小6国語「柿山伏」指導アイデア

教材名:「柿山伏」光村図書

指導事項:〔知識及び技能〕(3)ア・イ 〔思考力、判断力、表現力等〕C(1)エ
言語活動:イ

執筆/神奈川県公立小学校教諭・阿部真央
編集委員/文部科学省教科調査官・大塚健太郎、神奈川県公立小学校校長・丹羽正昇

単元で付けたい資質・能力

①身に付けたい資質・能力

狂言を真似て音読することを通して、「柿山伏」の面白さに気付いたり、狂言特有の言い回し、言葉の響きやリズムに親しんだりしていきます。また、登場人物の人物像を捉え、昔の人の感じ方についても考えを深めていき、狂言や古典への興味・関心を高めることを目指しています。

人物像を捉えるためには、音読を繰り返して内容を理解すること、作品の全体から登場人物の行動や会話などの複数の叙述を関連付けて読むことが大切です。また、視聴覚資料を用いることで狂言特有の言い回しや動きなどの面白さにも気付くことができるので、教科書と併せて効果的に活用しましょう。

②言語活動とその特徴

本単元では、「言葉の響きやリズムに親しみながら人物像を考えて読み、狂言の面白さを伝え合う」という言語活動を位置付けます。言葉の響きやリズムに親しむために、音読を繰り返してやりとりの面白さを感じたり、自分達が普段使っている言葉と比較したりすることが大切です。

また、人物像を捉えるために、登場人物の会話や行動に着目し、作品全体を読むことが大切です。そこから、登場人物の面白さに気付くことができ、さらに、『「柿山伏」について』などの古典について解説した文章と本文を重ねて読むことで、昔の人の感じ方などを知り、今と昔を比較したり登場人物の行動の背景を具体的に考えたりすることにもつながります。「柿山伏」を通して、狂言の世界を楽しみ、古典への興味・関心を高めていきましょう。

単元の展開(4時間扱い)

主な学習活動

第一次(1時)

①「古典芸能の世界」での学習を想起し、狂言について知っていることを確認する。映像資料や絵本を用いて、狂言の作品について簡単に知る。
・「狂言 柿山伏」の映像を視聴し、面白いと感じたことを伝え合い、狂言への関心を高め、学習課題を設定し、学習計画を立てる。

②グループで目的や条件などを具体化し、話合いの計画を立て、自分の考えを整理する。

【単元】音読を通して、狂言の面白さをたくさん見つけ、伝え合おう。

第二次(2・3時)

②「狂言 柿山伏」を音読し、言葉や内容の面白さについて話し合う。
→アイデア1 主体的な学び

③『「柿山伏」について』を読み、狂言や「柿山伏」への理解を深め、山伏と柿主の人物像について話し合う。
→アイデア2 対話的な学び
・話し合った人物像を音読に生かす。

第三次(4時)

④グループごとに音読を見せ合い、感想を伝え合う。
・狂言の面白さを伝え合う。

→アイデア3 深い学び

アイデア1 自分で声に出して読むことで面白さに気付く

主体的な学び

山伏と柿主になりきって、動きや声の出し方を真似して音読します。音読することで、分からなかった言葉について確かめ、内容の理解を深めたり、言葉の響きや内容の面白さに気付いたりすることが大切です。

山伏の「えいえい、やっとな。」のところは、最初の方に何度も出てくるし、リズムが良くてすぐに覚えたよ。この言葉で、柿をねらって石を投げたことが分かるし、言い方を変えると重い石を持っている感じも伝わるね。

とびの真似をする二人のやりとりが好きだな。だんだんテンポが速くなっていって、ついに山伏が木から落ちてしまうところが面白いと思ったよ。楽しかったから、もっと真似してもう一回読んでみよう。

また、自分で音読することで「柿山伏」の言葉と現在の言葉の違いに気付くことができます。

狂言では、からすの鳴き声を「こかあ」と表現しているけど、からすは「かあ」と鳴くイメージがあるな。さるも「きゃあ」ではなく、ぼくが山伏だったら「ウッキー」と言うよ。昔と今では、動物の鳴き声の表現の仕方も少し違いがあって面白いな。

音読を通して言葉の違いに気付いている児童の発言を紹介したり、どうしてこの場面を選んだのかなどを尋ねたりすることで、児童が感じている狂言の面白さを言語化できるようにしていきましょう。

◯◯さんが、今と昔では、動物の鳴き声の表現の仕方が違うと言っていたよ。みんなはどう思ったかな。他に、今と昔の言葉の違いを感じた人はいるかな。

【ここで気付く狂言の面白さ】
・言葉 ・動き ・内容 ・独特な声の出し方 ・やりとりのリズムやテンポ

イラスト/横井智美

『教育技術 小五小六』2021年12/1月号より

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