夏休み前の特別指導! ~大切な「一週間」のキーワードと「ゆるやかなつながり」~
児童も先生も待ちに待った夏休みが到来します。民間企業に勤める方々から、「先生はいいなあ。夏休みが長くて…」とよく言われますが、児童が休みであるだけで、休業期間も校内勤務、出張研修など勤務する日数はかなりあります。でも、児童と接する緊張の時間から解放されるだけで、かなりのメンタル面の休息にはなりますね。児童も学校のルールやルーティンから解放され自由時間を満喫できるのでかなりうれしいでしょう。
さて、こういう夏休み、夏季休業期間でも、わたしたちはやはり児童の安全や生活に関して完全に手放しではいられません。何か緊急事態が生じればすぐ対応しなくてはならないです。その前に、緊急事態にいたらないようにするために、がっちりと児童を指導しておきたいものです。
夏季休業前に生徒指導主任から全校生向けに講話をしたり、「夏休みのくらし方」などの全校生向けのプリントが出たりさまざまな指導がなされますが、担任として目の前の児童に対して具体的に指導しなくてはいけません。どんな指導ポイントがあるでしょうか。今回は、一週間になぞらえて上学年児童に向けた担任の話として例示してみます。
【連載】マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~
目次
児童へのお話例
1 「日」 … すごい太陽のエネルギー
温暖化の影響からか、年々暑くなってきています。季節も前倒しになっている感じがします。太陽は作物を育ててくれたり、身体をあたためてくれたり、電気をつくってくれたりするありがたいものです。わたしたちの国、日本は古くからこの「日」を大切にしてきました。でも、付き合い方を間違えると危険なこともあります。以前とはまったく違って、「熱中症」が増えてきました。条件が悪いと命を落としてしまうことがあります。そこで注意したいことが、日に当たりすぎないことや気温室温の高い場所に長時間いないようにすることです。そして、こまめに水分をとることです。室内でも「熱中症」になりますから、気温の高い日は何か対策が必要ですね。おうちの人と相談して予防に努めてほしいです。
それから、日に当たりすぎないことです。日焼けは皮膚のやけどとも言われます。ゆっくり日焼けするのはまだいいのですが、急に日焼けをするのはとても身体に悪いです。海水浴やプールに行く時は、肌を出さない工夫も必要です。
2 「月」 … 夜はこわいよ
夜遅くまで、どこかに行って家に戻らないということではいけません。出かけるときは、「誰とどこへ行き、何時に帰るか」ということをきちんと家の人に伝えるようにしましょう。行っていい場所とそうでない場所が決まっています。家の人ときちんと相談をしながら、行き先を決めましょう。学校で不審者対応の学習をしました。「い・か・の・お・す・し」を思い出して、危ない目に遭わないように注意しましょう。
3 「火」 … 人間の武器ですが…
太古の昔から、火は人間だけが使えるものとして動物から身を守るものとして、そして料理には欠かせないものとなってきました。そして、夏休みには、花火をしたりバーベキューをしたりするお家もあるかもしれません。さまざまなシーンでキャンドルや仏壇神棚教会でのろうそくにも使います。でも、ちょっと間違えるとたいへんなことになります。
火はモノに燃え移ってから7分もすると消火が困難になるそうです。大人がいれば助けを求めることができますが、子どもだけではなかなか火を消すことができません。火遊びは絶対いけません。もちろん、未成年はタバコに火をつけることが許されていません。最初の1本のいたずらから、もっともっとたいへんな薬物中毒にもつながってしまいます。絶対最初の1本を手にもつことをしないでほしいです。
4 「水」 … 楽しさとこわさが同居しています
夏だと海やプールはもちろん、川遊びをする機会が多いと思います。管理されている環境で、スタッフや監視員さんの指示に従って遊べば、水は楽しいものになります。でも、遊泳禁止の場所や人のいないところで泳いだり水に入ったりすると、とても危険です。特に川では、すり鉢状になっているところで足をすべらせて入ってしまうとあとは上がってこられなくなります。それから、油断して急な流れに入ってしまうと引き込まれる力で水の中に押し込められることがよくあります。泳ぎの上手な人でも水の力に対抗できなくて亡くなっている人もいます。水の楽しさとこわさをいつも考えていてください。
5 「木」 … 気をつけて
木は二酸化炭素を吸って酸素を出してくれます。日頃存在が当たり前だと思っている「空気」は、街路樹はじめ町中の木々が支えてくれていることに気づきたいですね。空気のおかげでわたしたち生き物は生きていくことができます。ところが、コロナをはじめ感染症ウィルスにはなかなか木が除菌してきれいに直してくれるというわけにはいきません。手洗いやうがい、マスクなど予防できることはしっかりやりたいですね。そういえば、
木になる→気になる→気をつけると連想していくと、気をつけることがもっとありますね。
まず、交通事故です。暑いので運転者も歩行者もぼーっとしてしまうことが多いです。事故に遭わないように道路では気をつけていたいですね。それから暑くて食物が傷みやすいです。食中毒も起きやすい気候です。お家の方と相談しながら、食べるものにも注意しましょう。でも、嫌いなものが出てきたからって、食中毒のせいにしてはダメですよ。
6 「金」 … 適度なおつき合いを
夏休みにはおじいちゃん、おばあちゃんと会ったり、親戚の家に行ったりすることも多いですね。その時、「お盆玉」などとしてお小遣いとしてお金をいただくこともあると思います。さて、お金はとても大切です。どのように使うかお家の人とよく相談をしてほしいです。将来必要なものを買うために貯金をするのもいいですね。それから、夏休みだとゲームに没頭してしまう人もいます。そして、お家の人との約束を破って課金をしてたいへんなことになった人もいます。お家の人は払わなければならないお金を稼ぐために、昼も夜も働かなければならなくなったというお話も聞きました。絶対ゲームの課金は自分だけでやってはいけません。ゲームの方法、遊び方についてはお家の人としっかり話してルールを決めてからやりましょう。それから、お金を出さずにモノを取得すること、これは万引きや泥棒と呼ばれ、犯罪行為です。絶対にしてはいけません。
7 「土」 … 大地に感謝しよう
夏休みにはよくすいかやトウモロコシ、そのほかおいしい夏野菜がたくさん食卓に並びますね。こういったものは、自然豊かな土地で丁寧に手間暇かけてつくられたものです。いつもは慌ただしくて、じっくり食べ物と向き合うことが少ないと思いますが、夏休みには一つひとつの食べ物がどこで育ったのか、どこでとれたのか、どんな風にしてここに来たのかをよく考えてほしいです。田舎に行く機会があれば、畑をみたり作物の収穫の体験をしてみたりすることもいいですね。また、種をまいて作物を育ててみるのもいいです。そして、どこか旅行に行くことがあったら、日本のいろいろな風景をみながら、土のありがたさ、大地の素晴らしさを感じてみてほしいです。さらに空気のありがたさ、空の青さなど日頃気にとめないことも是非感じ取ってほしいです。夏休みだからこそ自然の中でわたしたちが生かされているということを実感できるはずです。
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以上、指導のポイントや担任が話をすべき例でした。受け持ちの児童の発達年齢に応じてアレンジしてほしいです。2学期の始業式にケガも病気もなく、事故に遭うこともなくたくましくなった児童との再会を期待したいです。その後の課題の処理などがちょっとたいへんですが…(汗)。 それから、児童とは夏休みに何らかの形で接していたいです。事情が許せばですが、暑中見舞いを書いて児童の自宅へ送るなどをしてみることもいいですね。ほとんどの家庭は返信をするように児童に促し送ってきます。もし、返信がなかったら、電話をかけるのもいいです。実は夏休みは児童と接する機会がないので、家庭事情ががらっと変わってしまっていることや家庭での不適切な子育てに気づくことができないのです。こういった手段でつながっていたいです。また、「登校しぶり」などで気になる児童がいれば、特に2学期始業数日前からアクセスしておく必要があります。「ゆるやかなつながり」を担任として心得ておきたいです。
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山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、さまざまな分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、さまざまな資格にも挑戦しているところです。