小2生活「あしたへジャンプ②」指導アイデア

文部科学省教科調査官の監修による、小2生活科の授業案です。1人1台端末を活用した活動のアイデアも紹介します。今回は「あしたへジャンプ②」の単元を扱います。
執筆/ 神奈川県公立小学校教諭・大廣葵和子
監修/文部科学省教科調査官・齋藤博伸
神奈川県公立小学校校長・二宮昭夫
目次
年間指導計画
| 4月 | 春だ 今日から 2年生 |
| 5月 | ぐんぐんそだて わたしの野さい |
| 6月 | どきどき わくわく まちたんけん |
| 7月 | 生きもの 大すき 大はっ見 |
| 8月 | うごく うごく わたしの おもちゃ① |
| 9月 | うごく うごく わたしの おもちゃ② |
| 10月 | みんなでつかう まちのしせつ |
| 11月 | もっとなかよし まちたんけん |
| 12月 | つながる 広がる わたしの生活 |
| 1月 | あしたへジャンプ① |
| 2月 | あしたへジャンプ② |
| 3月 | あしたへジャンプ③ |
単元目標
自分の生活や成長を振り返る活動を通して、過去と現在の自分を比べたり、支えてくれた 人々との関係を見付けたりして、自分でできるようになったことや、役割が増えたことなどに気付くとともに、支えてくれた人々に感謝の気持ちをもち、これからの学習や生活への意欲や自信をもって生活しようとすることができるようにする。
ICT活用のポイント
■スライドソフトや動画などのICT端末を活用するなどして、自分の成長について多様に表現する。
学習の流れ(全8時間)
これまでの成長をだれに伝えたいですか?
家族です。
○○校長先生、保健室の○○先生です。
では、どんなことを伝えたいですか?
昔の自分と今の自分を比べて成長を伝えたい。
ありがとうの気持ちを伝えたい。
では、どんな方法で伝えたいですか?
お手紙とか。
絵本かな。
でも、写真なども入れて伝えてみたいな!
自分たちの成長を多くの人に伝えられるといいですね。これから、みんなの成長してきたことについてまとめてみよう!
【小単元1】これまでの活動をまとめよう[1時~2時]
ICT端末のオクリンクプラスのカードに自分ができるようになったことや前の小単元で行った「成長したねカード」に書かれていたことを書き込みます。このことで、自分の成長を振り返りながらまとめていきます。


【ICT活用の場面】
オクリンクプラスのカードで、自分の成長について関連付けながら表現することで、学級全体で友達のカードを「みんなのボード」を使って見ることができます。自分と同じ成長に共感したり、新たな成長の視点に気付いたりします。
【ICT活用のための支援や環境構成】
自分の成長について、友達から送ってもらったカードや保護者から書いてもらったカード、自分自身でできるようになったと思うことなどをオクリンクプラスのカードに書いて整理していきます。
自分の成長の中で、子供が何を伝えたいのかを視覚化するために、オクリンクプラスのカードにピラミッドチャートを貼り付け、子供にカードを送ります。子供は、そのカードに自分が成長したことを書き込みます。「自分の成長したことを書いたもの」を動かしながら「一番伝えたいこと」について選びます。
自分の成長を表す言葉がカードとなって、ICTの画面上いっぱいに広がることで、自分のよさや可能性に気付き、自信をもったり、自己肯定感が高まったりします。そういった経験を積むことで「自分自身の成長について誰かに伝えたい」という気持ちが高まってきます。教師も積極的に関わっていきながら成長した点を伝えていき、子供が成長への喜びを感じられるようにすることが大切です。
次に、どのようにまとめていくかについて話し合います。
自分の成長についてカードに書いてまとめてみたけど、一番伝えたいことにはどんなものがあったかな?
私は、なわとびの技がたくさんできるようになったことを一番伝えたい!
僕は、足が速くなって運動会のリレー選手になれたことが一番上になったよ!
私は、1年生のお世話ができるようになったことを伝えたいな!
いろいろとできるようになったことを誰かに伝えるためには、伝えたいことをまとめる必要がありそうですね。まとめ方には、どんな方法があるかな?
生きもののお世話をしたときに、新聞を作ったよ。
教科書に載っている紙芝居を作ってみたいな。
写真や動画を使ってまとめたら分かりやすいかも!
いろいろなまとめ方がありますが、それぞれのまとめ方について一度みんなで考えていきましょう!
デジタルとアナログのよさやそれぞれのまとめ方のよさを子供と一緒に考えていき、その後にまとめ方を選ぶ際の視点をつくっておきます。
評価規準
知識・技能:自分が大きくなったこと、自分でできるようになったこと、役割が増えたことなどが分かっている。
思考・判断・表現:自分の成長の中で、特に伝えたいことや相手などを考えて、まとめる方法を選んでいる。
主体的に学習に取り組む態度:自分の成長を伝えたいという思いをもち、伝える内容を決めようとしている。
【小単元2】自分の成長についてまとめよう[3時~6時]
自分自身の成長について、蓄積した記録をもとに、自分に合った方法で表現していきます。その際、今までの学習活動や経験を振り返りながら、何をどのようにまとめていくのかを決めていきます。
まとめたいことや伝えたいことの内容と、それぞれの方法のよさや特徴とを関連付けながら話し合います。
小単元2では、自分の成長についてまとめていきます。まとめる方法としては、以下のようなまとめ方が考えられます。
●まとめ方1:すごろく
[すごろくのよさ]
すごろくは、自分の成長を遊びながら意欲的に振り返ることを可能にします。具体的には、マス目を使って「過去」から「現在」まで、そして「できるようになったこと」の順序を視覚的に分かりやすく示せる点が大きな特長です。
さらに、「九九を覚えたので2マス進む!」「転んで泣いたので1回休み」のように、思い出の出来事をルールやイベントとしてゲーム感覚で表現できるため、楽しみながら自己の成長の道のりをたどることができます。また、友達と一緒に遊ぶことで、互いの成長を共有しやすいというよさもあります。

【ICT活用の場面】
今までの「自分の成長カード」を、オクリンクプラス上で並べたり、すごろくのマス用のカードを作成したり、「1マスすすむ」や「1マスもどる」などの言葉を追加したりします。それらをつなげ、オンラインすごろくを作成します。
写真やカードをアプリ上で自由に並べ替えられるため、試行錯誤しながら時系列を整理しやすく、手書き設定や音声入力を使えば文字入力の負担も減らせます。
●まとめ方2:アルバム
[アルバムのよさ]
アルバムは、自分の成長を確かな記録とともに実感をもって振り返ることを可能にします。具体的には、写真を時系列に整理することで、「過去」から「現在」までの姿の変化や出来事の順序を視覚的に分かりやすく示せる点が大きな特長です。
さらに、写真の横に家族からのメッセージやインタビューした言葉を添えることで、自分が多くの愛情に支えられてきた事実を可視化できるため、自己肯定感を高めながら成長の道のりをたどることができます。また、コンパクトにまとまった冊子を友達と見せ合うことで、互いの思い出を共有し、共感しやすいというよさもあります。
【ICT活用の場面】
画像の配置を何度でも試行錯誤できるため、納得いくまで構成を練り上げることができ、音声入力を併用することで記述の負担を軽減し、表現活動により集中できます。
動画データや音声を埋め込んだ「動くアルバム」にすることで、当時の様子をより鮮明に残せます。
●まとめ方3:巻物
[巻物のよさ]
巻物は、自分の成長を途切れのない連続した物語としてダイナミックに表現することを可能にします。具体的には、長い紙を活かして「過去」から「現在」までの出来事を区切らずにつなげることで、一連の壮大な道のりとして視覚的に分かりやすく示せる点が大きな特長です。
さらに、ページめくりがない分、写真や絵を大きく使ってインパクトのある構成にできるため、世界に1つだけの「絵巻」を作るような感覚で、楽しみながら自己の成長の記録を仕上げることができます。また、広げて展示することで全体を一目で見渡せるため、友達や保護者に自分の成長の歩みをパッと見て伝えやすいというよさもあります。
【ICT活用の場面】
巻物を少しずつ広げていく様子を動画で撮影し、「動く絵巻」として保存することで、成長のもの語としての連続性をいつでも見返すことができます。
巻物を広げていく様子を動画に残すことで、途切れのない時間の流れを客観的に捉え直し、自分の成長が壮大なもの語であることを深く実感できます。
●まとめ方4:絵本
[絵本のよさ]
絵本は、自分の成長を物語として再構成し、感情豊かに振り返ることを可能にします。具体的には、ページをめくる構成を活かして「過去」から「入学」まで、そして「現在」までの出来事を起承転結のあるもの語として視覚的に分かりやすく示せる点が大きな特長です。
さらに、「初めて歩いた時の家族の笑顔」や「逆上がりができた時の手の痛み」のように、絵と文を融合させて当時の情景や心情を繊細に表現できるため、主人公である自分に感情移入しながら、味わい深く自己の成長の道のりをたどることができます。また、読み聞かせを通して発表することで、互いの成長に対する共感や感動を共有しやすいというよさもあります。
【ICT活用の場面】
思い出の写真を取り込み、その上にデジタルペンで絵や模様を描き足すことで、一から絵を描くのが苦手な子でも、味わい深い素敵な挿絵を簡単に作れます。
●まとめ方5:紙芝居
[紙芝居のよさ]
紙芝居は、自分の成長を物語として構成し、演じながら楽しく振り返ることを可能にします。具体的には、成長の節目となる大切な出来事を1枚ごとの場面として描くことで、場面転換を活かしたもの語性豊かな流れを作れる点が大きな特長です。
さらに、紙を抜く演出や声のトーンを工夫して「演じる」ことで、聞き手をワクワクさせたり、当時の気持ちを臨場感たっぷりに伝えたりすることができます。また、聞き手との掛け合いや一体感を感じながら発表することで、互いの成長を共感的に伝え合えるというよさもあります。
【ICT活用の場面】
昔の写真をタブレット画面に表示し、それを手元で見ながら絵を描くことで、当時の服装や様子をより詳しくリアルに再現できます。
●まとめ方6:劇
[劇のよさ]
手づくりの背景や小道具を使って当時の様子を再現し、全身を使って演じることで、成長の喜びや家族への感謝を頭だけでなく体いっぱいで実感できるよさがあります。お互いに演技を見合って、感想を伝え合う活動を通して、無自覚な気付きを自覚したり、友達と励まし合いながら自信を持って表現できるようになります。
【ICT活用の場面】
練習の様子を動画で撮影してすぐに見返すことで、自分たちのよさや改善点に気付き、友達と相談しながら表現をよりよくしていけます。
効果音やBGMをタブレットでタイミングよく流す演出を加えることで、劇の臨場感が高まり、見ている人にも感動が伝わりやすくなります。
●まとめ方7:ペープサート
[ペープサートのよさ]
幕の後ろで人形を操作するため、人前で話すのが苦手な子供もリラックスして当時の気持ちをのびのびと表現できるよさがあります。人形の動きとセリフを合わせる練習を繰り返す中で、自分の成長を1つの物語として客観的に捉え直し、友達と息を合わせて1つの作品を作り上げる達成感を味わうことができます。
【ICT活用の場面】
セリフをICT端末で録音したり、ペープサートを実演しているところを録画して記録として残したりしておくことができます。
セリフをICT端末に録音するときや録画するときは、何度でもやり直せるので、納得いくまで当時の気持ちを込めて演じることができます。
セリフを録音して本番を迎える場合は、ICT端末の「再生ボタン」を押すだけなので、セリフを忘れる心配をせず、人形を動かすことに集中して発表できます。自分の声を録音したあとに、その声に合わせて人形を動かす練習を繰り返すことで、音と動きがぴったり合った楽しい作品になります。
次に、たくさんのまとめる方法の中から、選ぶ前に、子供とデジタルとアナログのそれぞれのよさについて話し合います。
これから、いろいろな方法でまとめていくけれども、パソコンを使うよさって何だろう?
間違えても、消しゴムを使わずにすぐに直せるから安心。
写真を指で動かして、好きな場所にペタッと置けるのが面白い!
自分の声が出たり、動画が動いたりして、かっこいい。
動画に残すと、たくさんの人に、いつでも見てもらえる。
パソコンを使うよさについてたくさんの意見がでましたね。
では、紙を使う手づくりのよさって何だろう?
長い紙いっぱいに、クレヨンで思いっきり大きく絵が描ける!
ハサミで切ったり、ノリで貼ったりして「作った!」って感じがする。
世界に1つだけの、手づくりの「宝物」ができた感じがする!
このように、表現方法を選択する前に、デジタルとアナログそれぞれのよさを学級全体で話し合い、共有する時間を設けることが大切です。両者の特長に触れておくことで、子供は「自分の伝えたい内容や相手にはどちらが適しているか」という視点をもち、主体的に方法を選ぶことができるようになります。さらに、それぞれの特長を意識しながら制作を進めることで、表現の意図が明確になり、より深い学びへとつながっていきます。
【ICT活用のための支援や環境構成】
指導にあたっては、子供が「誰に」「何を」伝えたいかという目的に応じて最適な表現方法を主体的に選べるよう、複数の選択肢を提示することが重要です。今回の実践では、子供と話し合いながら、上記の7つが挙がりました。ただし、子供の発達段階や情報活用能力の実態によっては、教師側であらかじめ表現方法を絞って提示することも有効な手立てとなります。
また、どの方法を選択する場合でも、活動を円滑に進めるためには事前の全体指導と環境構成が不可欠です。まず技術的な指導として、持参した現像写真をタブレットできれいにデータ化するための撮影スキル(光の反射を防ぐ角度など)を、活動の初めに全体で扱います。
次に、写真を印刷したい子供への支援として、「オクリンクプラス」等のカード機能を活用し、印刷したいデータを教師に提出するルールを定めます。この際、操作手順を視覚化した掲示ものを用意しておくことで、子供が自律的に活動を進められるよう配慮します。
さらに、個に応じた支援として、音声入力を活用して文章を作成する子供のために、周囲の話し声が入りにくい「録音専用コーナー」やパーティションを設置するなど、安心して活動に集中できる環境を整えておくとよいでしょう。
評価規準
知識・技能:相手や目的に応じて、様々な伝え方があることに気付いている。
思考・判断・表現:伝えたいことが相手に伝わるかどうかを予想しながら、まとめる方法を選んでいる。
主体的に学習に取り組む態度:自分の成長について伝えたいことが相手に伝わるように、工夫するポイント意識してまとめている。
【小単元3】自分の成長をまとめたもので交流しよう[7時~8時]

最後に、自分の成長をまとめたものを友達と伝え合い交流する場を設定します。
制作したものを伝え合い交流する場は、個人の振り返りを学級全体の「認め合い」へと高めるために不可欠です。友達からの称賛や共感を得ることで、自分だけでは得られない確かな自信と自己肯定感が育まれます。また、友達の成長や苦労に触れることで、人それぞれの成長スピードや違いを認める心が養われます。
互いの成長を喜び合う体験は、教室を温かい受容的な雰囲気に変え、安心感をつくりだします。 この活動は、自分を好きになり、他者を大切にする豊かな心を育てる重要な機会となります。
評価規準
知識・技能:相手のことや相手が伝えたいと考えていることを理解できるよさや楽しさが分かっている。
主体的に学習に取り組む態度:自分の成長について共有することのよさを実感し、自分自身のよさや可能性を肯定的に捉え、これからの生活に自信をもって取り組もうとしている。





