国語科「すがたをかえる大豆」発問の極意#4

連載
子どもの主体が立ち上がる 国語科 単元別 発問の極意

筑波大学附属小学校教諭

白坂洋一
国語科 発問の極意 バナー

前回第3回では、説明文「すがたをかえる大豆」をもとに、〈誘発発問〉と〈焦点化発問〉を取り上げました。

事例のつながりを明らかにするために、誘発発問においては選択型発問を取り入れていること、そして問い返しで全体へと広げ高めることによって、子どもの学びを組織化していくことを紹介しました。さらに焦点化発問によって、筆者の論の進め方の工夫に着目できるようにすること、そのための出発点として、説明されている内容でもある事例を話題とした発問としていること、「くふう」を観点に評価する読みを取り入れていることを紹介しました。

今回は、単元終末の発問について<再構成発問>を取り上げます。また、1時間を取り上げた授業の実際を紹介します。

執筆/筑波大学附属小学校教諭・白坂洋一

「再構成発問」で単元での学びを自覚化する

再構成発問を、私は「学びを定着させる発問」として位置づけています。これまでの単元を通した学びを生かし、表現することを通して、意味づけを促します。子どもたちは、学びの過程をふり返ることによって、単元での学びを自覚化するのです。

そこで、単元終末における再構成発問が

「筆者の説明のしかたには、どんな工夫がありましたか?」

です。

この発問によって、これまでの単元を通した学びをふり返っていきます。

例えば、次のような内容が子どもたちから挙げられるでしょう。

国語科「すがたをかえる大豆」発問の極意#4 表

子どもたちの実態や学習経験によりますが、次のような発問も考えられます。

・筆者の説明のしかた(述べ方)で、よかったのはどこですか?

・新しい発見はどんなことがありましたか?

再構成発問によって、単元を通した学びを明示化することにより、第三次における「書くこと」の表現活動へと広がっていきます。

教科書でも「食べ物のひみつを教えます」という単元が設定され、食べ物について調べて、説明する文章を書くことが設定されています。気をつけたいのは、ただ調べて書くだけの活動になってしまわないようにすることです。学校図書館などで科学読み物を使って調べてまとめていくため、再構成発問によって、子どもが学びを自覚化することができるようにしたいものです。

単元の終末では、発問と合わせて、次に挙げる2つの点を意識しておきたいところです。

1つ目は、これまでの学びの足跡でもあるノートです。子どもたちはノートを見直す中で、学習内容に関わる言葉を取り出し、まとめていくとともに、学習内容を自覚化することができます。国語科の場合、授業で扱われた用語や読みの方法、言葉と言葉の関係が手がかりになります。まずは教師と子どもが一緒になってノートや板書からキーワードを取り出し、整理・確認していくとよいでしょう。

2つ目は、学んだことを身体化し、味わい直す場を設定することです。説明文「すがたをかえる大豆」では第三次で題材を変えて書くことを設定しています。このように「書く」「話す」などの表現を伴う言語活動を設定することによって、学んだことを身体化し、味わい直す場をつくり出すようにするのも効果的です。

これらを通した学びの自覚化によって、「他の場面には使えないかな」「あの方法が使えそうだ」と、子どもたちは見通しを立てて考えることができるようになります。この学びの自覚化は、国語科だけに関わらず、他教科にも通ずるものでしょう。

授業の展開 ~「また」「さらに」は、「そして」と言い換えることができますか?~

ここからは授業の展開を紹介します。前回第3回目で扱った焦点化発問の1時間を取り上げます。

本時のねらいは、「大豆の工夫のすごさを話題として話し合うことを通して、接続詞を観点として事例の順序性を読み、『また』『さらに』を生かした作文をすることができる」です。

展開① まず、説明されている事例について話し合い、仲間分けを行いました。

T:すがたをかえる大豆はすごい?
C:すごい!
C:こんなに大豆をいろいろと食べているというのは知らなかった。
C:もやしが大豆だというのは初めて知った。
T:どんな大豆が出てきましたか?
C:きなこ
C:とうふ

前時のふり返りでまとめたすがたをかえる大豆のすごさについての考えを交流しました。その上で、本文で説明されている事例(大豆)を確認し、「手をくわえて、おいしく食べるくふう」を観点に仲間分けをしていきました。子どもたちは仲間分けはスムーズに行いましたが、ここでの手立てとして、例えば「いちばん分かりやすいのは?」「次に?」と事例の並びを示す接続語を使って確認し、板書に記していくのも1つの方法です。

 

展開② 次に、評価読みを取り入れ、「どの大豆の工夫が一番すごいか」について自分の考えを発表するようにしました。

T:どの大豆のくふうが一番すごいですか?
C:ぼくは、目に見えない小さな生物の力を借りて、(大豆とは)全く違う食べ物にするというのがすごいなと思っていて、そこから、納豆や味噌や醤油ができているのはすごいと思った。
C:私は大豆にふくまれる大切な栄養だけを取り出すというのがすごいと思っていて、豆腐をつくる方法が説明されていたから、余計にすごいと思った。

「くふう」を観点に評価することで、子どもたち同士の交流の契機としていきました。ここでは、板書で「手をくわえて,おいしく食べるくふう」を観点に仲間分けされたものを受けて、どの大豆の工夫が一番すごいかについて自分の考えを発表していきました。黒板にネーム磁石で自分の選択を位置付けさせて、立場を明確にした上で、意見を交流していきました。

この場面でもっとも大切にしたのが、異なる意見との考えの交流です。まず、同じグループで集まって話し合いをした上で、異なる意見でグループ化し、考えを交流するようにしました。そこから全体での話し合いへと展開していきます。その際にはナンバリングを使って、次のように指示しました。

「大豆をその形のままいったり、にたりして、やわらかくおいしくするくふうを①、こなに引いて食べるくふうを②、大豆に……とします」

そして、「せーの」で自分の立場を指を使って表します。その後、「同じ数字の人と集まって理由を話し合いましょう」「違う数字の人と集まってお互いに理由を話しましょう」と指示するのです。

そうすることによって、異なる意見との交流を促していきました。

その後、黒板を示しながら「でも、並び方はここが『いちばん』となっていますよ」と発問し、子どもたちが「いちばん分かりやすいのは」「次に」「また」「さらに」という事例の順序性を問題化するように仕向けていきました。

 

展開③ さらに、段落相互のつながりについて話し合っていきます。

子どもたちが接続語に着目し、段落相互のつながりを考えはじめたところで、次のように発問しました。

T:「また」「さらに」は、「そして」と言い換えることができますか?
C:いや、言い換えると、豆腐のある⑤段落や納豆や味噌のある⑥段落のすごさがあまりすごくなくなってくる。
T:どういうこと?
C:「えいようだけを取り出」したり、「目に見えない小さな生物の力をかり」たりして、ちがう食品にしているすごさが分からなくというか、弱くなってしまう。
C:「また」「さらに」にも、すごさが含まれているってことでしょ?

「また」「さらに」を「そして」に言い換えることができるかを発問しました。本文と教師が提示した「そして」を比較することを通して、⑤段落と⑥段落の事例のすごさが強まるのか、弱まるのかについて話し合っていきました。

 

展開④ 接続詞「また」「さらに」の効果について話し合い、効果を生かして作文を書いていきます。

T:「また」「さらに」を使うことで、工夫のすごさはどう変わっていますか?
C:「また」「さらに」を使うことで、工夫のすごさが上がってくる。
C:読んでいて、「また」「さらに」のほうが驚きがある。

「また」「さらに」を使って事例を述べることで「手をくわえて,おいしく食べるくふう」のすごさがどのように変わっているかについて考え、話し合うようにしていきました。授業の終末では、接続語に着目することで、事例の順序性が見えることを押さえました。

「また」「さらに」の効果を味わったところで、書く活動へと生かしていきます。第6時では、なわとびや跳び箱のしかた、ノートの取り方などを事例に「また」「さらに」を使った作文に取り組むように授業を展開していきました。

国語科「すがたをかえる大豆」発問の極意#4 ノート
国語科「すがたをかえる大豆」発問の極意#4 ノート
子どもの作文

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