保護者も子供も納得する通知表を効率よく作成するコツ|沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」
著書やメディアで、自身のユニークな授業や子供の自主性を引き出すコツを発信し話題を集めている「ぬまっち」こと、沼田晶弘先生 。今回は、忙しい学年末や学期末に、効率よく保護者も子供も納得する通知表を作成するコツを伺いました。
目次
通知表はICTを活用し、効率よく具体的に書く
学年末や学期末は、成績処理や通知表作成に追われる時期。とくに校務が多く、時間的に余裕のない三学期は、できるだけ早めに準備を進めたいもの。
ボクはICTを活用して日頃から子供の様子や成績を記録するなど、システム化を図っている。
宿題や調べもの学習などの提出物に関してはエクセルの表に入力しているので、誰が何を提出したのか一目でわかるし、計算式を入れて提出率を得点化することもできる。
また日頃から子供の様子をスマホのメモアプリに記録している。
このメモアプリは、PCやiPadからでもすぐに書き込めるし、よく書き込みをしている子と書き込みが少ない子が一目瞭然なので、ときどき更新頻度を確認し、書き込みの少ない子には意識してアクションを起こし、たくさん関わるようにしている。
こうして子供たちの様子やその子が頑張ったことを細かく記録していれば、所見欄を作成する際にも役に立つし、保護者から学校の様子を聞かれた時にも具体的に伝えることができる。
評価の理由を自分の言葉で語れるようにしておく
ボクの学校の通知表は絶対評価なので、他の子と比較するのではなく、それぞれの子に合わせた目標設定や評価規準で判断する。
だから例えば、漢字テストの点数が平均以上でも、二学期よりも三学期にサボっていたような場合には三学期の評価が下がるということもある。
もし通知表の評価について保護者から説明を求められる場合は、「平均的にはできているのですが、本人の意欲を促すためにあえて◎ではなく、○を付けました」などと個人面談で理由をきちんと説明をする。
可能であれば、通知表を作成する前に個人面談で「この状態で◎をつけると安心してしまい、努力しなくなってしまう子もいます。Aさんにはもっとレベルアップしてもらいたいと思っているのであえて○をつけて意欲を引き出したいのですが、どう思われますか?」などと、保護者に伝え、理解と協力を求めておくとよいだろう。○という評価に子供が納得しない場合でも、保護者が納得していれば、家庭で意図を説明してもらったり、励ましてもらったりすることができるからだ。
いずれにせよ、通知表には客観的な評価が求められるので、保護者から説明を求められない場合でも、なぜ○の評価をつけたのか、なぜ◎をつけなかったのか、具体的にその理由を自分の言葉で語れるようにしておこう。
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沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『板書で分かる世界一のクラスの作り方 ぬまっちの1年生奮闘記 』(中央公論新社)他。 沼田先生のオンラインサロンはこちら>> https://lounge.dmm.com/detail/2955/
取材・構成・文/出浦文絵