「自分を他の先生と比較し落ち込んでしまう」と悩む先生へのアドバイス|沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」

子供たちの自主性を引き出す斬新でユニークな実践が話題の「ぬまっち」こと、沼田晶弘先生。今回は、「自分を他の先生と比較し、落ち込んでしまう」という先生の悩みにお答えいただきました。

目次
これまで自分が積み上げてきたことをふり返る
教師の仕事はやればやるほど、「もっとやらなくては」「もっと子供たちのためにこうしてあげたい」と思うもの。そしてどんなに学級経営がうまくいっていても、例えば自分よりも板書が上手な先生を見ると、「もっと板書をがんばらなくては」「あの先生のようにやらなくては」と自分を追い込んでしまいがちだ。
自分より優れた人を見て上を目指すことは、自分を成長させる大切な視点かもしれないけれど、自分と他人を比較して「自分はダメだ」とか「自分はどうしてできないのだろう」と落ち込んでしまってばかりいては、仕事そのものが嫌になってしまうだろう。
これって山登りに少し似ているかもしれない。山を登っているときはとにかく辛い。全然ゴールに近づかないし、自分の立ち位置とゴールとの距離を確認して、「まだこんなに距離があるのか」とネガティブな気持ちになると、さらに苦しくなり、山登りを楽しめなくなってしまう。
でもネガティブになってしまうのは上だけをみているから。目指すべきポイントを把握することは必要だけれど、たまにはふり返り、下の景色を眺めてみることも大事だ。自分の登ってきた道をふり返ることで、登り出したときよりも、実はかなり上まで登ってきたことが分かるし、自分の積み重ねてきたことを確認することで、ここまでがんばったのだからもう少しがんばってみようとモチベーションアップにつながる。
「誰から」「どこまで」認められたいのか明確にする
自分に自信をもつとか、自分に満足するって本当に難しい。どんなにがんばっても、他にもっとすごい人がいるから満足できない場合もあるだろうし、他の人よりもがんばっているつもりでも、周囲から認めてもらえず自信を失くすこともあるからだ。そういう意味では、「満たされたい」という想い対しては、どこかで折り合いをつけなくてはいけない。
そのための大事な視点は2つ。
・自分は「誰から」認められたいのか。
・「どこまで」満たされたいのか。
この2点を明確にすることで目標がはっきりし、意欲も継続できる。
例えばボクにとっては
・「誰=子供たち」
・「どこまで=子供たちが力を伸ばし幸せな状態であること」
だから究極的なことを言えば、誰かに「ポンコツ教師」だとか「板書がイマイチ」と言われようと、クラスの「子供たち」が、ちゃんと「力をつけて、幸せである」ならば、それはそれでいい。
逆に、周囲の人にどんなに褒められても、よい板書ができても目の前の子供たちがあまり幸せそうではないとか、個々の力を伸ばせていない状態であれば、全然ダメだと思っている。