見学・体験・オンラインー校外学習実践例で見るスムーズな指導手順
コロナ時代も今までと同様、 子供たちの校外学習を充実させたいもの。その指導ポイントと留意点、学習を深めるアイデアについて、実践例を基に考えていきます。

目次
3年社会 いちご狩り(実践例)
監修/千葉県公立小学校校長・佐和伸明
社会科「農家の仕事」
この単元では、いちご農家の生産の工夫や、市場のニーズにどのように応え、自分たちの生活とどうかかわっているのかについて考えを深められるようにします。また、子供自身が情報を集め、選択しながらまとめるといった情報活用能力を高めることができるように、タブレット端末などを活用し、情報を収集・整理し、リーフレットにまとめる活動を取り入れます。
これからの季節は、なし狩り、ぶどう狩り、さつまいも掘りなど、地域の農家での学習に取り組んでみてはいかがでしょう。
単元目標(全13時間扱い)
○農家の仕事について見学したり資料で調べたりして、必要な情報を集め、読み取り、地域の人々の生活と密接なかかわりをもって行われていることを理解することができる。
○生産の仕事の様子と地域の人々の生活との関連を考え、適切に表現することができる。
○地域に見られる生産の仕事について、予想や学習計画を立てたり、見直したりして、主体的に学習問題を追究し、解決しようとしている。
校外学習 前
○課題設定:いちごづくりについて、学習問題を作る。
○情報収集:一般的ないちごづくりについて、調べて整理する。いちごやいちごづくりについて、質問などを考えておく。
校外学習 中
いちご狩り
いちご園には、3年生といっしょに4年生も行きます。4年の子供たちは3年のとき、コロナ禍でいちご狩りの体験ができなかったために、今回、実体験するねらいがあります。
いちご園に到着後、いちご農家の人にあいさつして、いちご狩りのしかたを教えてもらいます。子供たちはいちご狩りを堪能しながら、リーフレットのための写真をタブレットで撮影します。いちご狩り終了後、いちご農家の人に校外学習前に考えた質問のやり取りをしてから、いちご園を後にします。



オンライン学習
地域のいちご農家について、地理的な諸条件、農家の工夫、努力について調べて整理します。
オンライン授業では、いちご農家の人へのインタビューを通して、おいしいいちごをつくるためにしている工夫を情報収集し、整理します。

質問内容
・土へのこだわり
・受粉のさせ方
・摘み取る時間、状態
・おいしいいちごの見分け方など


校外学習 後
渡会いちご園の直売所のお客さんに、さまざまな工夫によるおいしさの秘密が
伝わるようにリーフレットを作成します。リーフレットを作成する際、4年の子
供たちがアドバイスをします。
3年社会 市庁舎見学(実践例)
監修/東京都公立小学校教諭・九鬼秀治
社会科「市の様子」
この単元では、地形や交通の広がりなど市の全体の様子を学習します。そのなかの主な体験が市庁舎見学の実践です。市庁舎見学を通して、市役所が子供たち自身の生活とどのようにかかわり、どのように結び付いているかを感じ、深く考えられるようにします。
単元目標(全14時間扱い)
学校のまわりの様子について、地形や土地利用、交通の広がり、主な公共施設の場所と働き、古くから残る建造物の分布などに着目し、観察・調査したり地図などの資料で調べたりして、白地図などにまとめることで、学校のまわりの様子を捉えます。
場所による違いを考え、表現することを通して、身近な地域の様子を理解できるようにするとともに、主体的に学習問題を解決しようとする態度を養います。
校外学習 前
「市の公共施設」に何があるかを子供たちに考えさせ、写真資料を見せ、公共施設のイメージをふくらませます。公共施設にはどのような働きをしているものがあるのかを考えさせつつ、なぜ生きるうえで市役所が欠かせないものであるかを考えさせます。そして、見学のポイントを押さえておきます。
校外学習 中
市庁舎見学
「市役所の仕事はどんなものがあるのか」「市の人々にとってなぜ欠かせないのか」という二つの疑問を大切に、市庁舎見学に臨みます。「市議会議場見学」「選挙体験」「市役所の方のお話」「屋上から市の様子を観察」の学習活動を行います。
○市議会議場見学
市議会議場の席に座ります。市役所の方が議題を提示し、議場の採決機能を用いて採決を体験します。

○選挙体験
「動物村の住民」として「選挙体験」を行います。「くま」「いるか」「うさぎ」「ぶた」それぞれの政党が掲げているマニフェストを見て、どの政党に投票するかを考え、投票場で実際に使う記載台や投票箱を用いて体験をします。

○市役所の方のお話
市役所は、家庭で出したゴミを集めて処分することや新しく道路を造ること、学校を建てることなど、市民が暮らしやすい環境をつくる仕事をしていることについて、市役所の人に説明してもらいます。その後、質疑応答。

○屋上から市の様子を観察
方位を基にして、その場所にあるものの説明を受けた後、各自が気になったものを見て、記録します。
校外学習 後
市庁舎見学の全体の学びとして、「市民のために安全な水を送っている仕事をしていた」「市の大事な問題を解決するための話合いの場があって、多数決で賛成か反対かを決めることに驚いた」「選挙体験をして、どの党に入れるか迷ったけれど、どの党に入れるかを考えることが大切だと思った」などの感想がありました。
市庁舎見学後の指導として、学んだ内容や感想を共有し、公共施設の役割について「市役所は、市の人々が暮らしやすいような働きをしている」と、子供たちの考えに共通項を見いだし、学級としての学びをまとめました。