よりよい1年間をスタートさせる学級開きのポイント
新担任として、1年間を楽しく、有意義なものにしたいもの。そのためには、「見通しを持つための準備」と「子供たちとの出会いの場」を大切にしていきましょう。
執筆/福岡県公立小学校教諭・藤井龍一
目次
旧担任との引き継ぎのポイント
新しい子供たちとの出会いを大切なものにするために、旧担任の先生と子供の顔写真などを使って、情報交換をしておきましょう。
子供の名前と顔を覚えましょう
最初の出会いで、子供たち一人一人の顔を見ながら、名前を呼びましょう。そうすることで、子供たちは、先生への信頼感や学級の一員であるという安心感を持つことができます。正しい名前と顔をしっかりと覚え、自信を持って呼名しましょう。
個別に配慮することを引き継ぎましょう
健康面や特別に配慮を要する面などについては、確実に把握をしておくことが必要です。
まずは、健康面です。食事に際してのアレルギーや持病などの情報は、子供の命そのものに関わる内容です。旧担任はもとより養護教諭や栄養教諭の先生方からも情報をいただき、適切に対応できるようにしましょう。
次に特別に配慮を要する子供について、旧担任や特別支援コーディネーター等と情報交換をしっかり行っておきましょう。どんな場面において、どんな行動(症状)が出るのか。そのときには、「どのような支援が効果的なのか」などを把握しておき、いつでも適切に対応できるようにしておきましょう。
学習計画や学級環境のポイント
1年間の学習内容の把握をしましょう
年間指導計画をもとに、担当学年での学習内容を大まかなにでも把握し、計画的に学習が進められるようにしておきましょう。
また、教科はもとより、大きな行事等については、学年内で担当を決めたり、準備を確認したりすることが重要です。
教室環境を整えましょう
これからはじまる学級生活を子供たちと気持ちよく過ごすために次の点に気をつけ、環境を整えましょう。
- 教室や廊下の清掃と安全点検
- 掲示スペースの点検と掲示物
- ロッカーや靴箱、傘立ての清掃点検と名札
- 児童の机、いす、教師の机周りの清掃と点検
板書例
どの学年でも学期はじめの3日間は、とても大切と言われます。この3日間は、子供たちも、期待と不安でいっぱいです。子供たちに、「安心感」と「信頼感」そして、「期待感」を持たせられる3日間にしましょう。
1日目安心感を与える取組
高学年の子供たちは、何よりも友達関係が気になるものです。はじめの日には、友達のことをよりよく知る取組を仕組みましょう
名刺交換で友だちの輪を広げよう
自己紹介を兼ねて、名刺づくりと名刺交換する活動です。簡単な内容で構いません。
- 名前(イニシャル等)
- 誕生日や星座
- 好きな動物やスポーツ 等
5枚の名刺をつくって、4枚交換をします。
交換の際には、ルールを決めましょう。
- 席に近い人
- 同じ誕生月の人
- 異性の人など
最後の1枚は、先生に渡します。先生は受け取った名刺からランダムに1枚選び、誰の名刺かを当てるクイズへと発展させていきます。名刺をもとに、当たるまで続けます。
数人のクイズを行ったら、そこで終わります。
「この続きは、また明日です。みんなの名刺を後ろの黒板に貼っておきます。見ておいてください」
そうすることで、もらった人以外の友達のことも知ることができます。
また、先生自身も子供たちのことを知るよい機会となります。
1日目の宿題は、「自分の目標」と「どんなクラスにしたいか」を考えさせ、3日目につなぎます。
2日目信頼感を与える取組
組織を創り、互いに学び合える仕組みを
2日目には、学習班をつくって、調べ学習やグループ交流の基本的な組織を決めます。4〜5名程度のグループが交流活動には、適していると言われます。
また、当番決めも行います(当番とは、学級を維持・継続していくための組織。係活動は、学級を楽しく豊かにする組織。それぞれ機能が違いますので気をつけましょう)。
まずは、今日からの学級を子供たち自身で創っていけるよう当番を決め、その活動に取り組ませましょう。それぞれの役割をつくり、互いに信頼し任せ合える学級にしましょう。
3日目期待感を与える取組
目標やルールづくりでよりよいクラスへ
3日目は、1日目の宿題をもとに、自分の目標づくりやそのための学級目標を考えさせます。
「今年、どんな自分になりたいか? そのために、みんなでどんなクラスを創って行けばいいのか!」を考えます。1年後のクラス像をイメージさせ、素晴らしいクラスへの指針を創ります。
また、そのためのルールも子供たちと一緒に考えることも大切です。ルールは、この先も変わってよいものです。まずは、学級目標達成のために、みんなで気をつけることをみんなで考え、決めて、実行できるようにしていきましょう。
イラスト/菅原清貴
『教育技術 小五小六』2020年4/5月号より