学校の新しい生活様式を踏まえた特別活動の取組とは?『楽しい学校を作る特別活動』著者インタビュー
令和二年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から学校が臨時休業になり、学校教育において大切な、関わりを通して学び合うことが十分にできなくなりました。このような状況の中、 今何が大事なのでしょうか。文部科学省教科調査官・安倍恭子さんに著書 『楽しい学校を作る特別活動~すべての教師に伝えたいこと~』 の内容について、詳しくお話を伺いました。
目次
子供たちが自分たちで創意工夫しながら活動することが、楽しい学校につながっていく
―本書ができた背景を、教えてください。
安倍 令和二年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から学校が臨時休業になりました。そのとき、「学びの保障」ということで、学校は各教科の学習に目が向きました。
学校教育は関わりを通して学び合うことが大切ですが、それが十分にできなくなったのです。 「今こそ、 何が大事なのか」ということを伝えたいと思いました。
― 書籍のタイトルになっている〈楽しい学校をつくる〉とは具体的にはどのようなことなのでしょうか。
安倍 「自分もやればできる」などの自己効力感や「みんなのために頑張ってよかった」などの自己有用感を感じることができる学級や学校の生活は、子供たちにとって楽しいと思えるでしょう。そして、子供たちが自分のよさや可能性を最大に発揮できるのが、特別活動の時間です。子供たちが自分たちで創意工夫しながら活動することが、楽しい学校につながっていくと考えています。
ー 特別活動で身に付く力、重要性とはどのようなことでしょうか。
安倍 子供たちが集団の中で人間関係をよりよく築く力や社会参画する力、自分らしさやよさを発揮し目標をもって生きる力を特別活動では育みます。それは実生活や実社会に出たときに生きる汎用的な力です。
ー 本書の特徴を、教えてください。
安部「学校の新しい生活様式」を踏まえた、小学校における特別活動の取組が分かります。
特別活動を基盤として特色ある学校経営をされているお二人の校長先生と私との鼎談では、コロナ禍での学校経営や特別活動の考え方などが掲載されています。それから各学校で実践された具体的な内容がたくさん紹介されています。
本書を学級経営や学校経営の参考にしていただいて、特別活動の充実を図り、学級や学校が子供たちの笑顔あふれる場所になることを願っています。
ー特別活動で、先生方はどのようなことを指導すればよいのでしょうか。
安倍 年度当初に、子供の実態を踏まえ、子供の思い、保護者の願いなども生かして、「こんな学級生活をつくっていきたい」という1年間の見通しをもつようにします。学級活動⑴では学級のよりよい生活をつくるために、みんなで話し合って、 みんなで決めて、みんなで実践をします。そして、活動後にふり返りを行い、次の活動に生かすことが大切です。
予測困難なことを自ら乗り越える力が特別活動で養われる
ー「特別活動」が目指す先にあるのは、どのようなことでしょうか。
安部 特別活動の実践や体験活動を通して、自分や友達のよさを認識し、多様な他者と協働してよりよく生きることができるようにします。未来を生きる子供たちには、予測困難なことも待ち受けていると思います。それを自ら乗り越える力が特別活動で養われるのです。
安倍恭子さんの本
『楽しい学校を作る特別活動~すべての教師に伝えたいこと~』小学館
この記事は、 先生のための教育事典「EDUPEDIA」でも配信します。あわせてお読みください。
取材・文・撮影/浅原孝子
『教育技術 小三小四 』2022年2/3月号より