押さえておきたい! 指導の心構えポイント3つ【外国人児童の担任になったら 第3回】

突然の転入生……。来日したばかりで、日本語が全くわからない……。こんなことが、日本のどの地域でも当たり前に起こる時代になってきました。「みんなの教育技術」に寄せられた声をもとに外国人児童の指導のポイントを解説する全3回の連載、第3回目は「指導の心構え編」です。

目次
ポイント1 異なる文化や習慣での行き違いを軽減する「通訳」になる
日本には「郷に入れば、郷に従え」という言葉がありますが、そもそもの大前提として、「日本と外国では、異なる文化や習慣がある」ということを担任が理解している必要があります。具体例でお話ししましょう。
以前、来日したばかりの外国人児童が、学校の帰りにランドセルからお菓子を取り出して食べている、ということがありました。日本では、学校に食べ物を持ってきて食べる習慣はなく、今後、友達とのトラブルが起こることが予想されました。
そこで、担任は、二つの行動をとりました。
一つ目は、周りの子供たちに、 世界の学校の中には、校内にお店があって、文房具や食べ物などを買うことができる学校があるということ、また、午前中の休み時間には、持ってきたおやつを食べる習慣がある国や地域があるということを話しました。そして、日本も以前は学校に購買部と呼ばれるお店があったこと、今でも一部の中学校や高校では、その習慣が残っていることについても話しました。
二つ目は、上記を行った上で、その外国人児童とその保護者には、「日本の学校の給食は、一汁一菜で量も栄養も十分であること」などを説明して、学校にはお金やおやつを持ってこないという話をして理解をしてもらいました。
このように、外国人児童に関わる教職員や支援者、周りの子供、その外国人児童自身が、「自分と異なる文化や習慣がある」ということを知ることで、行き違いによる対立を軽減することができます。担任は、文化や習慣の違いを繋ぐ「通訳」になれるとよいですね。
ポイント2 「一方向」から「双方向」へ視点の転換を
まだ外国人児童が日本の小学校にほとんど在籍していなかったころには、外国人児童への支援は、日本語や日本文化、日本社会への適応を求める一方向的な支援が中心でした。
しかし、外国人児童の滞在の長期化や増加に伴い、昨今は、受け入れる教職員や日本の子供たちにも多様な言語や文化との共生を求める双方向の視点が必要となってきています。
たとえば、社会科の「ゴミの処理」や「工業・漁業・農業などの産業」「気象や気候」の学習などで、その子の母国の様子や既習知識との比較を取り入れたことがあります。
このように、毎日の授業の中で、「○○さんの母国では、どうしているだろう?」という問いを入れれば、外国人児童も授業に興味をもつことができ、周りの日本人の子供たちも様々なものの見方や考え方に触れる機会となります。
双方向的な視点は、日本人児童にとっても、多様性に触れ、成長できるチャンスなのです。
