4月の学級通信文例:持続可能な「日記+教師コメント」形式

連載
学級通信でつむぐ教室の物語|中学年
関連タグ

愛知県公立小学校教諭

佐橋慶彦

教室での子供たちの様子や学級状況を家庭にお知らせする「学級通信」。家で見せることのない子供たちの表情や行動を、保護者へ伝えたい思いがある反面、忙しいなかで発行を継続させるのは、困難という声もよく耳にします。

そこで学級がスタートする今月は、負担を減らし継続可能な学級通信の発行例を紹介したいと思います。

執筆/愛知県公立小学校教諭・佐橋慶彦

学級通信でつむぐ教室の物語~4月~のイメージ画像
写真AC

ムリなく発行スタイルを変える

教室では毎日、いろいろな出来事が起こります。相手を思いやった優しい行動が見られたり、ふと温かな雰囲気になる瞬間が訪れたりと、切り取っておきたくなるようなよい場面がたくさんあります。こうした時に、ぜひ行いたいのが「フィードバック」です。

たとえば、掃除の時間の頑張りを「一人一人が自分の仕事をきちんとしていて気持ちがよかった」と取り上げると「みんなで掃除をするとよい気持ちになる」ということが子供たちの心に残ります。何となくよい一日だったなというイメージで終わりにするのではなく、言葉に変えて子供たちに伝えることで、価値観を共有していくことができるのです。

しかし、よい行動を見逃さず、即座に価値付けていくのは簡単なことではありません。うまくまとめられなかったり、価値に気付けなかったりすることも数多くあります。そこで役立つのが学級通信です。語りでのフィードバックと違い、学級通信は一日を振り返りながら書くことができるため、子供たちの行動にどんな意味があったのかをじっくりと考えることが可能です。

とはいえ、ただでさえ時間のない毎日ですから、文章を継続して書くことが難しい方も多いでしょう。また、学校事情や他の学級との兼ね合いから、学級通信の発行が難しいという話もよく聞きます。

以前、一緒に学級通信に取り組んでいた先輩の先生は、こうした事情から、学習プリントの一つとして道徳の授業に関連付けて、学級通信を発行するようにしたそうです。また、月末にその月の振り返りを兼ねて書いている方もいます。私自身も自主勉強プリントの片隅に載せたり、学級活動の一環に位置付けたりと、毎年マイナーチェンジをしています。

熱意ある実践が多く、どうしても難しく考えられがちな学級通信ですが、目的と環境に合わせて形を変えていけば、持続可能で有効な手立てになると考えています。

最後に、一例として私が発行してきた学級通信を紹介します(プライバシーに配慮し、一部内容を変更しています)。

学級通信はルール決めが大事

こちらは第1号です。子供に向けて、目的や方法を説明しています。はじめに配付する時に、お家のことや秘密の相談は掲載しないことを約束しています。また、載せてほしくない時には小さく×印をうって提出するルールになっていました。保護者の方には懇談会の折に改めて説明しています。

▼学級通信「つながり」No.1

3年生のみなさん,しんきゅうおめでとう。一年間よろしくお願いします。今日から、この日記「つながり」に取り組んでもらおうと思います。その日にあったできごと,どんな思いだったのかなどを自由に書いてください。先生もここに、すてきだなと思ったみんなの日記をしょうかいしたり、思ったことを書いたりしていこうと思っています。

この日記がみなさんの9才の心の日記としてかけがえのない物になってほしいとねがっています。

4月11日 学級通信「つながり」No.1

教師が知らない所で起こっていることにも目を向けたいと思い、子供たちの日記を掲載し、“日記2編+教師のコメント”という形式を取って続けていました。

▼学級通信「つながり」No.3

ほうかごにうんていをしました。○○ちゃんが後ろむきでやっていたので、わたしも後ろ向きでしてみました。はじめてだけど、少しできました。少しできてうれしかったし、○○ちゃんのおかげだと思いました。これからも2ことばしとか、ちょうせんしていきたいです。 【Aさん】

今日、先生とみんなでおにごっこをしました。みんながすごく早かったです。先生にまけないようにがんばります。さい高の1年になると思います。【Bさん】


「まねしてやってみよう!」としたり、「さい高の1年になると思う」と楽しみにしたり。そうやって前むきな気持ちでいると、毎日がどんどん楽しくなってくると思います。
ぎゃくに、いやだなあ、うまくいかないかも、と思っていると、何だかどんよりとした気もちになってきます。前むきな気もちがたくさんのクラスになるといいなと思います。


4月13日 学級通信「つながり」No.3

学級が始まった時期だったので、前向きな気持ちを記した日記を取り上げて、ポジティブな雰囲気が広がるようにしました。

今後は毎月、この3年生を担任していた当時の学級通信を紹介しながら、どんなことを切り取って、何を伝えようとしていたのかを振り返っていきたいと思っています。自身の省察ではありますが、皆様の日々の見取りや、子供たちへの価値づけに役立つことができれば幸いです。

佐橋慶彦先生プロフィール画像
佐橋慶彦先生

佐橋慶彦(さはしよしひこ)●1989年、愛知県生まれ。『第57回 実践!わたしの教育記録』特別賞受賞。教育実践研究サークル「群青」主宰。日本学級経営学会所属。子どもがつながる学級を目指して日々実践に取り組んでいる。

学校の先生に役立つ情報を毎日配信中!

クリックして最新記事をチェック!
連載
学級通信でつむぐ教室の物語|中学年
関連タグ

学級経営の記事一覧

雑誌『教育技術』各誌は刊行終了しました