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4年体育 体つくり運動(多様な動きをつくる運動–移動・力試し・組み合わせ)

2019/8/7

執筆/山口県周南市立岐山小学校教諭・池永亜由美
編集委員/国立教育政策研究所教育課程調査官・高田彬成
山口県岩国市立東小学校教頭・前川孝

授業づくりのポイント

「体つくり運動」は、体を動かす楽しさや心地よさを味わいながら、体の基本的な動きを培うことのできる運動です。「体ほぐしの運動」では、誰もが楽しめる手軽な運動を行うことにより、自分の心と体の関係に気付いたり、仲間と交流したりすることがねらいです。「多様な動きをつくる運動」では、体のバランスをとる運動・体を移動する運動・用具を操作する運動・力試しの運動といった、さまざまな運動につながる、体の基本的な動きを培うことがねらいです。

そのためには、子供が運動することに意欲をもち、活発に動くことが大切です。場を工夫したり、子供自らが動き方を選んだり工夫したりしながら運動できるようにしていきましょう。そうすることで、子供が楽しく、意欲的に運動に取り組み、結果的に動きのレパートリーが増え、動きの質を高めて、さまざまな動きが身に付くようになっていきます。夏休み明けのこの時期に体つくり運動を行い、体を動かすことの心地よさや仲間と交流することの楽しさに触れることで、心と体をリセットし、学校生活の楽しさを感じることができるでしょう。

単元計画例(全6時)

(1 ~ 4時間目は教師側が動きを紹介し、5・6時間目は子供が自分たちで動きを考えるという行い方を想定しています)

単元計画例
クリックすると別ウィンドウで開きます

苦手な子へは…

・動き方がわからない子供には、友達の動きの真似をして体を動かし、少しずつ運動に加わることができるようにしましょう。

・友達とかかわり合うことが苦手な子供には、意欲的な子供とペアやグループを組み、一緒にさまざまな運動に挑戦できるようにしましょう。

・運動への興味や関心がもてない子供には、易しい運動を提示したり、BGM を使ったりするなどの工夫をして、少しでも自分から運動に取り組もうとする姿をしっかりとほめましょう。

運動を楽しもう

導入では、「体ほぐしの運動」をして、心と体の両面で運動の準備を行いましょう。「体ほぐしの運動」では、「多様な動きをつくる運動」にかかわる動きを行うとよいでしょう。

前半は、教師の例示した動きを一斉に行ってみます。いろいろな動きに取り組む楽しさを味わいながら、基本的な動きが身に付くようにします。後半は、経験した運動を姿勢・人数・方向などの条件を変えることで、楽しさを味わえるようにします。工夫の視点を与えると子供自身でいろいろな工夫を見付けていくので、まずは教師から工夫した動きをいくつか提示しましょう。

体を移動する運動

ゲーム化をする際、「速くゴールしたほうが勝ち」とすると、どうしても動きが雑になってしまいます。動きの質を高めるためには、「ボールを落とさずゴールしたほうが勝ち」など、速さ以外の要素で勝敗を決めるとよいでしょう。

《言葉がけの例》
・どんなことに気を付けたらうまくできたかな。
・今度は後ろ向きに進んでみよう。
・どんな工夫をしたら、もっと楽しくなるかな。

【基本の動き】

・ボールを棒に乗せて移動する

ボールを棒に乗せて移動する

・いろいろなコースを走る

いろいろなコースを走る

【工夫した動き】

・運ぶボールを小さくする

運ぶボールを小さくする

・いろいろなコースを姿勢を変えて移動する

いろいろなコースを姿勢を変えて移動する

苦手な子へは…

・ 登る・下りるが苦手な子へは、肋木などに目印を付けて段階的に挑戦できるようにしたり、下りやすいように下にマットを敷いたりしましょう。

・ 歩いたり走ったりが苦手な子には、ゆっくりと移動したり広い場所で行ったり、また、物を運ぶ場合には落としにくいものにしたりするなど、易しい条件を提示しましょう。

力試しの運動

教師からさまざまな動きを提案しましょう。また、力を入れるだけでなく、相手に合わせて力を抜く(加減する)ことも必要です。どんな場面で力を抜くとよいかを子供が考えながら行えるようにしましょう。

《言葉がけの例》
・体のどこに力を入れたらよいかな。
・どんなときに力を抜いたらよいかな。
・ 同じ動きでも、もっと楽しくなるにはどうしたらよいかな。

【基本の動き】

・ペアで綱引き

ペアで綱引き

・おんぶして運ぶ

おんぶして運ぶ

【工夫した動き】

・グループどうしで綱引き

グループどうしで綱引き

・じゃんけんおんぶゲーム

じゃんけんおんぶゲーム

苦手な子へは…

・人を押したり引いたりする動きが苦手な子には、ひざを曲げて腰を低くした安定した姿勢で行えるように、マットを敷くなどの配慮をしましょう。

・人を運んだり支えたりする動きが苦手な子には、補助をしたり、手のひらでしっかり地面や床を押し付けたりしてできるよう、手の向きやひじの伸ばし方を伝えたりしましょう。

もっと運動を楽しもう

これまで運動したことを基に、グル―プごとに工夫を加え、互いにやってみるという活動をします。自分たちで運動のしかたを考えたり、できるようになるこつを伝え合ったりすることで、よい動きが安定してできるようになり、さらに運動の楽しさを味わうことができます。

①グループで動きの工夫を考える

1~4時間目の動きをグループで工夫します。まずは全体に、組み合わせ方や行い方など、工夫するための要素を伝えておくとよいでしょう。また、子供の考えを認めながらも、ねらいに合った動きができるように声をかけることも大事です。

《言葉がけの例》
・どうすればもっと楽しくできそうかな。
・向きを変えて進んでみるのはどうかな。
・うまくできるこつをほかのグル―プの人にも教えられるようにしておこう。

グループをつくる方法として、「選んだ動きが同じものどうし」「話合いが進むように、教師が意図して構成(男女混合・男女別)」などが考えられます。学級の実態に合わせ、子供たちともよく話し合いながら、グループをつくりましょう。

②それぞれのグループの考えた動きをやってみる

ペアグループをつくり、それぞれのグループで考えた動きをお互いにやってみます。時間を決めて行うと、同じ動きにしっかり取り組むことができ、こつをつかむことにもつながるでしょう。

グループの考えた動きをやってみる
※ 矢印は、グループで考えた動きをお互いにやってみる動きのことです。どのグループの考えた動きも体験できるように時間配分を考えましょう。

クリックすると別ウィンドウで開きます

【場や状況の設定のポイント】
・教師は全体が見える位置に立ちながらも、落下など、けがの恐れのある動きの近くにいるとよいでしょう。
・楽しく行えるように、BGM をかけるのもよいでしょう。
・子供が自分自身の動きを知るために、動画に撮って確認するなど、ICT機器を使うとより効果的です。

わくわく学習アイディア

多様な動きをつくる運動のなかでも、「力試しの運動」は、特に安全面の配慮が必要な運動です。安全に行う指導をしましょう。また、4年生は高学年につながる動きを意識して行うとよいでしょう。ここでは、安全に楽しく行えるための場と高学年につながる動きを紹介します。

安全面での配慮

安全に楽しく行うためのきまりについては、運動に入る前に必ず全体に伝える場を設けましょう。その動きをするとなぜ危ないかを、子供たちができるだけ自分で考えることも大事です。けががなく、力いっぱい動くと心地よいことも併せて伝えておくとよいでしょう。

・手を引っ張るときや支えるときなど

手を引っ張るときや支えるときなど

急に手を離さないようにしましょう。

・体を押し合ったりねじったりするときなど

体を押し合ったりねじったりするときなど

もし友達が「痛い!」と言ったらすぐに動きをやめましょう。

・押したり引いたりするときなど

押したり引いたりするときなど

マットを敷いて行いましょう。

力いっぱい動くとどんな気持ちですか。

力を出しきったらとても気持ちいいです!

高学年とのつながりを考えた活動の例(一定の速さでのかけ足)

高学年では1 つ、または組み合わせた運動を一定時間続けて行うことによって、動きを持続する能力を高めることをねらいとする運動があります。そこで、「体を移動する運動」のなかで、次のような運動を体験し、高学年につなげるとよいでしょう。

【かけ足なわとびリレー】

【かけ足なわとびリレー】

【個人でかけ足なわ跳び】

個人でかけ足なわ跳び

シャトルランのCD を使います。音楽が鳴り終わるまでにゴールに着くように、自分でスタート位置を選びます。音楽の速さは変化するので、速いとき、ゆっくりのときなどあらかじめ音の速さを聞いて、どの位置からスタートすればよいか考えることができるようにしましょう。

速さを競うのではなく、自分の走る速さに合ったスタート位置を選んで走ることがポイントです!

調査官からのワンポイントアドバイス

国立教育政策研究所教育課程調査官・高田彬成

この単元は、特定の技能の習得をめざすものではないため、運動が得意/苦手にかかわらず、比較的どの子も安心して楽しく行うことができます。まずは、いろいろな体ほぐしの運動を楽しく行い、子供の心と体をほぐしましょう。多様な動きをつくる運動は、3年生までの間に、基本的な動きをどのくらい身に付けているかによって、4年生での運動の広がりや深まりが異なることが予想されます。そのため、子供一人ひとりの動きの習得の程度に応じた指導に留意することが大切です。

本稿では、基本の動きを習得したあと、動きを工夫したり2つ以上の動きを組み合わせたりしながら、さまざまな動きの獲得をめざしています。用具の正しい使い方や移動による身体接触など、安全には十分留意しながら、上手な動き、滑らかな動き、工夫した動きなどを大いにほめ、子供の「楽しい」「もっと工夫したい」という気持ちを大切にしたいところです。

イラスト/栗原清

『小四教育技術』2018年9月号より

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