【LINEオプチャ始動!課題3】 職員のコミュニケーションを主体的に改善する

連載
★毎月25日更新★ 自分もまわりも笑顔にする! 中堅教師のリフレクションタイム

岩手県公立小学校教諭

古舘良純
「自分さえ頑張れば」「あの子さえこうならば」から解放された時、なりたかった自分に出会えるはずです!

日々のリフレクションの様子をSNSなどで広くシェアし、自己研鑽する姿が多くの先生に支持されている古舘良純先生。これは、そんな古舘先生が提案する、みなさんに主体的に参加していただくワーク型連載です(1記事100円、毎月25日配信。1年間の連載です)。

古舘先生と連載読者のみなさんで日々のリフレクションをシェアできるLINEのオープンチャットをつくりました!(2024年4月5日までの運営を予定。記事末にリンクがあります)
参加はいつからでも大丈夫なので、まわりの目を気にせず、自分のペースで学びを深めてくださいね。
(今月から気がついた!という先生は、4月配信記事から参加してももちろんOKです)

さて、今回リフレクションするテーマは、編集部に最も多く寄せられるお悩みでもある<職員のコミュニケーション>についてです。

執筆/岩手県公立小学校教諭・古舘良純

<課題2>のフィードバック

この連載では「自分もまわりも笑顔になる」ことを目的としています。
私と同世代の中堅教師を中心に、多くの先生方と「自身の学級や働き方を見つめ直す時間」をご一緒したいと思っています。よろしくお願いします。

早いもので、夏休みまで残り1か月となりました。
先生方、いかがお過ごしでしょうか。

じめじめとした梅雨の影響や気温の上昇による環境的なストレス。行事や授業などの肉体的なストレス。そして、生徒指導やそれに伴う人間関係の精神的ストレスなど、多くのストレスが襲いかかってきた6月だったと思います。
本当にお疲れ様です。あと少しです!

今月のテーマに入る前に、5月配信の「課題2」に取り組んでくださった先生の中から、ジロウ先生の例についてのフィードバックをシェアさせていただきます。

ジロウ先生・男性・20代

いつも学ばせて刺激をいただいております。 教室のルールをリフレクションしましたが、まだまだ浅いなと感じました。 子どもたちの可視の部分と不可視の部分を見てそこからアプローチできるようにしていきたいです。目を通していただければ幸いです。よろしくお願いします。

古舘先生よりフィードバック

ずいぶん教室のことを思い描いたのだろうと感じた内容でした。教室の隅々まで思い出しながら、単なる動的な活動にとどまらない、微細な動きや目の届きにくい活動まで想像されたのだろうと思いました。
それは、もちろん85個のルールを書き出したという事実もそうですが、中身に対してそう感じました。2年生という記述から「低学年か……」と読み進めましたが、「成長を常に意識する」とか「時間を無駄にしない」という言葉がでてきたからです。
そこから、ジロウさんのルールは「心構え」の側面が強いような気がしました。「言動」に関するルールよりも難しく、難しい分子どもたちの成長が期待できるルールです。
一般的なイメージだと、ルールは「〜しない」「〜する」という記述になりがちです。「走らない」とか「真っ直ぐに挙手する」とか、「見えるルール」を設定しています。
しかし、ジロウさんは心に問いかけるようなルールを示しています。「何のためにを考える」や「全員参加者」もそうです。
そういう風に「根っこ」の部分で繋いで考えているから、「どれもがつながっていると感じる」という記述があるのだと思います。枝葉のルールではない根幹のルールなのです。
多くの先生は、ルールを子どもたちを管理するためや、自分の指導のしやすさのために用います。ですから、場当たり的な指導に陥り、つぎはぎの指導が展開され、そもそもどんな学級にしたかったのかが見えない、ガチガチで身動きの取れないルールに縛られることになります。
ぜひ、先生がお考えになっている「相手意識」という軸となる部分を大切に育て、学級のルールづくりに励んでみてください。きっと、「ルールが学級を育てる」という実感を子どもたちと共有できるようになると思います。

なぜ今、職員のコミュニケーションを振り返るのか?

さて、今月は「職員同士のコミュニケーション」について振り返ってみたいと思います。

新年度スタートから3か月が経ちます。新しい職場、新しい管理職、新しい学年メンバーでここまで走ってきました。みなさんの学校では、良好なコミュニケーションが取れているでしょうか。

4月は「どんな人なんだろう?」「どんなことを考えているのかな?」「これ言っても大丈夫だろうか?」「ここだけは譲れない」など、様子を見ながらコミュニケーションをとってきたと思います。

これまで、授業参観や家庭訪問でたくさん打ち合わせをしたり、情報を共有したりしてきたでしょう。春に運動会があった学校では、学年競技や全体の動きなど、全職員で全児童を育てようと教育観を擦り合わせてきました。授業進度や生徒指導など、日常的にもたくさん共通理解を図ってきたと思います。

さらに、高学年は修学旅行をはじめとする宿泊学習を乗り越えているかもしれませんし、中学年や低学年も総合や生活科などの学習が充実してきたと思います。

きっと、たくさんたくさん先生同士で言葉を交わし、議論し、どの活動も成功に導いてきたことでしょう。

しかし、職員間のやり取りがスムーズになり、学年団の中に安心感が生まれると、コミュニケーションが荒くなったり、雑になったりしがちです。なぜでしょうか。

それは、「コミュニケーションは不都合から生まれる」からです。

4月当初はお互いに「不都合」があったはずなのです。

だから、4月は「どんな人なんだろう?」「どんなことを考えているのかな?」「これ言っても大丈夫だろうか?」「ここだけは譲れない」など、様子を見ながらコミュニケーションをとってきたと思うのです。

そうして、お互いを丁寧に気遣い、リスペクトをもって関わってきたはずです。また、細かいことを質問しあったり、場合によっては代案を提案したりもしたはずです。

すると、意思疎通が図れるようになり、互いの個性や特長がわかるようにもなります。「きっとこうだよね」「多分こうするはずだ」という「阿吽の呼吸」のような、お互いを理解した動きも出てくるはずです。

しかし、残念なことに、細かく擦り合わせていた授業の進め方やアイデアなどが共有されにくくなっていくのも事実です。自分自身のことで精一杯になり、親身になって聞いていた子ども同士のトラブルや生徒指導も、どこか他人事のようになってしまいます。

そして、「これは首を突っ込まない方がいい」と変に距離を取ったり、「これでやってみましょう!」「このくらい大丈夫ですよね!」など、自分にとって「都合よく」決めてしまったりもします。

本来、不都合があってこそのコミュニケーションであったはずなのに、「都合よく」事を運ぼうとしてしまうため、コミュニケーションが荒くなったり、雑になったりしてしまうのです。

職員間の関係性における「慣れ」ほど怖いものはありません。だからこそ、小さなことまでキチッと振り返りたいと思います。

【この記事の内容】
<コミュニケーションを改善する4つのステップ>の解説
□古舘先生の<リフレクション記載例>
読んですぐ始められる!<ダウンロードOKのフォーマット(Word)>
古舘先生と読者とで繋がれる!<LINEオープンチャット>へのリンク

コミュニケーション不足の蓄積が重大トラブルにつながる

些細な事でも、その「ちょっとくらい」の小さなコミュニケーション不足が蓄積すると、お互いの信用が薄れていきます。そして、良い同僚性を築くことはできません。これは、有名な「ハインリッヒの法則」にも重ねて考えることができそうです。

ハインリッヒの法則とは、 1件の重大事故の裏には、29件の軽微な事故と300件の怪我に至らない事故があるというものです。学校現場では「ヒヤリ・ハット」という言葉の方がしっくりくるかもしれません。職員のコミュニケーションがうまくいかないとき、きっと裏で小さな何かが蓄積されていることでしょう。

連絡不足を簡単に流してしまったり、付箋一枚の確認を疎かにしてしまうなど、「仕方ない」けれど「落としている」ことが積み重なると、いずれ職員関係は歪んでいくはずです。

おかげさまで、私自身はたくさんの素敵な先生方に支えられてきました。これまで、「合わないなあ」と思うような学年もありませんでした。

しかし、全国的に見てみると、少なからず職員室で困っている先生はいそうです。管理職や学年主任に対する若手の悩みや、若手職員への接し方に悩むベテランなど、様々な事例があると感じます。

私自身もいろいろと振り返ってみました。すると、「もっと職員同士で話さないといけない」と振り返ることがたくさん出てきました。

4つのステップでコミュニケーションを改善

そこで私は、職員同士のコミュニケーションについて以下の4ステップで振り返ってみることにしました。これは、対人関係の気づきをもたらす心理学モデルとして有名なジョハリの窓の考え方を自分なりにアレンジしたものです。
今回は、同学年の先生方を想定して考えてみます。

 こんなことを話題にしたり、相談したりするとよいだろうという情報を書き出す。
 それらを
A、自分も話しているし、相手も知っている情報
B、周りに相談していない、自分だけが知っている情報
C、暗黙の了解となっている情報
に分類する。
 B、Cにしておくことのデメリットを想像して書いてみる。
 同僚に確認してみたり、積極的に自己開示をしてみたりする。

コミュニケーションをとるとよいと思う情報を書き出す

まず、自分の教室を思い出したり、任せられた仕事や授業の工夫などを想起しながら、①「こんなことを話題にしたり、相談したりするとよいだろうという情報を書き出してみます。私の場合は…

「各教科の授業について」
1.授業の進度と現在地(教科書のページ)を伝える。
2.この授業をこうやって(ICTの活用など)進めようと思っている。
3.評価テストをいつやる予定か聞いてみる。
4.漢字スキルや計算ドリルなどの扱い方(宿題か授業の冒頭か)などを聞いてみる。
5.実技テスト(体育や音楽など)の評価について細かいニュアンスを擦り合わせる。
6.印刷するプリントが必要かどうか確認する。

いかがでしたか? 
次回は、2023年7月25日の配信です。1学期の実践を振り返ることをテーマに学ぶ予定です。
よい1か月になりますように!

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