バトンパスの知識・技能を評価するには、どうしたらいいの? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #34】

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小学校教諭

平川 譲
使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業

走り高跳び走り幅跳びハードル走と陸上運動の記録を得点化する方法を紹介してきました。今回は周回リレーです。陸上運動では、走力、跳躍力などの、単元前から獲得している能力や、体格が記録に大きく影響する種目が多くなります。得点化は単元で獲得した知識・技能を評価するためのもので、子どもたちの意欲を高め、継続するねらいもあります。
周回リレーは、バトンパスの知識・技能の伸びを数字で表す得点化を紹介します。

執筆/筑波大学附属小学校教諭
 体育授業研鑽会代表
 筑波学校体育研究会理事・平川 譲

1.走力をそろえたチームづくり

筆者が勤務する筑波大学附属小学校では、1人が100mトラックを1周するリレーを授業、および運動会で実施しています。

そこで、トラックを1周する100m走の記録を計測して、チーム作りのデータに用います。200mトラックで1人半周する場合には、同じ半周で記録測定してもいいですし、100m直走路での計測でもいいかもしれません。200m以上のトラックであれば、コーナーの走り方が記録に与える影響が小さくなっていくからです。

32人学級を4チームに分けることが多いので、8人分の記録を合計した数値がなるべく同じになるようにチームづくりをします。下に、ある年の4年生のチーム作りを示しました。このクラスの場合は4チームが同タイムになりましたが、1秒以内の差でしたら問題ないと思います。同人数のチームが作れない場合は、平均タイム程度の架空の子どもを設定し、その子より少し(1秒程度)速い子が2人分走ることにします。

2.合計タイムを10点とする

下の表のようにメンバー全員の合計タイム(小数点以下四捨五入)を10点として、1秒おきの点数でリレーの記録を評価します。このクラスの場合は、2分40秒が10点です。数人以上のリレーの計時では、少数点以下の数字は切り捨てでよいと考えています。

バトンをつないでゴールできれば、0点にはなりません。転んでも、バトンを落としても、最後まで走りきったことを評価します。20点以上は、1秒おきに点数が上がり続けます。ただし、オーバーゾーンなどの反則は0点(タイムは参考記録)としています。

私の場合は、最初の目標をクラス合計点で40点とします。みんなが力を出し切れれば手が届く目標で、転ぶ、バトンを落とす等のトラブルがなければ、達成可能です。「競走相手がいるとパワーが出るね」と、自分たち以外のチームのおかげで力を出し切れていることを認識させるのによいと考えています。

40点が達成できれば、「みんなの走る力は出し切ったね。では、これ以上の点数を取るためには、どうしたらいいの?」と問えば、「バトンパス」という回答が出るのは、想像に難くありません。バトンゾーン内でリードをするチームが出てくることでしょう。走る順番や待つ位置を工夫して、走る速さによって距離を少しずつ変えるという工夫も出てきます。思考や工夫を伴って記録向上を目指す授業展開が可能になります。

周回リレーの得点化について紹介しました。バトンパスの方法や、リレーのルール理解の手順の提案は、また別の機会とします。

今回まで、運動の得点化シリーズとして4回にわたって解説をしてきました(#31#32#33)。単元内で獲得した知識・技能を適切に評価し、意欲化を図る「記録の得点化」、クラスの仲間意識を高める「得点の足し算」を、どうぞ授業で活用してみてください。

イラスト/佐藤道子

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平川譲先生

監修
平川 譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。


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