小6理科「生物と地球環境」指導アイデア
執筆/福岡県公立小学校教諭・宮地智広
編集委員/文部科学省教科調査官・鳴川哲也、福岡県公立小学校校長・津島大輔
目次
単元のねらい
生物と環境について、生物と水、空気及び食べ物との関わりに着目して、それらを多面的に調べる活動を通して、生物と持続可能な環境との関わりについての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、生物と環境との関わりについて、より妥当な考えをつくりだす力や、生命を尊重する態度、主体的に問題解決をしようとする態度を育成する。
単元の流れ(二次 総時数 8時間)
第一次 生物と地球の環境(水・空気・ほかの動物)(3時間)
① 川の様子を比べる。
護岸工事した川と土を両岸に盛った川の様子を比較する導入から、水が人間だけでなく、植物をはじめとした他の生物にも影響を与えていることに気付くようにします。
② 姿を変える地球上の水と、生物の関係について調べる。
③ 水、空気と生物、生物どうしの関わりについて調べる。
4年「すがたをかえる水」、6年「生物どうしの関わり」など、既習事項と関連させながら、多面的に調べることができるようにします。
第二次 人の生活と地球の環境(持続可能な環境)(5時間)
① 人の生活が周りの環境に与える影響について考える。
②③④ 人の生活が地球環境に影響を与えている例について調べ、調べた結果を話し合う。
本やコンピュータなどを活用しながら、環境への影響や環境を守る取組について調べ、絵や写真、図、文章で整理しながら、ポスターやレポートにまとめ、発表できるようにします。
⑤ 持続可能な環境のため、人はこれからどのように生活していくべきか考えをまとめる。
単元の導入
① どちらの写真が最近の川の様子か話し合う。
これは、同じ場所の川の様子です。どちらが最近の川の写真でしょう?

護岸工事をしてきれいにしているから、左の方が新しいと思うよ。
実は右が、護岸工事をした最近の川の様子です。
② 災害を防ぐために護岸工事をしていたのに、なぜ川底を掘り、土を両岸に盛ったのか考える。

緑を増やすために、土を盛ったのかな?
土や植物が増えると、動物が住みやすそう。
人にとっても生き物にとっても、よりよい環境にするためかもしれないよ。
活動アイデア
ここでは、身近な環境についての問題を調べる活動を通して、主体的に問題を解決しようとする資質・能力の育成を目指しましょう。
その問題と改善策について調べた結果から、「人の生活が周りの環境に影響を与えていること」「環境への影響を抑える方法を考える必要があること」について考えさせ、子供たちに持続可能な社会を目指す視点をもたせましょう。
授業の展開例
自然事象への関わり
人も含め、地球上の全ての生物が、水や空気などの自然環境と関わり合いながら生きているんだね。
問題 私たちは、地球環境とどのように関わっていけばよいのだろうか。
私たちの身近にも、環境に関する問題がありそうですね。どんな問題があるか調べ、私たちはどうしていくべきか考えてみましょう。
本、コンピュータなどを活用して調べる
調べる際に、情報源を1つにせず、いくつかの資料を当たり、様々な角度から見た偏りのない正確な情報を得られるようにしましょう。

●まとめ方として、模造紙に図や文をかいて発表する方法やモデルや模型を使う方法、ICT を活用する方法等もあります。
● 情報の確かさを十分に確かめ、引用したデータや文章をはっきり区別し、引用資料のリストを付けるようにしましょう。
調べたことを発表し、話し合う

発表する際は、グループごとに教室の前に出て発表を行ったり、ブースを設けてポスターセッション形式で行ったりする方法が考えられます。
人の生活は、いろいろなところで環境に影響を与えてしまっているね。
様々な生物は空気や水を通じてつながっていたね。人間の生活で空気や水を汚してしまうと、様々な生物に影響を与えてしまうね。
私たちが生活の仕方を工夫することで、環境への影響を少なくすることができるね。
調べた事実や、これまでに学習した内容と関連付けながら、考えをまとめるようにしましょう。
結論
私たち一人一人が環境への影響を少なくする工夫と努力をして、地球環境と関わっていかなければならない。
ここが最大のポイント
子供たちの身近な環境についての問題を調べることができるようにしたい場面です。
活用できるもの
- 地域の環境白書や、環境に関する副読本
- 環境センターなど(博物館や科学館にも環境に関する展示を行っているところがあります。)

イラスト/横井智美
『教育技術 小五小六』2021年3月号より
【関連記事】
小6理科「生物と地球環境」指導アイデアシリーズはこちら!
・小2国語「楽しかったよ、二年生」指導アイデア
>>もっと見る