長なわ跳び、8の字跳びの次のステップは? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #43】

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平川 譲
使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業

#14で8の字跳び(かぶり回し)の指導のポイントを、#16で連続跳びのメリット、指導のポイント、および8の字跳び(むかえ回し)の指導のポイントを紹介してきました。それぞれのグループが連続100回程度続くようになったら、かぶり回し、むかえ回しと進むようにします。一つ一つの跳び方が上手になって十分楽しんだら、これを生かして次の課題に進めるのが、長なわ跳びの長所であり奥の深さです。
今回は「かぶり回し」と「むかえ回し」の連続跳びを十分に楽しんだ子どもたちが、楽しみながら取り組み、既習を生かして思考しながら活動できる「ひょうたん跳び」を紹介します。

執筆/東京都公立小学校教諭・逸見淳一
監修/筑波大学附属小学校教諭
 体育授業研鑽会代表
 筑波学校体育研究会理事・平川 譲

1.ひょうたん跳びとは?

上から見たときに、跳んでいる子の動きが8の字に見えるのが8の字跳びです。ひょうたん跳びは、上から見たときに跳んでいる子の動きがひょうたんの形に見えるので、このような名前がついています。
8の字跳びは、なわを跳んだら斜めに抜けましたが、ひょうたん跳びはなわを跳んだら斜めではなく、入った場所と同じ側(左側から入って、左側)に抜けます。そして、回し手のそばをくるっと回り、次に備えます(下図参照)。
ひょうたん跳びでは、かぶり回しとむかえ回しのなわに、1回おきに入って跳ぶことになります。

<抜け方>

2.ひょうたん跳びの前に

前述のように、入るときのなわの見え方が1回おきにかぶり回しとむかえ回しになるので、どちらの回し方でも入って跳んで抜けられるようにしておくことが必須です。上達したかどうかは、連続跳びで100回程度跳べるようになっているかで判断します。8人から10人程度のグループ全てが100回程度跳べるようになってから、次の教材に進みます。今回も、かぶり回しもむかえ回しも連続で100回以上跳べるようになってから、ひょうたん跳びの学習に進むとよいでしょう。
こうすることで、子どもたちが無理なく次の教材に挑戦することが可能となります。

3.ひょうたん跳びのポイント

⑴ 入り方を理解する
前述のように、かぶり回しとむかえ回しのなわに1回おきに入るのがひょうたん跳びです。はじめはこのことに気付いていない子がいます。ただ「難しそうだな」というイメージをもっている可能性もあります。それぞれの方向から回旋するなわを観察させて、「こちらからはかぶり回し」「反対から入るときはむかえ回し」と確認します。これにより、「できそうだな」と感じて活動する子が増えます。
確認できたら、かぶり回し、むかえ回し、それぞれの入るタイミングを思い出して、グループで声をかけ合うように指示します。

<入り方によるなわ回しの違い>

⑵ 抜け方を理解する
これまでの学習から、8の字跳びと同じ方向(斜め方向)に抜けてしまう子がいます。ひょうたん跳びは斜めではなく、入った場所と同じ側(左側から入って左側)に抜けることを確認します。運動場で行う場合は、抜ける方向を白線で引いたり、足で線を引いたりするとよいでしょう。体育館の場合は、床のラインやマーカーなどを使って目印にします。

⑶ 跳ぶ位置を理解する
入ることと抜けることがある程度できてきたら、どこで跳ぶのかを意識させます。8の字跳びのときは、回し手の2人を結んだ直線上で跳んでいました。ひょうたん跳びは斜めに走り抜けるような動きではないため、この直線まで入り込まず跳ぶことがポイントとなります。

運動観察を通して、このことに気付かせます。跳ぶ位置を見るように指示をしてから、できている子を集めて跳ばせたり、できている子が跳ぶタイミングで、教師が「はい」などの合図を入れたりすると、このポイントに気付きやすくなります。
確認できたら、回し手の2人を結ぶ直線を用いて視覚化します。運動場なら白線を引いたり、足で線を引いたりするとよいでしょう。体育館であればラインを使って目印にするとよいでしょう。回し手の真ん中よりも少しだけ奥で跳ぶと抜けやすいのは、8の字跳びと同じです。
目印の線で視覚化されたら、その線の反対側にはみ出さないで跳ぶように意識させます。こうすることで、なわから抜けるのが間に合わなくなる子を減らすことができます。

4.連続跳びでさらに習熟!

クラスの全員がひょうたん跳びを跳ぶことができるようになったら、かぶり回しやむかえ回しのときと同様に、ひょうたん跳びも連続跳びへと発展させていきます。ひょうたん跳びの連続も、合格の目安は100回以上です。ただ、連続で100回跳べるようになるまでには記録が停滞する時期や、なかなか伸びないグループも出てきます。記録のたし算を用いて、意欲が下がらない工夫も必要となりますので、参考にしてください。
連続で跳ぶためには、子ども同士の声かけ、なわへの入り方・跳び方・抜け方それぞれのポイントがあります。獲得した知識を生かして、全グループ連続100回以上を目指してください。

いかがでしたか。ひょうたん跳びは、既習を生かして新しい知識を獲得しながら学習できるすてきな教材です。跳べなかった子が跳べるようになったり、連続で入れなかった子が入れるようになったり、回数の伸びをみんなで実感できたり、教師にとっても子どもたちにとっても「できる」をスモールステップで味わえるはずです。
次回は、連続跳び以降の発展技について紹介します。楽しみにしていてください。

【参考文献】
平川譲(2008)『〈小学校体育〉写真でわかる運動と指導のポイント なわとび』大修館書店

イラスト/佐藤雅枝

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執筆
逸見 淳一
東京都公立小学校 教諭
1980年 東京都中野区生まれ。「みんなができる、みんなでできる」体育授業を目指し、日々研鑽中。子供たちにとっても教師にとってもより良い体育授業が広まるように、オンラインで研修会を行っている。『「資質・能力」を育成する体育科授業モデル』(共著)(学事出版)


平川譲先生

監修
平川 譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。


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