低学年の子供が、自分で考え、自分で動くための指導法|沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」

子供の自主性を伸ばす斬新な指導で注目を集める、カリスマ教師の沼田晶弘先生。
「高学年の担任が多かったのですが、今年度初めて一年生の担任になりました。一年生は、何から何まで教師の指示が必要で、今までやってきた子供の主体性を伸ばす指導が通用せず、もどかしい日々……。低学年の子供が自分で考え、動くためには? 」という質問に答えていただきました。

目次
慣れない学年を担当した時こそ
ターニングポイントだ
ボクもずっと中学年~高学年の担任が続いていた中、突然一年生の担任になったことがある。だから、戸惑う気持ちはわかるよ。
正直、「ボクには無理だろう…」と思ったからね。
なぜなら、ボクがそれまで得意とする実践は、子供たちに授業をさせたり、プレゼンをしたりといった、子供に自分で考えさせ、あとは自主性に任せて伸ばしていくというものがほとんど。しかし入学したばかりの一年生には、「考える」ということがどこまできるのだろうと想像したとき、「ボクの必殺技の8割がなくなった」と思ったよ。
でもね、「ここは勝負の一年。転機の年になる」と考え、覚悟を決めたんだ。
そして子供たちと過ごしながらいろいろな工夫を重ねていくなかで、これまで使っていた実践が使えなくなる代わりに、それらが思いがけずブラッシュアップされたり、新たに生まれたりした実践もあったんだ。
結果、いまふり返ってもとても充実した一年間だったと思う。
「一年生には自主性を伸ばす指導が通用しない」という先入観を捨てる
まず、「自主性を伸ばす指導が一年生には通用しない」という先入観を捨てることだ。ちょっと厳しいようだけれど、これまでの指導は、本当に子供の主体性を伸ばせていたのか、もう一度ふり返ってみよう。
子供の主体性に任せるといいながら、「ここまでは自分たちで考えてできるはずだ」という教師側の理想を押し付けていなかっただろうか。
そして自分があまり手をかけずとも、その理想にある程度近づいたことで、自分は子供の自主性を伸ばせていると感じていた部分はなかっただろうか?
そもそも、5、6年生は学校生活に十分慣れているし、見通しをもって行動ができる。しかも、先生が具体的に指示しなくても、教師が自分たちにどうしてほしいのか、忖度しながら動くことができる。
ところが、一年生は学校生活にも不慣れだし、見通しを持って行動などできない。視野が狭く、教師に忖度もしない。
だから、何もかも教師が指導したり、手をかけてあげる必要があり、自主性を伸ばす指導が通用しないと思ってしまっている、ということも考えられるよね。