小学校の教育実習で、求められるスキルや姿勢とは “教育実習力”向上アドバイス【中編】

教員に求められる力として教科指導能力は大切ですが、そのほかにも求められるスキルは数多くあります。覚えることが多く大変なこともあるでしょうが、「やりきる覚悟」を決めて臨みましょう。少しでも皆さんの教育実習の助けになるように、今回は教育実習“中”のマナーやポイント、注意点について伝授します。
指導/小泉博明(文京学院大学名誉教授)
※本記事は前・中・後編記事の中編です。前編はこちら。後編はこちらです。
目次
忙しい指導教諭に配慮を
あいさつ・笑顔などの基本的な礼儀をしっかり行うようにしましょう。
また、指導担当の先生は通常の業務も行いながら、指導もしてくれているのですから、実習日誌や学習指導案などの提出物は期限を守るだけでなく、早め早めの提出を心がけましょう。
「ホウレンソウ」は欠かさずに
指導教諭との関わりで欠かせないのが「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」。少なくとも、担当クラスの子どもたちに関することは詳細までの報告が必要です。
実習生が勝手な判断をしてしまい、それを指導教諭が把握していないというのはいちばんよくない状況です。子ども同士のトラブルなど、初期に対応していたらすぐに解決できていた問題が、「ホウレンソウ」を怠ったために大ごとになってしまうことも十分にあり得ます。自分はまだ実習生であるという自覚をもち、指導教諭の指示を仰ぐことが大切です。
大切なのは目配りと積極性!
教育実習生のなかには、教科指導だけをすればいいと思っている学生がいますが、これは“困った実習生”の典型です。授業以外にも生徒指導や学校行事、クラブ指導など、教員の仕事は終わりがありません。それを実践的に学ぶために行うのが教育実習なのです。任せてもらえる仕事を積極的に探しましょう。
また、周囲に目を配り、優先順位を意識して行動することも教師を志す者にとって必要なスキルです。膨大な仕事を限られた時間で行うためにも、メリハリのある仕事の仕方を学びましょう。
教員には教科指導能力以外にも、次のような力が求められます。
●コミュニケーション力
児童生徒、保護者、同僚など、教員は多方面とのコミュニケーションが必要!
●司会進行力
優先順位を見極めて、物事を進めていかなければならない!
●コメント力
相手の意向を察して、適した言葉を返すことが求められる!
安易な“つぶやき”に注意!
学校現場では、情報の取り扱いに対する認識不足が大きなトラブルに発展することがあります。大前提として、教育実習先での連絡先の交換は指導教諭など必要最低限に留め、特定の子どもと個人的に連絡先を交換することは厳禁です。
また、実習中のSNSへの書き込みも要注意です。教員には仕事中に知り得た個人情報の守秘義務があり、個人情報保護の観点からも、個人が特定できるような情報や写真は決して公開してはなりません。一度インターネット上に流れた情報は瞬く間に広がり、取り消しはきかないことを肝に銘じましょう。

就職活動の話はご法度!
教育実習に行く学生のなかには、一般企業への就職を検討している人もいるかもしれません。しかし、教育実習の場では就職活動の話題は避けたほうがいいでしょう。
実習を受け入れてくれる学校も指導教諭も、教員の卵を育てるために時間と労力を割いてくれているのです。あくまでも“教員をめざしている教育実習生”として振る舞うことがマナーです。
※本記事は前・中・後編記事の中編です。前編はこちら。後編はこちらです。
イラスト/タバタノリコ