発言に消極的な子や、話合い活動が苦手な学級への指導法|沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」
独自の学級経営&教科指導で子供たちのやる気を引き出す「ぬまっち」こと、沼田晶弘先生 。今回は、クラスの中に発言に消極的な子がいる場合や、話合い活動やグループ発表が活性化しない場合の指導法についてアドバイスいただきました。
目次
発言以外のことで自信をつけさせる
発言に消極的な子は、きっと発言することに自信がないんだよね。
とはいえ、苦手なことを「もっとがんばれ」と言われても、簡単には上手にならないし、ますます嫌いになってしまうこともある。
その場合は、発言以外の場面、例えばその子の得意なことで活躍できる場をつくってあげるのも有効だと思う。
勉強が好きではなく、発言に対しても消極的だった子が、スポーツで活躍して自信をつけたことで、授業中も積極的に手をあげるようになったりすることがあるよね。
得意なことを伸ばして自信をつけることで、苦手なところも一緒に伸びてくるようになるので、さまざまな場面でその子の活躍できる場を考えてみてはどうだろう。
いろいろな子が発言できるチャンスを増やす
もちろん教師が教室の中で、いろんな子が発言できるチャンスを与えることも重要。
発言が苦手な子にも、積極的に「君はどう思う?」と話を振ってあげる。
ただし一人だけに質問すると緊張してしまうから、できるだけいろんな子に話を振りつつ、その子にもどんどんチャンスを与える。うまく発言できなくても、気まずい雰囲気にならないように上手につないであげる。
そして、その子ならではのコメントを引き出せそうなときがあれば、「どうしてそう思うの?」「それってどういうこと?」と聞いて、話を広げてあげるといいだろう。
教師の「お話し掘り堀り力」が低いと、話合い活動や発表がマンネリ化する
クラスによっては、話合いが深まらずにただのおしゃべりの時間になってしまったり、グループ発表もマンネリ化してしまうこともある。
話合い活動やグループ発表が活性化しないと感じるときは,教師の「お話し掘り堀り力」を磨いてみるといいかもしれない。
例えば、話合いをしている途中や、発表を練習するときに、「それってどういうこと?」「どうしてそういう考えになったの?」と、前のめりになって質問を投げかけ、話を掘り下げてあげよう。
あくまで「君たちの意見はとても興味深い。ただ先生の理解不足もあるから、もう少しだけ詳しく教えて」という姿勢で、「なんで?」「どうして?」を連発してアクティブに質問してあげると、子供たちも「もう少し考えてみよう」「もう少し言い方を変えてみよう」と工夫するようになる。
日頃から自分の意見を人前で話す練習をさせることが重要
しかし、ボクは話合い活動を活性化したり、子供の発言力をつけたりするためには、話合い活動や発表の時間だけでどうにかしようとしてもダメだと感じている。
常日頃から、自分の考えを人前で話すという練習をさせていないと、なかなかみんなの前で自分の意見を発表する力は身につかないからだ。
そういう意味では、小学校の先生はほぼすべての教科を一人で教えるので、子供たちと長い時間を一緒に過ごすわけだから、いろいろな教科、さまざまな場面を利用して発表の力を育てていくチャンスも多いはずなんだよね。
例えば、休み時間に子供たちと雑談しているときに、「どう思う?」「どうしてそう思うの?」と、どんどんその子の意見を聞いて、人前で語らせてあげるとよいんじゃないかな。
とにかく先にしゃべりたい子の指導も大切
また、いろいろな子に発言の機会を与えようとしているのに、いつも同じ子が先に発言してしまうようなことがある場合は、ちゃんと指導すべき。
ボクは「Aさんどう思う?」と聞いているのに、Bさんが先に発言しようとする場合は、例え一年生であっても「あなたはAさんなの? いまAさんに聞いているんだけど。あなたの番ではないよ」と毅然と言って諭す。こういう細かい指導もとても重要だと思っている。
いずれにせよ、発言に限らず、いまできないことは、明日すぐにできるようにはならない。 教師が、地道にいろいろな手立てを講じてあげて、少しずつ力を伸ばしてあげる必要があると思うよ
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沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『板書で分かる世界一のクラスの作り方 ぬまっちの1年生奮闘記 』(中央公論新社)他。 沼田先生のオンラインサロンはこちら>> https://lounge.dmm.com/detail/2955/
取材・構成・文/出浦文絵