コロナ禍だからこそ!の充実した卒業アルバム&6年生の思い出づくり

コロナ禍の影響を受けて、小学校でも修学旅行などの行事が大幅に削減された2020年、6年生の次なる課題は卒業アルバムではないでしょうか。例年、思い出の写真で賑わっていたページも空白になってしまいます。ですが「こんな状況だからこそできること」があるはずです! 「みんなの教育技術チャンネル」でおなじみの髙橋朋彦先生が、逆境をチャンスに変える学級経営について提言します。
執筆/千葉県公立小学校教諭・髙橋朋彦

目次
2020年度の6年生は「かわいそう」なの?
「私たちって、かわいそうな学年ですね。」
クラスのある子が私に問いかけてきました。理由を尋ねると、
「だって、全校の行事がないから学校のリーダーらしいことができない。運動会も短縮。修学旅行もない。6年生らしいこと、何もできていませんよね。」※
私はそれを聞いて、少し心が苦しくなりました。学校再開後、授業を進めることが第一優先となり、6年生らしいことを何もさせてあげられなかったからです。
※プライバシー情報保護のため、本校のコロナ対策の実際とは少し変えています。
「空白の卒業アルバム」に考えさせられたこと
そんなことを考えているうちに、写真屋さんから電話がかかってきました。何やら少し焦った様子です。
「今年は例年より行事が少ないから、卒業アルバムが空白のページばかりになってしまっています。どうしますか?」
(そうか⋯こんな所にまで影響があるんだ。本当にかわいそうだな。よし!)
一生の思い出になる卒業アルバムです。
子供に何かしてあげられないか⋯?
そんなことを思い、卒業アルバムの空白のページを埋めるための良い方法はないかと考えました。
⋯⋯低学年だった頃の思い出のページを増やす?
⋯⋯家庭の写真を募集するか?
⋯⋯いや、学校にある写真の方がいいよね⋯。
いろいろな方法を考えました。しかし、どれもピンときません。申し訳ない気持ちでいっぱいです。しかし、このまま考え続けていても良いアイデアは出てこないと思い、子供に相談することにしました。
私「みんなに相談があるんだ。」
子「なんですか?」
私「今年ね、行事がたくさん中止になっちゃったでしょ? いつもだったらあるはずの、陸上大会の写真や修学旅行のページの写真が⋯ないんだ。ごめんね。そのページを埋めるためにいろいろ考えたんだけれど、いいアイデアが思い浮かばなくて⋯⋯。このページ、どんな写真で埋めたらいいと思う?」
子「⋯だったら、トリック写真を撮りたいです!」
私「⋯⋯?(トリック写真?)」
子「ほら、遠近法を使って撮る、面白い写真があるじゃないですか! 手のひらに人が乗ってるようなやつ!」
私「おー! なるほど、面白い! 他のみんなはどう思う?」
子「面白そう! やってみたい!」
子供たちに相談すると、楽しそうに解決策を考え、瞬時に新たなアイデアを思いつきました。
私はハッとしました。
子供たちのことをかわいそうだと思い、子供に何かしてあげられないか?と、空白のページをなんとか埋めることばかり考えていたからです。
かわいそうだと思う大人の視点で考えていたのでは、良いアイデアを思いつくはずはありません。ワクワクしながら考える方が良いアイデアを思いつくに決まっています。
このことから私は、こんな状況でも何かしてあげられないだろうか⋯と悲観しながら教師が「してあげる事」を考えるのではなく、
- 「こんな状況だからこそできる事は何か?」とワクワクしながら子供と一緒に考えることが大切である
ということに気づきました。
考えてみれば、私が学生だった頃のアルバムでよく見るページは、自分たちで作った文集の「〇〇ランキング」のようなページです。あのページは、学生だった私たち学級のみんながワクワクしながら作ったページです。
今の目の前の子たちも、自分たちで作ったページの方が思い出に残るはずです。
「こんな状況だからこそ」アルバムの写真のページを子供に任せるという、今までにないアイデアを子供たちと一緒に考えることができました。
トリック写真につきましては、学校のiPadを各グループに配り、学活の時間に撮影しようと考えています。
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