小4体育「体つくり運動」指導アイデア

執筆/山口県公立小学校教諭・池永亜由美
編集委員/国立教育政策研究所教育課程調査官・高田彬成、山口県公立小学校教頭・前川孝

授業づくりのポイント

「体つくり運動」は、体を動かす楽しさや心地よさを味わいながら、体の基本的な動きを培うことのできる運動です。「体ほぐしの運動」では、誰もが楽しめる手軽な運動を行うことにより、自分の心と体の関係に気付いたり、仲間と交流したりすることがねらいです。「多様な動きをつくる運動」では、体のバランスをとる運動・体を移動する運動・用具を操作する運動・力試しの運動といった、さまざまな運動につながる、体の基本的な動きを培うことがねらいです。

そのためには、子供が運動することに意欲をもち、活発に動くことが大切です。場を工夫したり、子供自らが動き方を選んだり工夫したりしながら運動できるようにしていきましょう。そうすることで、子供が楽しく、意欲的に運動に取り組み、結果的に動きのレパートリーが増え、動きの質を高めて、さまざまな動きが身に付くようになっていきます。夏休み明けのこの時期に体つくり運動を行い、体を動かすことの心地よさや仲間と交流することの楽しさに触れることで、心と体をリセットし、学校生活の楽しさを感じることができるでしょう。

【場や状況の設定のポイント】
・教師は全体が見える位置に立ちながらも、落下など、けがの恐れのある動きの近くにいるとよいでしょう。

単元計画例(全6時)

(1 ~ 4時間目は教師側が動きを紹介し、5・6時間目は子供が自分たちで動きを考えるという行い方を想定しています)

単元計画例
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苦手な子へは…

・動き方がわからない子供には、友達の動きの真似をして体を動かし、少しずつ運動に加わることができるようにしましょう。

・友達とかかわり合うことが苦手な子供には、意欲的な子供とペアやグループを組み、一緒にさまざまな運動に挑戦できるようにしましょう。

・運動への興味や関心がもてない子供には、易しい運動を提示したり、BGM を使ったりするなどの工夫をして、少しでも自分から運動に取り組もうとする姿をしっかりとほめましょう。

安全指導のポイント

多様な動きをつくる運動のなかでも、「力試しの運動」は、特に安全面の配慮が必要な運動です。安全に行う指導をしましょう。

安全面での配慮

安全に楽しく行うためのきまりについては、運動に入る前に必ず全体に伝える場を設けましょう。その動きをするとなぜ危ないかを、子供たちができるだけ自分で考えることも大事です。けががなく、力いっぱい動くと心地よいことも併せて伝えておくとよいでしょう。

・手を引っ張るときや支えるときなど

手を引っ張るときや支えるときなど

急に手を離さないようにしましょう。

・体を押し合ったりねじったりするときなど

体を押し合ったりねじったりするときなど

もし友達が「痛い!」と言ったらすぐに動きをやめましょう。

・押したり引いたりするときなど

押したり引いたりするときなど

マットを敷いて行いましょう。

力いっぱい動くとどんな気持ちですか。

力を出しきったらとても気持ちいいです!

運動を楽しもう

導入では、「体ほぐしの運動」をして、心と体の両面で運動の準備を行いましょう。「体ほぐしの運動」では、「多様な動きをつくる運動」にかかわる動きを行うとよいでしょう。

前半は、教師の例示した動きを一斉に行ってみます。いろいろな動きに取り組む楽しさを味わいながら、基本的な動きが身に付くようにします。後半は、経験した運動を姿勢・人数・方向などの条件を変えることで、楽しさを味わえるようにします。工夫の視点を与えると子供自身でいろいろな工夫を見付けていくので、まずは教師から工夫した動きをいくつか提示しましょう。

体を移動する運動

ゲーム化をする際、「速くゴールしたほうが勝ち」とすると、どうしても動きが雑になってしまいます。動きの質を高めるためには、「ボールを落とさずゴールしたほうが勝ち」など、速さ以外の要素で勝敗を決めるとよいでしょう。

《言葉がけの例》
・どんなことに気を付けたらうまくできたかな。
・今度は後ろ向きに進んでみよう。
・どんな工夫をしたら、もっと楽しくなるかな。

【基本の動き】

・ボールを棒に乗せて移動する

ボールを棒に乗せて移動する

・いろいろなコースを走る

いろいろなコースを走る

【工夫した動き】

・運ぶボールを小さくする

運ぶボールを小さくする

・いろいろなコースを姿勢を変えて移動する

いろいろなコースを姿勢を変えて移動する

苦手な子へは…

・ 登る・下りるが苦手な子へは、肋木などに目印を付けて段階的に挑戦できるようにしたり、下りやすいように下にマットを敷いたりしましょう。

・ 歩いたり走ったりが苦手な子には、ゆっくりと移動したり広い場所で行ったり、また、物を運ぶ場合には落としにくいものにしたりするなど、易しい条件を提示しましょう。

力試しの運動

教師からさまざまな動きを提案しましょう。また、力を入れるだけでなく、相手に合わせて力を抜く(加減する)ことも必要です。どんな場面で力を抜くとよいかを子供が考えながら行えるようにしましょう。

《言葉がけの例》
・体のどこに力を入れたらよいかな。
・どんなときに力を抜いたらよいかな。
・ 同じ動きでも、もっと楽しくなるにはどうしたらよいかな。

【基本の動き】

・ペアで綱引き

ペアで綱引き

・おんぶして運ぶ

おんぶして運ぶ

【工夫した動き】

イラスト/栗原清

『小四教育技術』2018年9月号より

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