「VUCA」とは?【知っておきたい教育用語】

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「VUCAな時代」において、子どもたちにどのような教育が必要なのでしょうか。また、これから「よりVUCAな時代」になることが予測されています。その背景についても考えてみましょう。

執筆/文京学院大学外国語学部教授・小泉博明

「VUCA(ブーカ)」とは?

VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった言葉であり、「予測困難で不確実、複雑で曖昧な状態」を意味します。元々はアメリカの軍事用語として使われていましたが、ビジネスや教育においても用いられるようになりました。

「VUCAな時代」という文脈でよく使われますが、現在がまさにその時代であり、今後は「よりVUCAな時代」になると予測されています。このような時代に、子どもたちにとってどのような教育が必要なのかが問われているのです。

「VUCAな時代」とは?

グローバル化や多様性が進展する中で、世界的な人口爆発と同時に日本国内では超高齢社会と人口減少などの社会構造の変化が起きています。また、地球温暖化による気候変動や異常気象、台風や地震といった災害など予測困難な事象も起こっています。AIなどの新しい技術の急速な発達による経済の変化もあります。特に、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的流行)は、事前に対策を打つことができず予測が不可能な状況となりました。

まさに、これまでに経験したことがない想定外の変化が起こるのが「VUCAな時代」の特徴なのです。そして、今までの日常が日常でなくなる「ニュー・ノーマル」な生活様式が模索されています。

「VUCAな時代」における教育

「OECD Education2030プロジェクト」で作り上げた「ラーニング・コンパス(学びの羅針盤)」は、このような「VUCAな時代」に対応すべき学びの指針を提示しました。

OECD教育・スキル局局長のアンドレアス・シュライヒャーは、次のように述べています。

教育は、子どもたちに「何かを教える」ということにとどまるのではなく、一人ひとりの子どもが、信頼できる「コンパス」を持ち、VUCAとなる世界においても、自信をもって、自らを導いていくことができるよう手助けするものに変わってきている。

白井俊(2020)『OECD Education2030プロジェクトが描く教育の未来』ミネルヴァ書房、「出版に寄せて」

子どもたちが多様な状況に対応し、何を学ぶべきか選択する方法を示したものが「ラ-ニング・コンパス」です。「よりVUCAとなる時代」において、教師から指示されたことをこなすだけでは、「The Future We Want(私たちが実現したい未来)」は実現できません。

この指針の中核的な概念となるのが、「エージェンシー(agency)」です。エージェンシーを「変化を起こすために、自分で目標を設定し、振り返り、責任を持って行動する能力」(1)(OECD,2019)と定義し、すなわち下記としています。

誰かの行動の結果を受け止めることよりも、自分で行動することである。形作られるのを待つよりも、自分で形作ることである。誰かが決めたり選んだことを受け入れることよりも、自分で決定したり、選択することである。

白井俊(2020)『OECD Education2030プロジェクトが描く教育の未来』ミネルヴァ書房、p.79

ここで注意すべきなのは、単に自分たちの欲求を実現するのではなく、子どもが、その属する社会に対して責任を負い、そのことを自覚していることです。「責任(responsibility)」の意識が重視されています。なお、「OECD Education2030プロジェクト」と学習指導要領改訂には、大きく重なり合う部分があります。

(注)(1)白井俊(2020)『OECD Education2030プロジェクトが描く教育の未来』ミネルヴァ書房、p.80

▼参考資料
白井俊『OECD Education2030プロジェクトが描く教育の未来』ミネルヴァ書房、2020年
経済産業省(PDF)「人材競争力強化のための9つの提言(案)~日本企業の経営競争力強化に向けて~」2019年

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