人数不足で試合に出られなかったバレーボール部の悲劇

「全国教育交流会」代表

中野敏治

生徒数も教員数も減っている事実があるのにも関わらず、部活動が減らないという状況に戸惑っている中学校の現場教師がいます。そのような状況下で起こりがちな問題と、様々な解決の選択肢について、「みん教相談室」で、「全国教育交流会」代表・中野敏治先生が回答してくれた内容をシェアします。 

体育館
写真AC

Q、 ここ数年生徒が激減し、教員も減ってきていますが、部活動の数は減らないままでよいのでしょうか?

中学校の教師です。学級担任をしています。学校はここ数年生徒が激減し、教員も減ってきていますが、部活動の数は減らないままです。先輩に聞くと「好きな部活動をしたいのに、その部活動がなくなるのは子どもたちがかわいそうだ」と言います。ずっとこのままの状態でいいのでしょうか。(かりんとう先生・30代男性)

A、数年先の生徒数を基に、計画的に考える必要があります

生徒数の減少で、学校はさまざまな面で数年前と同じようには活動ができなくなっています。部活動に限らず、学級経営、学年や学校行事など、過去の活動と同じにはできず、工夫をしながら変えざるを得ない場面が多いと思います。体育祭でも数年前に比べると学級数が減り、学級対抗や学年縦割りでの競技も以前のようには実施できなくなっています。

部活動の在り方も工夫していかなければなりません。数年先まで中学校に入学してくる生徒数の推移は調べることができます。その推移を確認すると、今のままの部活動の数を教員(顧問)の数でやっていけないことがわかると思います。

運動部などは、顧問が複数は必要だと思います。顧問が一人だと、その顧問が大会の時、役員として審判や本部席に入ることになると、生徒の引率などができなくなります。これは文化部でも同じでしょう。また、部員数が多ければ、安全面を考えても顧問一人では不安です。

各部活動の顧問を複数制にすると、顧問(教員)の数が不足してしまうのではないでしょうか。そこで、教員が複数の部活動の顧問を兼ねたり、体育館で活動する部活動をまとめて複数の顧問で見たりする工夫をしている学校もあります。しかし、これでは部活動は存在しても、部員の指導や安全は確保できません。

複数の部活動の顧問を兼ねる教員。でも、兼ねるのは教員だけではなく生徒も複数の部活動を兼ね、特設陸上部など、特設でいろいろな部活動から部員が集まって大会に出ることもあります。

部員6人でバレーボール部を継続していた学校がありました。大会の日に一人の部員が熱を出し、大会会場に集まったのは5人の部員でした。開会式に出たものの、試合には出られず、審判だけを行って帰ってきました。毎日練習をしてきても、試合に出られなかったのです。これほどかわいそうなことはありません。これが現実です。

部活動の数を減らせなければ、このことはどの部でも起きます。生徒数が減り、部活動数が同じであれば、どの部活動も部員は少なくなります。または、特定の部活動に生徒が集まれば、部員がほとんどいない部活動も出てきてしまいます。

現実をしっかりと見つめ、顧問同士で話合いを持ったり、管理職に現状を伝えたりする必要があります。

数年先の生徒数を基に、計画的に考えることです。中学2年まで部活動を行っていたものの、3年生が引退し、チームが成り立たなくなってしまうこともあります。教員同士の話合いとPTA等の保護者との話合いをもち、子どもたちができるだけ辛い思いをしない方法を考えることです。例えば、3年生が引退した後、チームができなければ、他校との合同チームで引退までは試合に出られることを保証し、その後、休部とするなどの案をいくつか出すことです。

今では、学校の部活動だけでなく、学校外のクラブチームに所属している生徒も多くなっています。より具体的な対策を、数年先を見越して検討していく必要があります。子どもたちの安全が保たれないほど顧問不足の状態はできるだけ早く解消していかなければなりません。


いかがでしたか?
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生が、親身になって相談者様のお悩みに答えてくれます。ぜひ、お気軽にご相談くださいね。

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