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4年3組学級経営物語(14)

2019/10/3

学級経営物語タイトル

10月①「絆づくり」にレッツ・トライだ!

文/濱川昌人(よりよい学級経営を考える大阪教師の会)
絵/伊原シゲカツ

4年3組担任の新任教師・渡来勉先生……通称「トライだ先生」の学級経営ストーリー。「魔の10月」に戸惑い、悩みながらも、全力で立ち向かう若手教師たち。よりよい学級は、「授業力」だけでは築けない。学級の「絆づくり」が大切なんだ。レッツ・トライだ、葵ゆめ先生、そして新任教師・渡来勉先生!

<登場人物>

トライ先生
トライだ先生(渡来勉/わたらいつとむ)
主人公。教職1年目。教師になる熱意に燃えて、西華小学校に赴任。 やる気とパワーは人一倍あるものの、時には突っ走り過ぎるのが玉にキズ。しばしば飛び出す口癖から「トライだ先生」と 呼ばれるようになる。4年3組担任。
イワオジ
イワオジ先生(大河内巌/おおこうちいわお)
教職20 年の経験豊富な学年主任。4年1組担任。一見いかついが、 温かく見守りながら的確なアドバイスをしてくれ、 頼れる存在。ジャグリングなど意外な特技も。
ゆめ先生
ゆめ先生(葵ゆめ/あおいゆめ)
教職3年目。4年2組担任。新採のトライだ先生を励ましつつも一 歩リード。きまじめな性格で、ドライな印象を与えてしまうことも。音楽好きでピアノが得意。

ゆめ先生の悩み

学級経営物語

朝の打合せを終えた職員室。

「今日も頑張るぞ!」と気合いを入れ、席を立つ渡来勉先生。

しかし…、その動きが止まりました。

視線の先には、元気のない葵ゆめ先生。

心配そうに見守る大河内巌先生。

気配を感じ、葵先生は慌てて教室に向かいます。

後ろ姿を見送り、語り出す主任。

「最近、変なんだ。2組の様子が…。『魔の10月』を、今年は乗り越えてほしいなぁ」

4年2組の危機!

「靴がないんです…」

授業開始前、暗い表情でサキが葵先生に訴えました。

友達が少なく、独りぼっちのサキ。

数日前から、彼女の持ち物が頻繁に無くなります。

急に騒がしくなる教室。

「すぐに探そう!」

「サキが可哀そう…」

全員で靴探しが始まります。

でも、近ごろ反抗的な態度のノリやアツシが、「やったぁ、勉強しなくていい」
「ラッキー!」と聞こえよがしに騒ぎます。

葵先生の、堪忍袋の緒が切れました。

「あなたたちはいつも…、人の気持ちを考えなさい!」*ポイント1

教室に轟く怒りの声、でも、後に残ったのは刺すようなノリの視線と、気まずい雰囲気…。

フウッ、と大きなため息をつく葵先生。

*ポイント1

♢学級経営には笑顔が大切

10月は行事も多く、忙しい時期です。こちらが思うようには動いてくれない子どもたちに、ついつい大きな声を出して注意してしまいます。しかし、このままでは、子どもたちとの信頼関係を損ないかねません。

まず、「○○さんは、次の授業の準備ができているね」「○○さん、よく話を聞いていたから並ぶのが早かったね」というように、①名前と②できていることが分かるようにほめます。すると、周りの子どもは、今すべきことが分かるはずです。このように叱って気付かせるのではなく、自ら進んで活動できる習慣をつくりましょう。

そこで、気を付けたいことは、同じ子ばかりほめるのではなく、気になる子にも声をかけることが大切です。どんな細かいことでも「昨日より早くできたね」「前に言われたことをよく覚えていたね」と個人の成長をしっかりと認めてあげることが大切です。教師が笑顔でいるだけで、楽しい気持ちになる子がきっと増えるはずです。

幸いにも、サキの靴は廊下の端で発見されました。

休憩時間、心配して教室を訪れた渡来先生に、力なく話す葵先生。

「去年も4年担任、でもいい学級をつくれなかった。だから、今年も同じ学
年で頑張ろうと…」

励まそうとする渡来先生。

でも、子どもたちの大声がそれを遮りました。

「大変だよ、葵先生。サキの上靴が、防火バケツに投げ込まれてる!」

顔を引きつらせ、駈け出す葵先生。

追いかけた渡来先生たちは、バケツの中に浮かぶ上靴を見て言葉を失いました。

「魔の10月」の始まり…?

「正直に言ってほしいの。こんなことをしたのは、だれ?」

全員をゆっくり見回し、葵先生が訴えます。

「やった人を見たのなら、勇気を出して知らせて」

先生の視線と、ノリやアツシの視線とが、偶然交錯しました。

「もう一度言います。素直に反省してほしい」

「先生!」

視線を跳ね返し、ノリが立ち上がります。

「俺たちじゃない。どうせ信じてくれないだろうけど」

ふてくされたアツシが続けます。

「疑われてるさ。俺たち、先生に嫌われてるもん」

「…そんなことない」

言葉につまる葵先生。

泣き出すサキ。どんどん悪くなる学級の雰囲気。*ポイント2

でも、自分は担任として何もできない…。

*ポイント2

♢学級がうまく機能していない 

みなさんの学級は、次のような状況になっていませんか?

◦子どもが、先生を無視して勝手な行動をする。
◦学級のルールが無視される。
◦教室にゴミが散乱する。
◦子ども同士のトラブルが噴出する。
◦子どもは、先生に反抗する時だけ団結する。

初めは数人の子どもと担任との些細なすれ違いから、関係の崩れが起こります。すると、担任はネガティブな指導(…してはいけない。またこんなことをして!何回同じことを言わせるの? など)をすることが多くなり、その子どもたちの心は担任から離れていき、図のような負のスパイラルが起こります。やがて、このスパイラルが大きくなることで周りの子どもたちをも巻き込み、学級がうまく機能しない状況が大きく広がっていくのです。

クラスの荒れの3要素

(10月②につづく)

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『小四教育技術』2017年8月号増刊より

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