【相談募集中】個別支援を要する児童が多く授業を上手く進められない

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支援を要する子への適切な対応ポイント記事まとめ

兵庫県公立小学校校長

関田聖和

「クラスに個別支援を要する児童が半数在籍しており、一斉授業を上手く進められない」というお悩みを寄せていただいたのは、10人以下の少人数学級を担任する50代の先生。答えていただくのは、公認心理師・特別支援教育士スーパーバイザーでもある兵庫県公立小学校校長の関田聖和先生です。今回の悩みを個別最適な学びを実現するチャンスと考え、子供たちにより適した授業システムを導入する手立てをアドバイスいただきました。

イラストAC

Q.個別支援を要する児童が半数の少人数学級で授業が上手くいきません

10人以下の少人数学級の担任をしています。そのうち半数が個別の支援計画を要する児童です。学習に対する苦手意識が大きく、一人が話し始めると、授業中でも関係なくおしゃべりが止まりません。中心となっている児童がおり、その子に振り回されている状態です。しかし、その子は学習場面以外では素直で指示も通ります。

私自身ベテランといわれる年齢で、今まで、このような経験が全くなかっただけに、自信をなくしています。管理職には相談しており、チームで対応する体制はとっています。支援員の方にも協力していただいていますが、日々の授業が上手くいかないことが一番のストレスです。

私の対応が間違っていると思うのですが、何がどう間違っているのか、どう改善すればいいのか分かりません。大きな声で指導してしまったこともあります。しかし、小さな良さを見つけて、その都度褒めているつもりです。これ以上何をしたらよいのでしょうか。

(シナモンロール先生・50代女性)

A.個別最適な学び・協働的な学びに自然に取り組める大きなチャンスです

まずは、お疲れさまですと伝えたいです。少人数の学級とはいえ、個別の教育支援計画のある児童が半数となると、保護者の方との合意形成の機会も多いと思われます。そのための準備も、場合によっては大変だろうと推察できます。学年が分からないので中・高学年を想定しながら綴ります。

児童が学習にどこでつまずいているかを把握する

一つはっきりしていることとして「学習場面以外では素直で指示も通る」とのことですので、学習課題の取り組み方や教科書に掲載されている内容の理解が難しいのではないでしょうか。まずは、どこにつまずいているかを明らかにしていくことが解決のカギになると考えます。

国語科・算数科の基幹学力をベースに「漢字は何年生まで書くことができるのか」「算数の計算はどこまで解くことができるのか」、絵本の読み聞かせをしながら文章を理解するときに「どの程度の量なら分かるのか」「言葉はどこまで理解しているのか」を見たいですね。

学習環境を整え、学習教材を構造化する

また学習環境はどうでしょうか。刺激や興味の湧くものが子どもの視界に飛び込んでくるような状況ではないでしょうか。ついつい伝わらないと、言葉で何度も伝えてしまってはいないでしょうか。

整然とした教室、学習教材の構造化が必要になります。これらは、授業のユニバーサルデザインといわれ「焦点化」「視覚化」「共有化」の3つがカギになります。こちらについては、私も在籍している日本授業UD学会の小貫悟先生(明星大学)が分かりやすく解説してくださっています。

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授業のユニバーサルデザインを実現する4ステップとは?

少人数を活かし、学習課題に個別に取り組む授業システムを作る

だいたいの子どもたちの力が見えると、自ずから言葉がけが変わってくるのではないでしょうか。幸いなのが10人以下の少人数学級ということです。学習課題を個別の方法で取り組むような授業システムにしやすいのではないでしょうか。一見なかなか一斉授業が成立しない学級に見えますが、今、求められる令和の時代の「個別最適な学び」が実現しやすい学級なのだとも考えられます。

例えば感想文を書く学習活動で考えてみます。

まず教材文を読むことでしょう。子どもたちは、ルビを振ったり、分からない語句について調べたりする学習が必要になるでしょう。今は、タブレット端末を使いながら解決することも可能です。またタブレットに教材文を提示して個別に見る活動を入れると、子どもたちも、何をしたらいいかが明確になります。

教材文も、文字の大きさやルビの有無などを考慮したリライトが必要かも知れません。作る手間はありますが、デジタルアプリを上手く使えば、2種類+現教材の3段階は作れるかもしれません。支援体制もあるようなので、分担してもいいかもしれません。

それを子どもたちの端末に配付できると負担も小さくなるでしょう。配付後も、タブレットなので、子どもたちもさらに加工ができて使い勝手が良くなるでしょう。

感想の書き方を教科書教材で習得します。スライドなどを使って視覚化し、短い説明で伝えます。説明後は、ペアで学習したり、先生のところに集まって個別指導を受けたりしながら、習得します。

みんなで共有後、並行読書で選んだ本を使って活用します。このときには、個別に本を選書するので、その子どもに合った本を使い、習得した方法を使って感想文を書かせるのです。

このようなことを積み重ねていく中で、子どもたちの中に「できた」という実感が積み重なり「シナモンロール先生と学習したら、なんだか学習が分かりはじめてきた……」という気持ちが膨らんでくるのではないでしょうか。

個別最適な学び・協働的な学びを実現できるチャンスと捉える

ベテランの先生なので、今まで取り組んできた一斉に教える授業を控えることには、勇気が要るでしょう。でも今年度は、一斉授業に合わないタイプの子どもたちが集まっているのかもしれません。もしくは、そのことに気づいた子どもたちです。取り組む課題を個人の力に合わせて設定し、教室の中に、個別に取り組む子、ペア(複数)で取り組む子たち、先生と集団で取り組む子たちがいる教室を目指しましょう。

これを機に、全員が黒板に向かって座って学習するスタイルを終えてもいいのではと考えています。少人数の学級は、このシステムを作りやすいのではないでしょうか。これは、奈須正裕先生の著書「個別最適な学びと協働的な学び」(東洋館出版社)を参考にしています。

チームでの体制も、学習課題に分けて取り組んでもらえるといいですね。今はしんどいかもしれませんが、個別最適な学び・協働的な学びに自然と取り組むことができる大きなチャンスです。そして同時に、シナモンロール先生のさらなる力量アップにもなります。私も遠くからですが、応援しています。

みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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