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「締め切り」を考える ~まずは3つの方法でやってみよう~

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マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~
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元山形県公立学校教頭

山田隆弘

最近、働き方改革を推進し、世の中は定時に仕事を終え、アフターファイブを充実させる動きがあります。たいへんいいことです。昭和の時代は、国語の授業準備で教科書に掲載されている文学作品の文章を丁寧に大判用紙に書き写し、児童が見やすいように掲示物を作りました。算数の授業準備では、例えば図形の概念がよく分かるようにOHP(オーバーヘッドプロジェクター)用のシートを苦労しながら動くように作ったりしました。夕食時間を過ぎてもお菓子などを食べながら、夜遅くまで教材研究や教材づくり、評価事務をしていました。こういった仕事ぶりが、一生懸命やっている熱心な教員の姿として評価されてきました。研究校などに指定されると、「不夜城」と言われるほど夜遅くまで煌々と明かりがついた職員室や教室が存在しました。
でも、これらの教材づくりなどの作業は、ICT機器の活用で、ほぼ不要な作業となりました。定時に帰るということもほんとうに現実的なものになってきました。
しかしながら、最近よく耳にするのは、提出物を出さないで…、つまり締め切りを守らないで帰ってしまう人の存在が…。さて、これをどう考えていけばいいのでしょうか。

【連載】マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~

イラスト/したらみ

締め切りを守れない…

最近、実践家の方々の論考、あるいは若手教員のツイッターなどの投稿をみていると、
「定時に帰ろう!」
「違法な時間外勤務をなくしましょう!」
「大きな仕事は断ろう!」
という主張が多く見受けられます。もちろん、しっかり仕事の締め切りを守った上であれば、それは大変に結構なことだと思います。
しかし、管理職やミドルリーダーの方々とお話しすると、半分笑い話ですが…。

締め切りを守らないで、遅れるという断りもなく平然と早く帰る人が多くなってきた。それで指導しようと思っても、最近は、「○○ハラ」「□□ハラ」の「ハラハラ恐怖」でうまく指導もできないんです。

ということを伺いました。以前は厳しい先輩方から、「ちゃんと出したか!」「締め切りを過ぎるなど言語道断!」ときびしく指導されましたが、昨今の世相風潮から、なかなか強い指導がためらわれる、ということが実態なのかもしれません。

でも、ここでじっくり考えてみたいのは、教員のみなさんは、学生時代にさまざまな難関を乗り越え、宿題、レポート、卒論提出など締め切りに追われ、苦労しながらそれらをこなしてきた人々だと思います。それが、なぜ締め切りを守れないほどになるのか。それは日々の業務が多すぎて、勤務時間内で処理することができないことが多く、処理能力がいっぱいいっぱいになること、勤務時間終了後には極度の疲労がたまっていることなどが要因ではないでしょうか。

日々の業務の中で上司や先輩から打ち込まれるボールをレシーブするので精いっぱい。心理的な余裕をつくることができずに「自分は精いっぱいやっているのに…、がんばっているのに…。」という精神状態になり、何をどうすればいいのかという改善しようという発想にまでいたることができないのではないでしょうか。言い換えれば、自分から自主的に仕事のし方をクリエイトできるようになれば自然と改善する方向にいくと思われます。

ではどうしていけばいいのでしょうか?

締め切りを守るコツ1 『締め切り効果』を利用する

「○月□日の何時まで、☆☆を提出すること」と提出期限が設定される仕事の場合。
こうした提出期限は、通常、少し時間的な余裕をもって設定されているものだと思います。
これがくせ者です。世の中の多くの人は、仕事に期限が設定されている場合、その期限内いっぱいの時間をかけて仕事するものだからです。逆に言うと、心の余裕が能率を下げているとも言えるわけですね。
だから、例えば「この仕事は木・金曜の夕方だけでやる」など、無理のない範囲で使える時間を少なくし、その中でやるのだ! と心に決めると、集中力が高まって効率が上がります。
これを『締め切り効果』と言う人もいます。この効果を利用したいですね。
早く仕事を終わらせると清々し、気分が軽くなりますよ。

また、どうしても段取りが上手くいかず、締め切りを超えてしまいそうな時は、必ず提出先の担当者に、「○○○の理由で、締め切りに提出できません。△△日まで必ず提出しますので、お待ちいただけますか?」とあらかじめ(少し前の段階で)相談する習慣をつけましょう。
実はわたしには、教務主任をしていた時にいやな思い出があります。ある時、市の教育委員会に提出する書類の作成が遅れてしまいました。おそるおそる担当者に電話をかけ、
「明日にしていただきたい」
とお願いしました。すると、担当者はおそらく長期出張などが控えていて、提出物を点検集約し、県に報告するための処理日が、その日しかなかったのでしょう。
「わたしはいつまでも待っていますから、今日中にお届けください」
と言われました。
うわあ…。つまり、それからものすごい勢いで、書類を作成し夜に届けました。
レアなケースかも知れませんが、そんなことも有り得ますから…。

締め切りを守るコツ2 『自分締め切り』=強制的に時差を設定する

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