勉強会への誘いをうまく断りたい【現場教師を悩ますもの】

「教師を支える会」を主宰する『現場教師の作戦参謀』こと諸富祥彦先生による人気連載です。教育現場の実状を説くとともに、現場教師の悩みやつらさを解決するヒントを、実例に即しつつ語っていただきます。
目次
【今回の悩み】「勤務時間外の勉強会」への誘いを断って、角を立てたくありません
今の勤務校は研究熱心な先生が多く、「勉強会に行こう」とよくお誘いの声がかかります。校内研修は必ず参加しています。
できれば勤務時間外はプライベートを大切にしたいのですが、強く断るのも角が立ちそうで悩ましいです。上手な断り方はありませんか?
(公立小学校図工専科教諭・30代、教職年数:9年)
仕事とプライベートの境界線で、教員の文化は二分される
今、20代、30代の教員には、「プライベートな時間を一切、仕事に使いたくない」という方が多いです。これは飲み会や勉強会も同様です。最低限度の研修は受けるけれども、「なぜ、土日に勉強しなければいけないんだ、仕事のために使わなければいけないんだ」という感覚が強い。仕事とプライベートはきっちり分けておきたいのです。
一方で、40代、50代の先生は、「教員というのは、ものすごくやりがいのある仕事だから、私生活をなげうってでも、子供たちのために頑張るものだ」というパッションのある人が多い。この世代間ギャップは大きいと思います。
ただ、文化ギャップというのもあって、「年齢が若くても上の世代的な感覚を持っている人たち」や、「若い世代的な感覚が強い先輩たち」もいます。40代、50代の中にも20代、30代的な人がいたり、20代、30代の中にも40代的な人がいたりするわけです。教員の文化、感覚というのはきっちり年齢では分けられませんが、このように二つに分かれている気がします。
私の世代(現在50代後半)は、「プライベートをなげうってでも子供たちのために」という文化にどっぷりでした。放課後に繁華街をパトロールしたり、夜10時頃まで生徒指導したりするのが当たり前だったのです。私が研修の講師として日本中を回るようになったのが25年くらい前ですが、親とうまくいかない非行少年を、学校の先生が持ち回りで盆も正月も預かって、それで立ち直っていった。そんな「美談」が各地の学校にありました。