児童からの質問に、ちゃんと答えられてますか?~ニュースでよく聞く、似た言葉の違い~

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マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~
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元山形県公立学校教頭

山田隆弘

児童からの突然の質問が怖い! こんなことを感じたことはありませんか?知りたい星人のキッズたちは、どんどん質問をしてきます。そういえば自分もあやふやなまま過ごしてきたなあという事柄、けっこうありますよね。職員室で話題にしてみると、案外他のせんせい方もよくわかってないことが多いです。ちょっと立ち止まってみましょう。

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「ねえねえ、せんせい! ○○と□□ってどう違うの?」
そんなの辞書や事典で調べなさい! 素早くネットで調べなさい! と言うのは簡単ですが、ちょっと博識なところ(?)を見せてみたいですね。咄嗟に答えられればせんせいの株が上がると言うものです。よく聞かれる言葉、授業のとき説明が難しい言葉、普段から思っているちょっと説明が難しい言葉、そんな言葉を選び、児童に答える感じてまとめてみました。

まずは、ニュースでよく聞く言葉(社会科)編です。何となく意味がわかるので、ついスルーしてしまいがちですよね。さて、この違いに答えられますか? わたしは、こんな風に児童たちに伝えています。

ニュースでよく聞く言葉の違い!

重体と重傷

「重体」は、病気やケガで容体がかなり重いとき、つまり生き死にに関わるような場合に使います。そして「重傷」は、大きな傷を負ったり、血は出ていないけど治るまで時間のかかるケガの時に使います。
重体を「瀕死(ひんし)の重傷」と言い換えることがありますが、これは「いつ死ぬかも分からないような大きなケガ」と言う意味だね。
また、ケガの程度を表す言葉に「軽傷」と言うのもあります。「重傷」は治るのに30日以上かかるケガ、「軽傷」は30日未満で治るケガの時に使うんだよ。

出血と失血

「出血」はケガなどで血管が破れ、血管の外に血液が流れ出ることだね。「失血」は、出血によって大量の血液が流れ出て、体から失われることをさすんだ。「出血」は日常的にあるけど、「失血」は、命に関わるようなときに使うね。人間は、体の中に流れている血液の半分程度を失うと、死んでしまうと言われているよ。

戦争と紛争

どちらも争いごとには変わりはありませんが、「戦争」は大規模な、国家対国家の武力を使った争いが起こってしまった場合に使います。
「紛争」はある国の中でグループ同士が争う場合など、比較的小規模な争いを言います。
また「紛争」は、宗教や民族の違いによる差別、経済上の対立(重要な品を売る・売らないなど)、土地や資源の奪い合いなど、さまざまな原因で起こり、武力を使った争いだけにとどまりません。

総理大臣と首相

日本では、この二つは同じように使われていますね。
総理大臣は、正式には「内閣総理大臣」と言います。内閣を統一管理する大臣、と言う意味です。
市役所や警察・消防のように、国が決めた法律に基づいて、公共の仕事を行うことを「行政」と言います。その行政のトップにいるのが、内閣です。
内閣は、さまざまな行政機関のリーダーである大臣が集まって作られています。例えば文部科学省のリーダーは文部科学大臣、外務省のリーダーは外務大臣などと言いますね。
「首相」の「相」は、この大臣を指します。
そして「首」はリーダーを意味します。「首長」「党首」などとも使いますね。つまり大臣の中でもいちばんリーダー的な大臣と言う意味で「首相」と言うのです。外国でも、議員内閣制の国のトップは「首相」と言います。「総理大臣」と言うのは日本独特の言い方なんだよね。

原油と石油

ニュースではどちらの言葉もよく聞きますね。「原油」は、地下からわき出た、自然そのままの状態の油です。「石油」は、「原油」を加工して化学的に精製したものを指します。「石油」をさらに加工して、目的別に使いやすくしたものが石油製品です。わたしたちが暖房などに使っている灯油、車に入れるガソリンや、飛行機を飛ばすためのジェット燃料などがありますね。

マグニチュードと震度

地震のニュースの時、アナウンサーがどちらの言葉も言いますね。「マグニチュード」は、地震が起こったとき、その地震の発生源がもつエネルギーの強さを表すときに使う言葉だよ。「マグニチュード」が1段階違うとエネルギーは約32倍違うから、2段階違うと32×32で、何と1024倍も差が出てくるんだ。
「震度」は、この地震のエネルギーが伝わっていき、ある場所でどのくらいの強さで揺れが起こったかを表すんだ。だから、震源地からの距離や地形などによって、各地で「震度」は違うんだね。この違いをとらえておくことが自分の身を守る第一歩と言えるね。

利息と利子

銀行などでお金を借りると、その金額や借りた時間の長さによって、借りた金額に上乗せしてお金を返すことがルールになっています。借りた人が支払う、上乗せされた金額を「利子」、貸した人が余計にもらえるお金を「利息」と言います。例えば、銀行がある会社に、1年の利息(年利)10パーセントで100万円を貸したら、その会社は1年後に利子を含めて110万円支払う必要があり、銀行は利息10万円のもうけが出た、と言うことです。
また、銀行預金では「利息」と呼び、郵便貯金では「金利」と言う言葉が使われているようですね。

預金と貯金

金融機関で呼び方が違うんだね。銀行・信用金庫・信用組合などでは「預金」、郵便局やJAなどでは、「貯金」と言うことが多いです。「預金」は金融機関にお金を「預ける」と言う意味ですが、「貯金」は貯金箱にお金を入れるように、自分自身でお金を「貯めておく」ことも含みます。どちらも同じ意味で使う言葉だと覚えておけばいいでしょう。

近畿と関西

古い時代の中国では、王様や皇帝といった偉い人が自分のお城を中心とした一定範囲の土地を自分で直接支配し、そこを「畿(き)」と呼んでいました。その他の領土は、地域ごとの領主などに、支配を任せていました。
「畿内」とは王様が支配する範囲の内側、つまり「王様が住んでいる所」と言う意味ですね。古代の日本でもこれをお手本として、大和(奈良県)、河内(大阪府)、摂津(大阪府・兵庫県)、山城(京都府)の4つの地域を畿内にしました。あとで河内から和泉が分かれて、畿内は5つの地域となりました。「近畿」は「近畿地方」の略で、この5つの地域とその周辺を指します。現在の、京都・奈良・大阪・滋賀・兵庫・和歌山・三重の二府五県だね。
「関西」は、関所の西、と言う意味。近畿地方には、とても厳しい関所が3か所あり、東日本に住む人は、それを越えないと近畿地方に入れなかったので、「関所の西の地方」で、「関西」と言う言葉が広まったようですよ。
行政機関では「近畿」、マスコミなどでは「関西」とよく使います。教科書では「近畿地方」としていますね。

砂漠と砂丘

「砂漠」は、雨が極端に降らないために植物が全く生えていないか、まばらな所です。中国語の「沙漠」がもとです。暑い場所のイメージがありますが、雨がほとんど降らない場所のことなので、中東の高地などには、「寒冷沙漠」と呼ばれる場所があったりします。
いっぽう「砂丘」は、風によって運ばれた砂が積もり積もってできた地形を表します。地図帳に載っている、「鳥取砂丘」が有名ですね。
なお伊豆大島には「裏砂漠」と呼ばれる場所がありますが、砂漠を思わせるような場所、と言う意味合いです。雨が豊富に降る日本には、本当の意味での砂漠はありません。

山と丘

実は明確な区別はないようです。ですから何メートル以上が「山」でそれ以下が「丘」とう定義はないのです。一般的には周囲よりも高く盛り上がった地形を「山」とし、なだらかな傾斜の場合は「丘」と呼びますが、地域の住民の人たちの呼び方などにも由来するようですね。
ちなみに大阪には、天保山(てんぽうざん)と言う、5メートルにも満たない山があります。

和牛と国産牛

日本で古くから育てられている牛と、その牛をもとに昔交配・改良された牛たちです。黒毛和牛など、4種類います。牛乳を作ってくれる白黒もようの「ホルスタイン」は、海外から来た有名な種類ですね。
「国産牛」とは、日本で生まれ育った「和牛」以外の牛とされています。日本で生まれ育ったホルスタインも、もちろん「国産牛」ですね。また、ホルスタインと和牛の間に生まれた牛など、さまざまな種類の国産牛がいます。
ちなみに海外で生まれた牛でも、3か月以上日本で育てられると「国産牛」と見なされるそうですよ。

にっぽんとにほん

「にっぽん」と「にほん」は、いずれも漢字「日本」の読み方なのですが、法律的にも行政的にも明確な読み方の定めがありません。歴史的には「にっぽん」と言う読み方の方が古いです。徐々に変化して江戸時代になり、「にほん」に変化してきたと言われています。スポーツなどでの応援では、「がんばれ、ニッポン!」と言いますよね。その時々で使いやすい方を使うことでいいとされているようです。

文化と文明

お互いに言い換えのきかない言葉ですし、違いを説明するのはかなり難しいです。
「文化」は、広い意味で、人間が作りだした、社会を形作るためのあらゆる要素をさしていると言って良いでしょう。言語やしきたり、芸術、道徳、宗教や制度など、その民族や地域、社会の独特なようすです。
「文明」とは、この「文化」の中で、科学やテクノロジー、政治や社会制度など、経済的・物質的な面が特に進んでいるときのことです。他の国や、その国の過去と比較して、こうした要素が進んでいることを区別化するときによく使われます。
例えば明治時代の「文明開化」は、西洋の文化を参考にしながら、江戸時代よりも物質的に豊かで、技術や制度がすすんだ時代を作りましょう、と言う考えがもとになっています。
社会科の教科書などでこの言葉が出てきたらチェックしておきましょう。

台風とタイフーン、ハリケーン

これらは、勢力の強い低気圧がおこす強い風のことです。
台風は、赤道より北で、東経180度より西の地域で発生した、風速17.2m(時速約60キロ)以上の勢力を持つ熱帯低気圧をさす言葉です。東経180度と言うのは、「日付変更線」のあたりです。みなさんも、地図や地球儀を見て確認してみてくださいね。
タイフーンは、中国語(広東語)の「大風(tai fung)」が英語の”typhoon”になったものです。日本語の「台風」のもとになった言葉ですが、タイフーンは台風の中でも、特に勢力の強いものを指します。風速32.7m(時速約120キロ)以上の勢力になると、タイフーンです。
ハリケーンも、タイフーンと同じ強さの、勢力の強い低気圧のことですが、発生場所が異なっており、北大西洋・カリブ海・メキシコ湾など、アメリカ大陸の付近で発生したものを言います。またベンガル湾やインド洋などで発生したものは、サイクロンと呼びます。

国立公園と国定公園

「国立公園」は、環境大臣によって指定された、景観が特にすぐれた自然公園のことです。「国定公園」もすぐれた公園なのですが、ダムや歴史上の重要な場所など、自然公園でないところも入っています。また、国立公園は環境省が管理保護を行いますが、国定公園は都道府県が管理保護を行っています。

以上、今回社会科編(ニュース)の16の『言葉の違い』を紹介しましたが、もっともっと児童が疑問に思うようなたくさんの言葉、説明に難しい言葉があります。自分であれっと思った言葉や児童から問われて即答できなかった言葉などはノートにメモしておいて、きちんとシンプルに答えることができるようにしておきたいですね。

★マスターヨーダの喫茶室 情報ノートで正しいことを見極めよう

【参考図書】
この言葉の違いを言えますか? / 博学こだわり倶楽部(KAWADE夢文庫) (河出書房新社)
この言葉の「違い」、説明できますか? / 日本こだわり雑学倶楽部(講談社)

イラスト/したらみ


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山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、さまざまな分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、さまざまな資格にも挑戦しているところです。

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