【相談募集中】特別支援学級への通級を勧めたいが、どう伝えればよい?

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兵庫県公立小学校教頭

関田聖和

発達障害の疑いがある子の保護者に特別支援学級や通級指導を勧めたいが、どう伝えればよいでしょう? という相談が「みん教相談室」に寄せられました。この悩みに回答した兵庫県公立小学校教頭で公認心理師 特別支援教育士スーパーバイザーの関田聖和先生の内容をこちらでシェアします。

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Q. 発達障害のある子に、特別支援学級や通級指導を勧めたいのですが…

採用されて2年目で、1年生の担任をしています。ディスレクシアと発達障害を疑う子供が学級内にいて、保護者の方に特別支援をどう勧めるか悩んでいます。

入学式中は一切座っていることができなかったので、懇談の際に触れましたが軽く流されました。ひらがなが半分しか入っておらず音読が厳しいことを伝えたところ、「いつかできるようになると思うんですよねー」と軽い反応。保護者の方が忙しく、お家でも音読の宿題などは見られていないので、危機感があまりないようです。

このまま学年が上がると勉強も難しくなり、ますます子供も担任もきつい状態になると思います。保護者の方にどのように特別支援学級や通級指導を勧めればいいでしょうか。(メリーさん先生・20代女性)

A.長期戦を覚悟の上、特別支援教育コーディネータを交えて校内で共有を!

メリーさん先生が早期にお子さんの実態を観察して、その言動の背景を理解をしようとすることは、個別最適化の学びを進めるうえでも重要な視点です。2年目でこの感性があることに尊敬の念を抱きます。

まず大前提として、こういった場合は長期戦を覚悟するということです。なぜならば保護者の方にどう勧めるかということは非常に難しく、専門家でも二の足を踏むことがあるからです。

子供の困っていること、場合によっては子供に障害があるのではないかと捉えるときに、上田 敏氏(「障害の受容―その本質と諸段階について」 1980年『総合リハビリテーション』)は、次の5段階に分けて受容されていくとしています。

1.ショック期

2.否認期


3.混乱(怒り、うらみ、悲観、抑うつ)期


4.解決への努力期


5.受容期

指導者や支援者側が、より早い手立てが必要と感じ、専門機関へつなぎたいと考えることはごく自然のことです。しかし、保護者の方は上記のような理解と受け止めの段階を踏むので、なかなか話が進まないことはよくあります。保護者が見せている危機感がないと思われる行動についても、もしかすると本当に危機感がないわけではないのかもしれません。

入学式の様子を想像しましたが、おそらく就学前の場でも、何かしらの困ったことはすでにあったのかもしれません。一度、就学前にいただいた情報などを参考にしてみましょう。

次に、学年の先生、特別支援教育コーディネーター、管理職に相談しましょう。もしかすると、メリーさん先生以上の情報を持っているかもしれません。何よりも、共有することで、次の手立ても見つけやすくなります。

そして教室内でできることを探し、保護者の方に提示しましょう。ここも2段階あります。

①「Aさん(仮にAさんとします)はここまではできるのですが、このあたりは取り組みが難しいようです。そこで、教室の国語の時間では書く量を調節して取り組んでみます。」

②「私も先輩の先生方に聞いて取り組んではいるのですが、なかなか難しい状況です。そこで、読み書きの専門の方に助言を求めたいのですが、お母さん、一度行ってみていただけないでしょうか。」

と促します。この話をするときは学年の先生、特別支援教育コーディネーターが必ず同席してください。

①から②へ話すには少し期間が必要です。試してみたけれども、難しかったと伝えるためです。そして②は必ず複数の教師で対応します。言葉のやりとりによるお互いの勘違いなどを防ぐためです。このときは、具体的な専門機関への連絡先や場所をお伝えすることが必要なので、準備しておきましょう。

複数の場所を紹介する場合はメリット、デメリットをお伝えすることも忘れないようにしましょう。できればこの説明は、特別支援教育コーディネーターからしてもらいましょう。

②の話ができるまでには少し時間がかかるかもしれません。場合によっては学年が変わってから……ということも、想定しておいてください。

メリーさん先生は、連絡帳や学校と保護者をつなぐ連絡アプリなどを使って、Aさんの頑張っている点と少し困っている点を3:1程度の割合でお伝えしていきます。保護者との関係をつなぐためです。もちろん何かしらの返答があったときには、「お忙しいのに読んでいただきありがとうございます」とのコメントは必須です。

私は明らかな場合を除き「この子供は書けないから、読めないから、専門機関へ」という話は、しないようにしています。こういう理由で、ここまで取り組んだのですが、という事実を伝えることが大切だと考えています。また教師は医師ではないので、診断はできません。保護者へ話を伝えるときにも、ディスレクシアなどの言葉を使うことは厳禁です。

このお子さんを直接見ていないので伝えにくいのですが、校内で手立てについて模索する必要があります。学年内の打合せに、特別支援教育コーディネーターも入ってもらい、ミニ校内委員会を行ってみてはどうでしょうか。

また自治体によっては、先生や子供の困っていることに対してのチェックリストを用意しているところがあります。それを活用して手立てを得ることも一歩前進の取り組みになります。

メリーさん先生の感性に尊敬の念を抱きつつ、今までの内容をまとめます。

  1. 長期戦を覚悟する
  2. 困りごとを受け止めるには5段階あることを理解する
  3. 学年の先生、特別支援教育コーディネーター、管理職と共有する
  4. 教室でできることに取り組む
  5. 自治体によるが、困っている子供のチェックリストなどから背景を想像し、手立てを得る
  6. 保護者に子供のがんばりを伝える
  7. 機会を見て、学校も専門機関の(背景理解のための)助言が欲しいと、複数の教師で保護者と相談する

最後に、タイミングが一番大事です。これは、一人の判断では難しいことが多いので、必ず校内で共有しましょう。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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