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理解に向けた活動 “吟味” を軸に拓く理科学習 〜デジタル学習基盤で実現する主体的・対話的で深い学び〜 【理科の壺】

連載
理科の壺/進め!理科道~理科エキスパートが教える、小学校理科の指導法とヒント~

國學院大學人間開発学部教授

寺本貴啓
 【理科の壺】
理解に向けた活動”吟味“を軸に拓く理科学習 〜デジタル学習基盤で実現する主体的・対話的で深い学び〜
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デジタル学習基盤を何のために使っていますか? 端末が導入された当初は「まず使うこと」が目的になっているところもありましたが、ある程度使い方がわかった今、学習のためにどれだけ活かせるかということが重要になっています。つまり、手段と目的をはっきりさせ、何のために使うのかを明確にするときが来たといえます。デジタル学習基盤は、使い方次第で深い学びが生まれるかが決まってくるわけです。では具体的に、どのように使えばいいのでしょうか。優秀な先生たちの、ツボをおさえた指導法や指導アイデア。今回はどのような “ツボ” が見られるでしょうか?

執筆/東京都足立区教育委員会指導主事・工藤周一
連載監修/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓

はじめに──「わかる」を問い直す

「わかった!」「面白かった!」。理科の授業後、子どもたちのこのような声は、教師にとって何より嬉しい響きです。しかし、その「わかった」は本当に概念の理解に至っているのでしょうか。理科における理解とは、単に知識を記憶することではなく、獲得した知識や技能を「生きて働く」かたちで活用できる状態といえます。小学校学習指導要領解説理科編(以下、「解説」)には、深い理解について以下の3点が挙げられています。

1.学習内容を人生や社会の在り方と結び付けて深く理解する
児童自らが「理科の見方・考え方」を意識的に働かせながら自然の事物・現象に関わり深く理解する
学習したことを日常生活との関わりの中で捉え直して理解する

今回は、理解に向けた活動を「吟味」とし、理科における問題解決と「吟味」の関係を整理しながら、デジタル学習基盤が果たす役割について述べていきます。

問題解決における3つの吟味

理科の学習過程における 「吟味」の対象は主に3つ挙げられます。
第1に、「わかっているつもり」のことがらです。子どもは身の回りの事物と出合ったとき、体感的な経験や素朴概念(科学的知識を学ぶ前に、日常経験から形成された、自分なりの考え方)に依存してしまいます。理科の学習における問題把握・設定や予想や仮説の設定の場面において自然事象とじっくり向き合う時間が、新たな見方を養う「吟味」の時間となります。

自然事象とじっくり向き合う

第2に、観察・実験で得たデータです。結果を「妥当」とみなすには、予想や仮説と照らし合わせて再考する姿勢が求められます。検証方法の立案、結果の整理などの場面において、必要なデータと向き合い、適切に処理することが大切です。

観察・実験でデータを得る

第3に、学習後の日常場面です。学習を通して豊かで確かになった見方・考え方を働かせて、自然事象を新たに捉え直す過程も、「吟味」です。結論を導出する過程及び学習内容や方略を日常生活に適用していく場面において、自らの考えの妥当性を追究する大切な理科の学習になります。

学習後の日常場面

デジタル学習基盤は「吟味を支える武器」になる

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