【ワーク型連載・課題2】 「教室のルール」を機能させる!

連載
★毎月25日更新★ 自分もまわりも笑顔にする! 中堅教師のリフレクションタイム
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岩手県公立小学校教諭

古舘良純
「自分さえ頑張れば」「あの子さえこうならば」から解放された時、なりたかった自分に出会えるはずです!

日々のリフレクションの様子をSNSなどで広くシェアし、自己研鑽する姿が多くの先生に支持されている古舘良純先生。これは、そんな古舘先生が提案する、みなさんに主体的に参加していただくワーク型連載です(1記事100円、毎月25日配信。1年間の連載です)。

配信月に合わせたテーマで提案しますが、参加はいつからでも大丈夫!
まわりの目を気にせず、自分のペースで学びを深めてください。

(今月から気がついた!という先生は、4月配信記事から参加してももちろんOKです)

さて、5月も下旬となった今回は、<教室のルールのリフレクション>を学びます。

その前に、4月に配信した「課題1」に取り組んで編集部へ送ってくれた先生たちへ、古舘先生からのフィードバックもありますよ!

執筆/岩手県公立小学校教諭・古舘良純

<課題1>のフィードバック

二十四節気で言えば「小満」が過ぎ、あらゆる生命が満ちていく季節を迎えています。
先生方、いかがお過ごしでしょうか。

運動会が終わった学校も多いかもしれません。ゴールデンウィークがあったとは言え、この2か月は怒涛の日々だったのではないかとお察しします。
本当にお疲れ様です。

この連載では、「自分もまわりも笑顔になる」ことを目的とし、私と同世代の中堅教師を中心に、「自身の学級を見つめ直す時間」をご一緒したいと思います。

さて、4月配信の「課題1」に取り組んでいただいた先生、ありがとうございました。ここで一部を紹介させていただきます。

ぺぱすけ先生・男性・20代

2年目です。初めて書きました。4つの疑問に対して、どのように書いたら古舘先生の意図通りなのかが分からず、とりあえず埋めてみました。 児童をみることの深さと難しさを日々感じています(大声などの問題行動がつい目立ってしまうため)。

古舘先生よりフィードバック

 一緒に振り返りの機会がもてること、嬉しく思います。ありがとうございます。
 さて、読ませていただいて感じたのは、先生と子どもとの関係性です。普段から良好な関係であるのか。それともお互いに牽制し合っているのか。また、周りで聞いている子は「いつもの2人」に対してどう感じているのか。そんな教室内に張り巡らされている関係性の糸を想像して読みました。
 先生が子どもの「Want?」に書いた、「存在感を示したい」「注目してほしい」という内容が実際にそうであるならば、今はきっと、周りから「気にされていない」のかもしれませんね。表面上の付き合いはあれど、どこか「無関心」なのかもしれません。
 そんな中、先生から全体に聞こえるように注意を受けたらどうでしょうか。きっと、彼らの「プライド」は傷ついたかもしれません。いわゆる「ぶつかる指導」になっているのかもしれません。「なだめるつもり」だとしても、子どもはどう受け取ったかはわかりません。そして、「禁止」が発動するところを見ると、立場上子どもたちは弱い。
 きっと、このままでは、「いつもの2人」はもっとエスカレートしていくことが考えられます。
 では、どうするか。私だったら、「◯◯くん、ちょっとおいで」と1人ずつ呼びます。そして、穏やかな口調で、「自分のWant?」を伝えます。その上で「ルールの確認」をします。それを次の子にも繰り返します。
 この効果は、2人に対してだけではなく、周りの子に大きな影響を与えます。「先生は、穏やかに、◯◯君に話しかけている」という印象を与えます。大きな声で全体に聞こえるように話しては、「俺はこうやって言われないようにしよう」「私は黙ってやっていよう」と当事者になることを避けます。
 2人に指導しているつもりでも、周りの子どもたちにとっては、「黙って課題に取り組みなさい。そうしないとこうやって注意するよ」と言われているようなものです。それも無意図的に。
 だから、いつもの2人は周りの「無関心さ」に対してアピールしているのではないでしょうか。深層心理では、意識せずに「寂しい思い」をしているのかもしれませんね。

ささみ先生・女性・20代

時には消えそうなモチベーションを、時には熱い思いを、古舘先生のVoicyを聞いて、奮い立たせながら通勤しています。いつもありがとうございます。

古舘先生よりフィードバック

 Voicyも聞いていただきありがとうございます。この場でもご一緒できて嬉しいです。
 さて、この事例が何年生のものかわからないため、何ともいえないのですが、4~5年生といったところでしょうか(汗)?
 こういったケースは、いかに自分が「ちゃんと乗っかってあげるか」に尽きると思います。「あー、よかったー!」「ごめんごめん、先生もちゃんと見ておくようにするね!」「思い出したのね! さっすがー!」です。心からそう思ってあげるだけです。試されていると思ったのなら、試されてあげればいいのだと思います。
 それで子どもが信じてくれるなら、朝飯前じゃないかなと思います。
 また、万が一先生が思い違いをしていて、子どもが本当に困っていたとしたら、子どもにとって大きな心の傷になりかねません。一時が万事です。
 ささみ先生が書いている通り、「先生に気にかけてほしい」のならば、どんどん気にかけてあげたらよいのではないでしょうか。
 「今日はどう?」「あ、ちゃんとかけてあるね!」「この前のミスは改善したんだね!」と言いながら、「ちゃんと見てるよ!」というメッセージを伝えると同時に、「ああいうことはしなくていいんだよ」と子どもに裏の指導を行うのです。
 最初は乗っかってあげたとしても、徐々に健全に注目を与えていくとよいでしょう。

しゅん先生・男性・20代

こんにちは。いつも学ばせてもらっています。8つの視点に沿って4月の一場面を振り返ってみました。お忙しい中だと思いますが、少しでもみていただけると幸いです。

古舘先生よりフィードバック

 給食から掃除まで、つないで考えているところが素晴らしいなあと思って読ませていただきました。ありがとうございます。
 4月はまだ「コロナ禍」であったことを考えると、しゅん先生の指導は適切だったと思います。泣こうが態度に出そうが、周りの子どもたちの健康や安全に対しては、譲れない部分を明確に押し出してよいと思います。
 だからこそ、教師の指示を通してしまった後の彼女へのケアを考えていらっしゃるのだと思います。素敵な姿勢です。
 ただ、少し気になったことがあります。それは、先生の言葉のチョイスです。
 例えば、「自分」の欄の「わがまま」や「許せなかった」や「泣けば許されるという考え」。
 例えば、「相手」の欄の「露骨に」「思い通りに」「挽回したい」です。
 それは本当に「わがまま」だったのでしょうか。彼女からしてみたら、先生が「わがまま」にうつったかもしれません。
 また、「許せない」なんてことがあるのでしょうか。これは「許す・許さない」という問題なのでしょうか。
 人間関係は鏡です。ミラーの法則です。「わがまま」という見方をすれば「わがまま」という見られ方をします。「許せない」と思えば「許さない」と思われます。こうした態度が、子どもたちとの関係性を決めていくのでしょう。教師はどういう態度で接したらよいのでしょうか。
 もしかしたら、「わがまま」ではなく、「強い意見」だとしたらどうでしょうか。「泣いてまで意見を採用してほしい」「意見を主張したいがために泣いてしまった」としたらどうでしょうか。彼女への見方が変わると思います。
 自分の言葉でうまく説明できず、かつ先生の意見も咀嚼できなかった。だから彼女にとっては「1年生の頃の経験」だけが自分の意見の根拠だった。とすれば、そこまで理解して「合意形成」を図っていけば、自ずと「許す・許さない」という言葉は選ばずに済んだかもしれません。
 きっと、しゅん先生も意図せずこうした言葉をチョイスしていたのだと察します。全ては受け手のことを考えることからスタートするのかもしれませんね。

みつ先生・男性・20代

今年度は時間に余裕があるので、基本、毎日振り返りをしています。個人的に大事にしているのは「書くこと」です。書いていると(こういう背景があったのではないか)と考えが生まれてきます。記事にもあったように「その瞬間に見えなかった事実や思いが浮き彫りになって」きます。振り返りを続けていると、その瞬間に背景を考える癖がついてきたように感じます。今回このワークシートを用いて振り返りをしてみました。普段は、子どもの行動からその背景を考えることに意識を向けていました。今回は、自分がどう考えていたのかという「自分の視点」が入り、新しい感覚でした。自分の価値観を掘り下げることも取り入れていきたいと思いました。ワークシートで難しかった点は、thinkとfeelの違いです。

古舘先生のフィードバック

 毎日の振り返りが体質になっているようで脱帽です。そんな中、ここでもご一緒できて光栄です。ありがとうございます。
 さて、タイトルを見て、読ませていただいて、またタイトルを見ました。すると、私の中では「逃避行動」というよりは、「心理的安全行動」のように感じられました(もっといい言い回しがあったら教えてください)。
 このままの状態では自分がもたないから、何とかして自分の安全を確保できるように行動しよう。つまり「自分を守る行動」をとっているのではないかと感じたのです。
 来る予定がなかった時間に支援級に来室したのも、きっとそこが「安心・安全」だからではないでしょうか。
 けれど、そういう子ほど「悔しい」「不安」な時にすなおに言葉にしたり、露骨に悲しんだりすることは難しいことだと感じます。つまり「健全に肯定的な注目を浴びる術」を持ち合わせていないのです。
 でも、「怒り」を抑えたり「恐怖」を乗り越えたりするために、何とか注目を浴びたい。そしてとった行動が「否定的な注目を浴びる紙飛行機」だったのではないでしょうか。私の考えすぎかもしれませんが……。
 仮にそうだったとしたら、「教室を出ようとした彼」に「どうした? 何かあったか?」「先生に話したいことある?」「先生が聞けることなら教えて」と受容してみてもよかったかもしれません。
 その上で、「でもね」と先生のテストに対する思いを伝え、不適切さに気づかせたり、適切な行動を考えたりすればよかったかもしれません。
 その子の特性がわからないまま、文面だけで想像してお返事しました。失礼があったら申し訳ありません。

教室のルールのリフレクション

さて、今月は「教室のルール」について振り返ってみたいと思います。

多くの教室では、この2か月で教室のルールが固まってきているのではないかと思います。しかし、徹底できている部分とそうでない部分があると思います。

しっかり機能しているもの、決めたはずなのに少しずつ緩んでいるもの、もはやあってないようなものもあるかもしれません。

今月は、改めて教室に存在するルールを想起し、リストアップしてみましょう。そして、何のためにあったものか、それがどう機能しているか、そして今の教室にフィットしているかを確かめたいと思います。

教室に安心感を生み出す1つの切り口として、きちんとルールが決まっていることが挙げられます。「わからないもの」はわかるようにし、「不透明な基準」はある程度明確にしていくと、子どもたちも安心して過ごすことができます。

このルール確認をおろそかにしてしまうことは、教室が少しずつ崩れていく原因になり兼ねません。

それでは、今月のリフレクションについて、手順や方法をご紹介したいと思います。

【この記事の内容】
<教室のルールのリフレクション>3つの手順
□リフレクション結果の<見方><ネクストアクション>
古舘先生の<リフレクション例>
<課題>の確認と<提出フォーム>

教室のルールを思いつく限り書き出す
グルーピングしてラベルをつける
気になるグループを決める

教室のルールを思いつく限り書き出す

この過程で、ずいぶん教室のルールがスッキリしていくと思います。
学級によっては、子どもたちと一緒に書き出してみてもいいかもしれません。

ここでは、見えるものから順に出していくとわかりやすいです。これは、教室の1日の流れを想像しながら行ってみてください。

いかがでしたか? 
次回は、2023年6月25日の配信予定です。
1学期の締めくくり方、夏休みに突入する際の心構えなどについて学ぶ予定です。
よい1か月になりますように!

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