ハードル走の授業はどのように進めたらいいの? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #33】

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使える知恵満載! ブラッシュアップ体育授業
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平川 譲
使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業

高学年のハードル走は一人一人が目標タイムを設定し、自分の記録の伸びを実感することができる教材です。第1ハードル入れ替え戦で素早くハードルを走り越えるポイントを共有したり、ほぼ全力で第1ハードルを走り越えたりすることができるようになったら、40mハードル走の学習に進みます。ハードルの準備や片付け、記録の計測等に多少時間がかかるので、45分かけて学習することをおすすめします。

執筆/千葉県公立小学校教諭・渡邊知子
監修/筑波大学附属小学校教諭
 体育授業研鑽会代表
 筑波学校体育研究会理事・平川 譲

1 場の設定

40mの間にハードル(一番低い高さ)を4台設置します。第1ハードルはスタートラインから12mのところに置き、2台目以降は、各自の走りやすいインターバルを見つけて設置します。グループごとに友達の動きを見るため、ハードルを置かないコースも作っておきます。

2 ハードル走の目標設定

一人一人が自分の走力に合った目標が設定できるように、50m走の記録との差を得点化します。ハードルの前で止まってしまったり、途中で転んでしまったりしても、最後まで走りきったときは1点とします。表の「自分の記録」の欄に、1点~20点の記録を記入させ、体育ノートに貼っておくと、学習をスムーズに進めることができます。

なお、ハードル走の学習のために50m走の記録を計測しなくても、それまでの記録を使って得点化することも可能です。

3 授業までの教師の準備

⑴ グループ分け

グループの合計得点を競い合うことでより協働的に学習を進めることができます。そのために、グループは50m走の合計記録が同じになるように分けます。1グループ5~6人で組むとよいでしょう。

なお、クラスの合計得点も記録していくと、クラス全体の伸びが視覚化され、子ども達の学習意欲の向上につながります。

⑵ ハードル位置を示すカラーテープ

コースロープに5.5m、6m、6.5m、7m、7.5mのインターバルを色分けしてビニルテープ等で印をつけておきます。これは6年生の設定例で5年生の場合は、5m、5.5m、6m、6.5m、7mのインターバルとするとよいでしょう。

イラストは2台目のハードル位置の印で、50㎝ずつずれています。

⑶ 仲間にインターバルを伝えるカード

ビニルテープと同じ色画用紙をチームに1セットずつ用意します。この画用紙はグループ活動のときに、自分のインターバルを色で示すことで、仲間にハードル位置を変えてもらうときに使います(ラミネートをかけておくと数年使うことができます)。

4 授業の流れ

主な流れは以下の通りです。

⑴ 自分に合ったインターバルを見つける
⑵ 第1ハードル入れ替え戦で見つけたポイントに沿って教え合い活動をする

⑴ 自分に合ったインターバルを見つける

子ども個々の走力や身長によって、リズムよく走ることができるインターバルは個々で異なります。初めて40mハードル走に挑戦するときは、全員6mのインターバルで行います。けがを防ぐために、インターバルが合わない場合は、無理をして4台を走り越えなくてもよいことを伝えておきます。一度走ってみて、インターバルの長さを調整します。この時、スタート地点で希望するインターバルの色画用紙を見せ、ハードルを動かしてもらいます。

⑵ 第1ハードル入れ替え戦で見つけたポイントに沿って教え合い活動をする

自分に合ったインターバルが見つかったら、第1ハードル入れ替え戦で見つけた踏み切り位置のポイントやインターバルが本人に合っているか等を見合います。こ のとき、図のように、ハードルの横で見ている仲間は、走り終わったら、よかったことや課題となる動き、改善点等を簡単に伝えるようにします。1班を例にあげると、①の子どもが走った後は、②がスタート位置へ、③④⑤はチェックする場所を1つずつスタート位置側に移動し、①の子どもが4台目を見るようにローテーションをすると、スムーズに学習を進められます。

自分の課題がはっきりしてきたら、見てほしいポイントカード(例:踏み切り位置)をスタート前にグループの仲間に見せると、教え合い活動がより充実します。

なお、記録の測定は10分もかかりませんので、毎時間、全員が1回行います。グループ内の子ども同士、または教師が順番に計測してもよいでしょう。

高学年は自己の記録が伸びることに楽しさや喜びを感じます。ぜひ、単元導入に第1ハードル入れ替え戦を行い、40mハードル走を楽しみながら行ってください。

【参考文献】
平川譲(2012)『体育授業が得意になる9つの方法』東洋館出版社

イラスト/佐藤道子

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執筆
渡邊 知子
千葉県公立小学校 教諭
兵庫県神戸市生まれ。校内で使える6か年体育科プランを作成し、だれでも簡単・手軽で「動ける体つくり」ができる授業づくりに取り組んでいます。体育を専門としない先生方も対象とした自主研修を地域や校内で実践中。「『資質・能力』を育成する体育科授業モデル」(共著)(学事出版)


平川譲先生

監修
平川 譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。


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