頭つき逆立ちの次のステップは? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #49】
#47では「よじのぼり逆立ち」を、#48では「だんごむし逆立ち」「頭つき逆立ち」の2つのステップについて紹介しました。だんごむし逆立ちを5秒間、そこから続けて、頭つき逆立ちで10秒間できるようになったら、次のステップ「ひっぱり逆立ち」に進むことができます。ひっぱり逆立ちは仲間のお手伝いで、頭つき逆立ちから両腕で体を支えるかべ逆立ちの姿勢へと変化させる教材です。今回はそんなひっぱり逆立ちについて紹介します。
執筆/栃木県公立小学校教諭・下野誠仁
監修/筑波大学附属小学校教諭
体育授業研鑽会代表
筑波学校体育研究会理事・平川 譲
目次
1.横についてバランスをとる
まず、#48の要領で、だんごむし逆立ち5秒間、頭つき逆立ち10秒間を行います。このとき、班の仲間が試技者の両側に立ち、引っ張り上げる準備をします。
2.息を合わせて逆立ち姿勢まで引っ張り上げる
頭つき逆立ちが10秒間できたら、ひっぱり逆立ちにチャレンジできます。
お手伝いの子は両側に立ち、試技者の膝下または膝あたりを両手でつかみます。そして、「せーのっ!」と掛け声をかけながら、息を合わせて試技者の体を引っ張り上げます。同時に、試技者はマットを押して肘を突っ張ります。体が大きくてどうしても持ち上がらない子がいる場合は、教師が補助をします。
引っ張り上げた後、肘を突っ張ったかべ逆立ちの姿勢を10秒間保持することができたら合格です。
3.よく見られるつまずきと指導のポイント
引っ張り上げるとき、以下のようなつまずきが多く見られます。
これらは、逆さ姿勢での運動で、自分の姿勢や動きが認識しにくくなることから出現するつまずきです。
⑴マットについている手の位置を移動してしまったり、指を曲げてしまったりする。
→手の位置がずれないように声かけしたり、手を押さえてやったりして意識させる。
⑵バランスを保てず、逆立ち姿勢が安定しない。
→お腹をへこませるように意識させる。
→肘をぴんと伸ばし、マットを手で押すように意識させる。
肘を伸ばした姿勢が10秒間保持できない場合は、#47で紹介した「よじのぼり逆立ち」のじゃんけんゲームなど、腕支持感覚を高める運動を並行して実施するとよいでしょう。
「ひっぱり逆立ち」は以上のように、友達同士のお手伝いがとても大切になる教材です。友達同士のかかわりや信頼関係を育てながら、焦らずスモールステップで確実にできるようにしていきましょう。
次回は、いよいよ「かべ逆立ち」について紹介します。
【参考文献】
筑波大学附属小学校体育研究部(2020)『できる子が圧倒的に増える!「お手伝い・補助」で一緒に伸びる筑波の体育授業』明治図書
イラスト/佐藤雅枝
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執筆
下野 誠仁
栃木県公立小学校 教諭
1988年沖縄県那覇市生まれ。若手や体育授業が苦手な教師にとっても取り組みやすく、子どもたちみんなが「できた」を実感できる体育授業を目指し、実践・研究を重ねる。
監修
平川 譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。