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理科の視点と興味を引き出す「単元の導入」案|4年「ものの温度と体積」、6年「月と太陽」【理科の壺】

連載
理科の壺/進め!理科道~理科エキスパートが教える、小学校理科の指導法とヒント~

國學院大學人間開発学部教授

寺本貴啓
【理科の壺】シリーズタイトルバナー

子どもたちの主体的な学習意欲を引き出すには、単元の導入でどれだけ興味をかき立てられるかにかかっていると言えるでしょう。そのためには、教材自体の工夫や、教材に興味をもたせる教師の話術や授業の展開が大切です。今回は、「意外性」と「親近感」、理科授業の導入で効果的な2つのアプローチを具体的な単元導入事例とともに紹介します。優秀な先生たちの、ツボをおさえた指導法や指導アイデア。今回はどのような“ツボ”が見られるでしょうか?

執筆/東京都公立小学校教諭・齊藤敦
連載監修/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓

子どもたちを惹きつけるには?

私が理科の学習の中でいちばん大事だと思っているのが“単元の導入”です。

いかに、はじめの時間で、子どもたちが「面白そう!」「僕たち私たちもやってみたい!」「なぜ、このようになるのだろう…⋯?」と思えるような導入にするかが“鍵”となります。ワクワクした気持ちを引き出すことができれば、前向きな気持ちで学習に取り組むことができます。

今回は、子どもたちが「楽しめる、考えられる」導入を2つご紹介します。

1. 目の前で起こった「意外な」現象から考える導入【4年:ものの温度と体積】

1つ目は、4年生の『ものの温度と体積』の導入です。ある教科書の導入に、試験管とシャボン玉液を使って、手で温めたときの空気の体積の変化を視覚的に見えるようにしたものがあります。

今回紹介する導入は、実験に対する子どもたちの反応がよく、その後の問題作りにもスムーズにつなげることができた実践です。


■準備するもの

・500ml丸底フラスコ
・発泡スチロール栓
(4年生『とじこめた空気や水』で使用した
 空気でっぽうの弾を活用)
・熱湯
・発泡スチロール容器
・手袋(やけど防止対策)
・雑巾
・せっけん、食器用洗剤(任意)

■実験概要

1. 発泡スチロール容器に熱湯を入れる。
2. 丸底フラスコに発泡スチロール栓をする。
3. 丸底フラスコを熱湯に入れる。
4. 時間がたつと、発泡スチロール栓が音を立てて飛ぶ。

■実験のポイント

演示実験で行うのがよいです。事前に丸底フラスコの口に食器用洗剤を付けておくと、発泡スチロール栓が滑り、飛ばしやすくなります。「栓が飛ぶ」「大きな音がする」ことから、児童からは「もう一度みたい!」という声が多く上がります。

しかし、1回目と同じように丸底フラスコの口に発泡スチロール栓をして実験すると、発泡スチロール栓は、なぜか飛ばないのです。(食器用洗剤を使っていないほうが飛ばなくなります。そのため、2回目の実験をどのように進めたいかにより、食器用洗剤を使用するかどうかは変わります。)

〈実験結果〉
1回目:飛ぶ
2回目:飛ばない

このように、1回目と2回目の結果に違いが生まれます。ここで児童に、同じ実験を行っているのに結果に違いが出た理由を問いかけます。

この実験は、実験手順は変わりませんが、1回目と2回目の実験で変わっている部分が2つあります。それは、丸底フラスコ内の空気の「体積」と「温度」です。

1回目は、熱湯に丸底フラスコをつけることで、フラスコ内の空気は冷えた状態から温まった状態に変化し、空気の体積が大きくなります。しかし、2回目を行ったときには、丸底フラスコ内の空気が温まったままの状態のため、空気の体積に大きな変化がなく、発泡スチロールの栓が飛ばないのです。

私が授業を行ったときには、児童と理由を考えました。そのときに児童から、「フラスコを水で冷やしてから同じように実験すると、栓が飛ぶのではないか」という意見が出たため、再実験をすることにしました。児童の予想通り、フラスコ内の空気の温度が下がり、体積が小さくなったため、発泡スチロール栓は1回目よりも高く飛びました。


単元名にも入っている「もの・温度・体積」に注目させることで、視点を絞ることができ、その後に行う個人の問題にもつなげることができます。また、1回目と2回目の結果の違いから実験の「比較」をすることで、目には見えない空気や温度の違いに気付くきっかけにもなります。

2. 「身近で知っている」ことから楽しく授業につなげる導入【6年:月と太陽】

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