働き方改革:「後ろめたさ」を力に変えるマインドセットと3つの具体策
組織レベルでの働き方改革は遅々として進まない中、個人レベルでの働き方改革としてできることはどのようなことがあるでしょうか? 答えはズバリ、「定時に帰ること」。とはいえ、「それができないから困っているんです!」という先生に、自らの意志が揺らがないためのマインドセット法と、3つの具体策をお伝えします。
執筆/大阪府公立小学校教諭・浅野学
目次
働き方改革は「定時に帰る」という決断が9割
今回私が声を大にして言いたいことは、個人レベルでの働き方改革を実行するために必要なマインドセットについてです。
それは「定時になったら絶対に帰る」という強い意志に他なりません。
もしあなたが現在残業ばかりなのだとしたら、あと労働時間が何時間あれば仕事が終わると思いますか。
恥ずかしながら、私が新任のころは毎日23時過ぎまで学校に残って仕事をしていましたが、全然満足はできていませんでした。家に帰ってご飯をかきこみ、泥のように眠って、翌朝7時前に出勤する生活をしていてもです。
つまり、この仕事に終わりはない。満足するレベルまで仕事をしていてもきりがないのです。
それならば、区切ろうではありませんか。
でも、どこで区切りますか? きりがない仕事に区切りをつけることはできますか?
そうです、時間で区切ればいいですよね。では、何時で区切りをつけましょうか。周りの先生に合わせますか? いいえ、それではダメです。
定時です。あなたは労働時間に従って働けばいいのです!!
・・・だって、きりがないのですから。
私の勤めている自治体の勤務時間は8:30~17:00です。勤務時は(現在は育休取得中)、17時に職場を出て、子どもたちを預けている保育園に向かいます。通勤時間は移動を含めて40分。17時15分のバスに乗らなければ、お迎えに間に合わないのです。
保育園のお迎えと仕事、どちらが大切でしょうか? 聞くまでもありませんよね。だから、私は残業時間はほぼゼロでした。
もちろん、保育園という理由が無くてもいいのです。余談ですが、教師は休むことにいちいち理由をつけます。
「子どもが熱を出してしまい・・・」
「親の介護通院に付き合わないといけなくて・・・」
でも、本来、休むことに理由は必要ありません。年次有給休暇に理由は必要ないのです。
ただ、人間ですから、あなたが働きやすい環境にするためにも、周りへの配慮は必要かもしれません。勤務時間中は誰よりも率先して働く、自分にできることを聞くなど、頑張る姿を見せればよいのではないでしょうか。あなたのその姿が、職場全体の働き方改革へとつながっていくかもしれません。
働き方改革を実現するためのマインドセットは以上です。ただ、より詳しい具体策が知りたいという先生もいるかと思いますので、以下に記しておきます。
具体策1 授業は型をつくっておく
「教材研究をする時間が無くなる」という先生もいるかもしれません。しかし、もしあなたが働き方改革をすると決断したのなら、そこは割り切らないといけない部分でもあります。満足のいく教材研究をするために残業をしますか? いいえ、それもきりがないのです。
でも、日々の授業ができなければ、これまた本末転倒ですよね。
そこで、私から提案するのは「教科ごとに授業の型を作りましょう」ということです。
例えば、国語科の授業ならば、漢字練習をして、音読をして、文章読解をする。この流れをなるべく崩さないようにするのです。型があれば考えるのは格段に楽です。
算数科の授業なら、問題提示、考える時間、問題解説、練習問題などとなります。
ここに挙げたのは一例です。大事なのは「型」があることと、それを意識して続けること。
これは、子どもにも良い効果があります。型があれば見通しが持てる。見通しのある授業は教師にも子どもに優しいといえるのです。
具体策2 机の中の引き出しを全部ふき掃除する
みなさんの職員室の机の上はどうなっていますか?
よく言われるのが、机の上はあなたの頭の中ということです。ぐちゃぐちゃの机ならば、それは、今すぐに片づけが必要なのです。理想は、退勤時に何も置いていない状態です。
片付けのコツは一つだけです。
「一回、机の中のものをすべて出してから片付ける」です。
机の中のものは必ず出し切ってください。出し切ってから、中を「ふき掃除」してください。そして、元に戻していきます。
3か月以上使っていないものは今後も使わないでしょう。捨てるか持って帰るかしましょう。なるべく、モノを減らします。
モノの数が多いということは、それだけモノの置き場所を考えなくてはいけません。脳内メモリの無駄遣いです。モノは少ないに越したことはありません。断捨離を意識してください。
具体策3 労働時間内だけは誰よりも働くことを意識する
定時に帰るという行為に後ろめたさを感じる先生も多いでしょう。あなたが若手ならなおさらです。
しかし、そのマインドこそブラックな労働環境であることを認識しなければなりません。そして、その後ろめたさをエネルギーにかえて労働時間内だけは誰よりも働くことを意識すればいいと私は思います。