小学校の教育実習で得た経験を教員採用試験につなげよう! “教育実習力”向上アドバイス【後編】

教育実習を終えたら、ほっとするのもつかの間、次は採用試験について考える必要が出てきます。「実習がゴール」ではありません。皆さんが教育実習で得たスキルや経験を今後につなげられるように、今回は教育実習“後”の振り返りや、採用試験でのポイントについて伝授します。
指導/小泉博明(文京学院大学名誉教授)
※本記事は前・中・後編記事の後編です。前編はこちら。中編はこちらです。
目次
実習日誌を見返そう
大学に戻ってからは、各自の実習総括とともに学習指導案を掲載した報告書を作成するケースが多いようです。実習報告書は後輩にとっての大切な資料になりますから、自分の知っておきたかったことや体験談など、有益な情報をどんどん書き残しましょう。
報告書の作成があるなしにかかわらず、実習日誌は指導教員のコメントも含めた全体の読み返しを必ず行いましょう。自分の長所や短所、成長した点や欠点などを洗い出しながら読むことで、授業の技術や知識、教師としての立ち振る舞いなど、自分に足りない要素が明確になり、補うために必要なプロセスも見つけることができます。
研究授業の反省会などでも、厳しい指摘を受けるかもしれませんが、真摯に受け止めましょう。今後に生かせばいいのですから、落ち込むことはありません。
子どもたちとの関わりや、指導教員の指導や励ましを回想することは、あなた自身の「絶対に教員になりたい」という気持ちを鼓舞してくれる、かけがえのないものになります。教育実習は教員になるための通過点に過ぎません。実習が終わってからが、いよいよ大詰めですよ!
実習での経験を採用試験に生かそう
教育実習での経験を生かせるのは、筆記試験よりも面接や実技試験でしょう。教育実習を充実させていたかどうかで、面接官が抱く印象は大きく変わります。
例えば、面接で「教育実習に行ってみてどうでしたか?」と聞かれたとしましょう。「実習生として臨んだ3週間はとてもいい経験になり、ぜひとも教員になりたいと思いました」と答えたあとに、どんなことがいい経験になったのかを伝えるには、具体的な経験しかありません。実習中の具体的なエピソードを語ることは、あなたが子どもたちと信頼関係をつくるコミュニケーション力をもっていると証明することになるのです。
また、模擬授業や場面指導では、実習で指導を受けた点に注意しながら司会進行力やコメント力を示すことで、実習の経験を生かすことができます。

教育実習を乗り切れば、夢まではあと一歩!
「なぜ先生になろうと思ったのですか?」という質問を受けて答えに困ってしまう先生は意外に多いと思います。クラブの顧問や担任の先生、教員として働く父母の姿に憧れてずっと教員をめざしていたという人がいる一方で、教育実習に行って、初めて教職への気持ちが固まる人もいます。充実した教育実習はそれほどよい経験になるのです。メディアでは教員の仕事は激務といわれ、教員のなり手が減っています。しかし、その仕事は未来ある子どもたちの成長に直接関わることができる、とても魅力ある仕事です。
教育実習生には完璧さは求められていません。余計な心配はせず、思い切って実習に臨んでください。教育実習はあくまで通過点。実習が無事に終わって万々歳ではなく、その先の夢を実現することが目標です。充実した教育実習を経て、教師への夢がかなうことを心から念じています。
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イラスト/タバタノリコ