小学校から中学校へつなぐ ~中学校進学に向けての引き継ぎ~
中学校進学を控えた子供たちは、小学校から中学校への大きな環境の変化に対する期待と不安でいっぱいになっています。学級には、一人一人異なった特性を持った子供たちが集まっています。配慮や支援を要する子供もたくさんいます。子供たちの不安を取り除き、安心して中学校へ進学できるよう、きめ細やかな準備を進めていきましょう。
執筆/岡山県公立小学校教諭・橋本久美
目次
引き継ぎを大切にしたい児童の例
- 人間関係を築くことが苦手な児童
- 発達障害の診断を受けている児童
- 家庭環境が複雑な児童
- 不登校傾向の児童
- 低学力の児童
- 食物アレルギーのある児童など
児童一人一人の不安や願いに寄り添うようにします。
人間関係をつなぐ
配慮を要する児童は、「困り感を伝える力」を身につけることが大切です。
卒業を間近に控えた時期だからこそ、学級の中で、自己有用感を高める場や人間関係を深める活動を積極的に設けるようにしましょう。
情報を共有する
配慮を要する児童が安心して中学校へ進学できるよう、担任がパイプ役となり、全教職員、外部機関、保護者が連携して情報を共有することが大切です。
複数の視点で子供を多面的に捉え、個人ファイルの作成や更新を行い、確実に中学校へ引き継ぎましょう。
診断結果や検査結果等の個人情報は、管理職や保護者の了承を得て、中学校へ引き継ぎます。取り扱いに十分気をつけましょう。
小学校と中学校をつなぐ
子供と中学校をつなぐ
- 中学校の先生による出前授業
- 中学校の先輩からのビデオメッセージ
- 中学校の先輩を招いての説明会
- オープンスクールや部活動体験会
- オンラインによる交流
- 体育祭や文化祭など学校行事への積極的な参加
- 6年生と中学1年生の合同行事を行う
保護者と中学校をつなぐ
- 中学校入学説明会
- 小中学校合同保護者面談
- 保護者に対する中学校公開日の設定
- 入学前の個別面談
中学校入学前に、中学校の先生、保護者と子供、小学校の担任の四者で事前の個別面談を行うと、不安を取り除く効果が大きくなります。
小・中の教職員間をつなぐ
- 小中学校連絡会の開催
- 配慮を要する児童の合同ケース会
- 個別の教育支援計画や個別ファイル等の情報共有化
最終確認 一人一人に寄り添う
学級のすべての子供たちが期待に胸を膨らませて中学校へ進学することは、学級担任の切なる願いです。
今一度、学級の子供たち一人一人に寄り添い、信頼関係を深めることで、中学校進学に向けての不安や課題は何なのかを見極め、効果的な支援を行いましょう。
イラスト/北澤良枝
『教育技術 小五小六』2022年2/3月号より