室に入りにくい児童生徒をドアの横に配置したい
- 相性の良くない児童生徒同士を離して配置したい
- 勉強が苦手な児童生徒の横にサポート好きな児童生徒を配置したい など
基本の使い方
1. 全体の形と班の形を入力する
まず、全体の座席の形を選択。班の形も変えることができます。
2. 今の座席に児童生徒名を入力する
次に、現在の座席に児童生徒名を入力。クリックで児童生徒の性別(青・赤)を切り替えることができます。
3. 条件を入力する
席替えの際に検討する条件を入力。現在入力できる条件は以下の6通りです。
- 前後で指定する(最前列、前2列、後ろ2列、最後列)
- 特定の座席に固定する
- 児童生徒同士を近づける
- 児童生徒同士を離す
- 今の座席から全員移動させる
- 男女の座席を固定する
4. 席替えボタンを押す
席替えボタンを押して座席を移動。最適な配置が見つかるまで、席替えは何度でもできます。サイドバーを開いて条件を変更することも可能です。
5. ドラッグで最終調整する
ドラッグで座席を入れ換えることができるので、良さそうな座席の配置を元にして最終調整を行います。
生徒たちにも大反響!
いろいろなことに配慮して席替えできる点が、現場の先生たちにもかなり好評とのことで、現在のユーザー数はなんと2万人を超えたそうです。「生徒の前で使ったらすごく盛り上がりました!」といった意見も多く寄せられており、クラスをまとめるのにも一役買ってくれること間違いなしです。
「席替えメーカー」開発者/寺井省吾(元・公立中学校教諭)
富山県出身。大阪大学で情報科学と教職を学び、大学卒業後に公立中学校で教諭として勤務していた。現在はWebエンジニアとして働きながら、席替えメーカーを筆頭としたいくつかのサービスを趣味で開発している。
Twitter 寺井省吾 ⇒ https://twitter.com/krpk1900_dev
便利アプリ②「宿題管理バーコードチェッカー」
独学でアプリの作り方を習得したという、小学校教員の田野健さん。児童たち自身による宿題提出チェックに時間がかかりすぎて朝の会などにも影響が出てしまい、なんとか効率的にできないものかと悩んだそうです。それがきっかけで得意だったというExcelをベースに、バーコードスキャナーを使用する「宿題管理バーコードチェッカー」を開発しました。さらに、同じ悩みを持っている先生もたくさんいるのではと考え、このExcelファイルを自身のホームページで無料で公開しています。
宿題にバーコードを貼り、バーコードリーダーで読み取るだけで、ミスなく効率的に宿題の提出記録が付けられるという優れものです。
↓無料ダウンロードと、詳しい使い方や機能の紹介はこちらから
http://shakainomado.blog.jp/archives/35685247.html
※このアプリは、Excelのマクロ機能を活用したアプリです。パソコンでの使用が前提で、Excelとバーコードリーダーが必要となります(バーコードリーダーは数千円で購入可能です)。
バーコードを読み取るだけで宿題をすべて管理!
児童生徒たちの漢字ノートや計算ノートなどにそれぞれバーコードを割り当て、バーコードリーダーで読み取るだけで、Excel上に全員の提出状況や進行具合が表示されます。田野さんが語る便利なポイントは以下の通りです。
- 一瞬で宿題の提出チェックを完了できる。
- このシステムの画面を教室の大型モニターに映しておくことで、宿題の「直し」や「未提出」が赤く表示されて一目でわかるので、無用な声掛けが格段に減る。
- 毎日の提出記録を蓄積することができ、出席番号を入力すれば、その児童生徒の宿題の提出率を瞬時に表示できる。宿題を出せていない児童生徒に対して具体的な数値を示しながら指導できる。
- 通知表を渡すときに家庭学習状況の説明をする際、懇談に向けて改めてデータの準備をしなくても、その場でリアルな数値を出して説明できるので、協力を得られやすくなる。
基本の使い方
1. 児童生徒の名前を設定
「児童名設定用」タブをクリックして名簿を貼り付けます。
2. バーコードを印刷してノートに貼る
「印刷用バーコード」のシートで項目を記入して、A4サイズで印刷。バーコードを児童生徒に配付し、ノートに貼らせます。
ノートの裏表紙に貼られたバーコード
3. 「宿題受付開始」ボタンをクリック
開始したら、バーコードリーダーで提出されたノートのバーコードを次々に読み込んでいきます。
4. 読み取り完了後、「蓄積データ」をチェック
各提出物の回数や提出率など、蓄積された毎日のデータが表示されます。
宿題の提出率がアップ!
直感的に使えるプラットフォームを意識して作られているので、田野さんの職場の同僚をはじめ、パソコンに疎い人にも「使いやすい!」と大評判。全国の学校の先生からも感謝の連絡がいくつも届いているそうです。
さらに、宿題をあまりやっていなかった児童たちが、バーコードリーダーの「ピッ!」をしたいがために宿題をするようになり、提出率が格段に上がったという想定外の効果も!
「宿題管理バーコードチェッカー」開発者/田野健(石川県公立小学校教諭)
教員11年目(2021年現在)。いろいろな教科の中でも特に社会科に力を入れ、社会科を中心にした学級経営をしている。仕事をする上で意識をしているのは「生産性」。自身のブログ「社会ノマド」では、「仕事の時短術」に役立つ情報を発信しているだけでなく、小学校4年生から6年生の社会科の全単元・全時間の授業の流れや資料を公開している。
ブログ⇒ http://shakainomado.blog.jp/
今回紹介した2つのアプリは、GIGAスクールで悪戦苦闘する先生たちにとっても扱いやすく、仕事を効率化する上でかなり助かるのではないでしょうか。現場の教師ならではのアイデアが反映された便利アプリが、今後もどんどん増えていくことに期待したいですね。
※アプリのダウンロード、インストール、使用にあたってトラブル等が生じた場合であっても、編集部は一切責任を負いません。自己の責任の上でお願いいたします。また、インストール、使用する前にウイルスチェックすることをお勧めします。
文/畑俊行