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「NEXT GIGA」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】
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国が進めるGIGAスクール構想の開始から5年――。児童生徒1人1台端末に様々なツールが導入され、その活用環境の整備が進んできました。この環境整備の第一段階から次のフェーズ、つまりGIGAスクール構想の第二段階を示す言葉として「NEXT GIGA」という言葉が用いられています。

執筆/創価大学大学院教職研究科教授・渡辺秀貴

「NEXT GIGA」とは

【NEXT GIGA(ネクスト・ギガ】
GIGAスクール構想の第2段階を示す言葉文部科学省が2024年8月に公開した「今からはじめる!NEXT GIGA 教育データ利活用のステップ(β版)」において初めて公的に示された。

「NEXT GIGA」は、GIGAスクール構想で整備された ICT 環境(児童・生徒 1 人 1 台端末、校内無線 LAN・高速ネットワーク等)を「維持・更新しながら、さらに学びの質を引き上げる」段階へ進める構想・動きと捉えられています。

これは、単なるハードウェアの更新だけでなく、「ICT を活かした教育の質向上・持続性を確保する段階」として位置づけられているといえます。

GIGAスクール構想の成果・課題とNEXT GIGA がめざすこと

GIGAスクール構想(GIGA = Global and Innovation Gateway for All)は、2019年頃から本格的に打ち出され、コロナ禍で一気にその整備が進められました。「すべての児童・生徒に 1 人 1 台の端末を!」「すべての学校に高速ネットワークを!」というインフラ整備を中心に、ICT を教育に生かす基礎条件を整えることを目的としてきました。

およそ5年を経過した現時点での成果と課題(2025年時点)は、次のように捉えられています。

【成果】
1人1台端末・校内ネットワーク整備の達成率
多くの学校で児童・生徒用の端末(タブレットや PC)が整備され、校内無線 LAN の整備も多くの普通教室で完了しています。

ICT利活用による教育効果
校長を対象とした調査では、「学習速度・到達度に応じた個別化指導」「関心・課題に応じた学習材提供」「学習状況の詳細把握」などで、「積極的な変化を感じている」と回答する割合が 6〜8 割程度に達しています。また、「対話的な学びの時間が増えた」「情報の収集、整理・分析の学習活動が増えた」などの項目での回答も高くなっています。

教育インフラ・制度的枠組みの基盤化
GIGAスクール構想は、単なる教育施策ではなく、国のデジタル教育・DX 推進の中核インフラと位置づけられており、将来の教育改革・政策と連動する可能性が高くなってきています。 文部科学省も、「デジタル学習基盤に係る現状と課題の整理」などを通じて、将来の更新・運用を見据えた調整を進めています。

【課題】
自治体間・学校間での活用格差
端末を導入していても、授業で実際に使われている頻度や活用法に地域・学校間で大きなバラつきがあります。

端末・ネットワークの劣化・更新
更新にかかるコスト、予算確保、スケジュール調整など、自治体・学校側の負担が軽視できない課題です。

教員・支援体制の未整備
ICT支援員、ICT 活用アドバイザー、GIGAスクールサポーターなどの配置は進んでいるものの、実際に現場のニーズに応えられる体制になるにはまだ不足との声があります。

セキュリティ・運用ルール・家庭環境格差
Wi-Fiの有無、通信コスト負担など、家庭間格差が学びの機会差につながる可能性があります。

意識変化・構造的阻害要因
ICTを活用した授業づくりを行うための時間確保、教材作成コスト、教員の業務過多感、抵抗感などが壁になることがあります。

GIGA スクール構想の成果と課題を踏まえ、NEXT GIGA が志向すべき方向性や目標は、「量」から「質」へ、そして「持続可能な運用」への移行を図ることにあります。その実現には、次のような視点が大切と考えられています。

□端末・ネットワークの更新と信頼性の強化
□ICT 活用を前提とした授業改善の推進
□格差是正・広域連携による効率化
□ハイブリッド型学習環境の構築
□教員研修・支援体制の強化
□持続可能性と将来展望

とくに、1 人 1 台端末を「使うだけ」で終わらせず、個別最適な学びと協働的な学びを一体化する学習活動のアイテムとして、子どもが主体的に活用する授業づくりを一層進めることが重要です。

NEXT GIGA は、VUCAな時代を生き抜く子どもに身に付けさせたい力、あるいは次代の社会の創り手に欠かせない力を育む授業や活動の質的向上をめざしたものといえます。

学校や自治体での今後の課題

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