学級担任の時短術⑫ 「次年度の時短につながる締めくくりをしよう」

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千葉県公立小学校校長

瀧澤 真

仕事を効率化しつつも、授業や学級経営の質が落ちないような時短術について発信してきた本連載もついに最終回。第12回のテーマは、「次年度の時短につながる締めくくりをしよう」です。今年度の実践をふり返って、次年度につなげましょう。

執筆/千葉県公立小学校校長・瀧澤真

年度末こそ「時短貯金」を行おう

いよいよ、1年の締めくくりの時期です。実に忙しく、毎日が慌ただしく過ぎていくことでしょう。ですが、時が流れるままに、目の前の仕事の処理に追われているだけでは、いつまでたってもその繰り返しです。

この連載の第1回の内容を覚えていますか。いずれすべき仕事のための仕込みを「時短貯金」と呼びました。この3月に、1年間の総括をすることこそ、時短貯金に直結します。ですから、次に述べる視点でのふり返りをしっかりと行っておきましょう。

①1年間の時短術のふり返りを行おう

経験は意図的に積み重ね、それに整理を加えなければ真の力にはならない

これは私の師である、野口芳宏先生が常々口にされる言葉です。教師としての力量アップ、授業力の向上について述べたものですが、時短術についても同様のことが言えます。経験を積み重ねれば、それなりには効率的に仕事を行えるようになります。ですが、それでは「それなり」で終わりです。より効率的に仕事をするには、意図的な積み重ねと整理が必要です。

そこでまずは、今年度意識してきた時短術をノートなどに書き出してみましょう。

〇一人がんばりタイムを設定した。
〇隙間時間を有効活用した。
〇子供の様子をこまめにメモした。

このように、思い付くものをリストアップしたら、それぞれの取組について詳しくふり返り、成果や改善点を書き加えます。その際、うまくいったことから始めるようにしましょう。

ふり返りというと、できなかったことばかりを列挙する人がいますが、プラス評価から始めたほうが前向きになり、次への自信につながります。

〇子供の様子をこまめにメモした。
    
気付いたときに大きめの付箋紙に子供の様子をメモすることにした。
これは通知表作成時などに大いに役立った。次年度も継続していきたい。

次に、うまくいかなかったことをふり返っていきます。

〇一人がんばりタイムを設定した。
    ↓
最初の頃はできていたが、会議や学年会などもあって後半はほとんどできなかった。

この程度の内容でかまいません。そのうえで、次年度の取組について決めていきます。

〇ノー残業デーで放課後が空く水曜日に、1人がんばりタイムを設定する。

このように文字として、書き出してみることが大切です。なんとなくふり返るだけでは、結局曖昧なまま過ぎてしまいます。文章化することで、「必ず実行する」という意識が高まります。

なお、「この実践は自分には合わないので次年度は行わない」ということも、選択肢に入れておきましょう。

1年間の時短術の実践のふり返りを行う教師。

②実践のふり返りも行い、引き継ぎ文書を整理しよう

時短術だけでなく、同時に実践のふり返りもしておきましょう。第1回の連載でその学年の実践ノートをつくることを提案しました。これを1年間継続できていた場合はよいのですが、なかなか計画通りにはいかないものです。途中が抜けてしまったり、挫折してしまったりした、という方もいるでしょう(実際、私も尻すぼみになることが結構ありました)。

そこで、年度末に再度実践をふり返っておきましょう。方々に散らばっている資料をノートに貼っていったり、反省を書き込んだりしていきます。使ったデジタルデータも整理して保存します。ここでのひと手間が、次の時短を生みますので、忘れずに行いましょう。

ここまで述べたのは、自分自身の実践の整理です。実は、もう1つ忘れてはならないことがあります。それは、校務分掌等のふり返り、文書などの整理です。

私は現在、教育委員会に勤務していますが、行政というのは、基本的に縦割りです。隣の方の仕事は、よく分からないという面があります。そのため、異動でその仕事を任せられたときに頼りになるのは、前任者が残した文書だけです。これまでまったくやったことのないような仕事なので、まずはその文書ファイル(簿冊と言います)をじっくり読み込むことから、仕事が始まります。つまり、私も後任者が分かるように文書を作成、整理しておかねばならないということになります。

話がだいぶそれましたが、実はこうした意識を、先生方にも少しはもっていただきたいと思うのです。学校現場では、前任者から単に提案文書を綴じたファイルだけを引き継ぐということも多いからです。

もちろん、行政のように事細かに文書に残す時間はないでしょう。それでも、後任者が困らないように、ほんの少しでも整理を加えておくというのがマナーであり、後任者の時短につながるのです。自分自身の時短には直接はつながりませんが、後任者の時間節約のために自分の時間を使う。こうした発想も、大切にしてほしいと思っています。

後任のために引き継ぎ文書を整理する教師。

例えば、学年で生活科の責任者だったとします。その際、1年間でどんな取組したのか、どんな教材を購入したのかなどが、ひと目で分かるようになっているでしょうか。老人会の方を昔遊びで招待するときの手順、連絡先はぱっと見て分かるようになっているでしょうか。「情けは人のためならず」と言います。まずは自分から人の時間を無駄にしないという気遣いもしていきましょう。

イラスト/バーヴ岩下

『教育技術 小一小二』2021年3月号より

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