コロナ下でも心の距離が近づく「6年生ありがとう集会」
みん教でもおなじみ、小倉美佐枝先生が先日行ったばかりの「6年生ありがとう集会」の様子をレポートしてくれました! 距離を保っても心の距離を近づけるための具体策が盛りだくさん。コロナ下であきらめがちな集会活動も、工夫次第で密を避けた心温まるものにできそうです。
執筆/佐賀県公立小学校教諭・小倉美佐枝
目次
「できる」ことを積み上げた「ありがとう集会」
この1年間、例年通りにはいかなかった学校行事。体育館での集会活動は特に課題がたくさんありました。でも、小規模校だからこそ、できることもありました。そこで、やってみて「これは良かった!」という点を紹介します。
1)着席スタイルで対面にならないよう配慮
全校児童が集まるため、体育館で行いました。発表する学年以外は全員がマスクをして静かに出し物を観覧します。言葉を発さずに観るだけの状態ならば、学校規模に関わらず全学年で行うことは可能だと思います。それでも懸念される場合は、運動場やリモートで行うなど工夫することも。
全児童、自分の椅子を教室から持ってきて、一定の距離を開けて着席します。今回は2mおきにビニールテープで足元に印をつけました。この椅子のアイデアはとても良かったです。自分の居場所が確立されることで、落ち着きがない子やうまく距離感が取れない子も、椅子があると安心して座ることができました。
また、この日は気温が低く寒かったのですが、椅子があることで体育館特有の底冷えも少しは防ぐことができました。
6年生は、ステージ側に横1列で、その後ろに学年ごとに1列で並びました。そうすることで、全員が同じ方向(ステージ)を見ることになり対面を防ぐことができます。
2)マスクをしたままでも気持ちが伝わる出し物はたくさんある!
発表はステージ上で行い、児童はマスクをつけたまま発表しました。なるべく大声を出さずにできる内容にしました。
発表ではプロジェクター、スクリーンを活用することにしました。大きな声を出さずに発表するのですから、遠くまで聞こえないことも考えられました。 そこで、スライドに言葉を映し出して見えるようにしました。
4年生(私の学級)では、劇のセリフも事前に録音し、天の声のように、スピーカーからセリフを大きな音で聞こえるようにし、子供たちは大きな動きで演じるだけにしました。
演劇のほかに合奏や演奏、ダンスを取り入れる学年もありました。鍵盤ハーモニカの演奏では吹く子供だけがマスクを外し、演奏しないときはマスクをして次の演奏を待ちます。
体に当てると「ドレミファソラシド」の音が出る、スティック型のパーカッション楽器(Boom whackers)を使って、「ドレミの歌」を披露した学年もあります。ミュージックベルや楽器演奏でも楽しいと思います。
4年生(私の学級)は、歌「世界に一つだけの花」や「森のくまさん」に合わせて手話を披露しました。ソーラン節やなわとびダンスを披露した学年もあります。
全校での歌は、Kiroroの「ベストフレンド」にしました。全児童一人ひとりの写真を担任の先生方が撮影し、私が編集しました。歌に合わせて、歌詞もつけて、写真のスライドショーとともに流しました。子どもたちは椅子に座ったまま、口ずさんだり、体を揺らしたりして、スライドショーを見ていました。
このほかサプライズ企画として、4年生が事前に国語の学習で6年生にインタビューしてそれを編集し、集会中に6年生からのメッセージとして放映しました。これには6年生は驚いた様子で、とても嬉しそうでした。
3)集会の様子は後日、保護者懇談会でも放映
今回の集会は2台のカメラで収録しました。1台はステージ正面、もう1台は斜めから撮影しました。一応、保護者への案内はしていたものの、やはり、参加を控えられたご家庭がとても多かったです。
そこで、学年末懇談会のときに、各学級で児童の頑張りを映像で見せることができるように撮影し、編集しました。
コロナ下で「一堂に会することは難しい」という事実はぬぐえません。私の学校でも、地域の状況によっては、体育館での実施を中止し、リモートで行うことを予定していました。
ですが、この1年間の成長、がんばり、感謝の気持ちを伝える方法は、アイデアを出し合えば、いくらでも可能になります。「これしかできない」とあきらめるのではなく、「ほかに方法はないだろうか」と多様な視点で可能性を探ることは、集会を検討する職員会議においても楽しいものでした。
「できない」ことを悲しむよりも、「できる」ことの中で楽しむ集会活動にしていきたいですね。
いかがでしたか。コロナ下でもできることは多くあり、大切なのは6年生への感謝の気持ちをどう伝えるかということですよね。小倉美佐枝先生による「コロナ下でもできる!6年生を送る会のアイデア」もあわせてご覧ください!