失敗しない新学年スタート「1日目」の完全シナリオ《1時間目》

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新年度を迎える先生方必見! 始業式からはじまる新年度の学年開き「1日目」の具体的な流れと方法を、授業の流れに沿ってわかりやすく解説します。初日から子供たちと良好な関係を築くコツ、効果的な進行の組み立て方など、すぐに実践できるテクニックが盛りだくさん。新任の先生はもちろん、ベテランの先生も、今年の新学期はこの記事を参考に、最高のスタートを目指しましょう!

執筆/埼玉県公立小学校教諭・紺野悟

photoAC

新学期の準備はとにかく時間がない!

いよいよ新学年の幕開けが近づいてきました。子供たちは春休み。しかし先生たちは4月1日から毎日のように研修、会議、作業、会議、研修……と続きます。とくに新規採用の先生方は、右も左もわからない中で毎日が過ぎていきます。

しかし時間をかけて準備したいのは、「子供たちとどう出会うか?」「初日に何をするのか?」ということですよね。そこでこの記事では、新学期の初日に私が「何を」「どの順番で」「どのように」取り組んでいるのかを具体的に紹介します。そして、このように受け止めてくださると嬉しいです。
 
①どうしていいかわからない方は、ひとまずそのまま取り組んでみてください。
②数年経験した方は、取組の一つ一つの意味を考えてみてください。
③それ以上経験された方は、ご自身の実践と比較検討するものとして読んでください。

ではいきます!

まずは体育館にて始業式

始業式の段階では、子供たちにはまだ担任が発表されていません。そこで、担任する学級の様子を観察しながら、いいなと思う座り方、聞き方、姿勢、目つきなどを観察しておきます。それらは後ほど、その子に伝えてあげます。

「みなさん、一年間よろしくお願いします。これから教室に戻ります。教室に戻りながら、下駄箱、トイレ、理科室の場所を確認して戻ります。確認は今日しかできません。毎日確認してたら大変ですね(笑)。なので、おしゃべりしていて聞いていなかったということはやめてくださいね。では全員起立」

【教室へ移動開始】

教室にて1時間目の授業

【スライド1を提示】*プリントにも印刷して配布します。

4年1組1日目の予定
スライド1

「改めまして、おはようございます!」

子供たち「おはようございます!」

「いきなりですが、今日の予定を確認します。赤鉛筆を出してください。[始業式]と[場所の確認]は終わりましたね。終わったものにチェックをしていってください」

適宜、一斉読みをしながら1日の流れを説明します。

「さあ、この流れで1日目を過ごしていきます。まずは、やることをやって、そのあと先生の紹介をしたり、体験してもらったりするというわけです。やるべきことが早く終われば、その分楽しいこともできるということです。では、みんな、よろしくね」

子供たち「はい!」

「いい返事、ありがとう。よし、やっていこう」

①おまじない(5分)

【スライド2を提示】

ネームプレートを貼りましょう
スライド2

「机に名前札を貼ります。先生が貼っておいても良いのですが、みんなが1年間お世話になる机ですから、自分で貼ってもらおうと思います。貼る時に、1年間よろしくお願いします!とか、良い1年になりますように!とか、お願いしながら貼ってください。

それではいきますよ〜。どうぞ、貼ってくださ〜い! おまじないのおかげで、きっとよい1年になりますよ(笑)」

ここで「そんなわけないじゃん(笑)」と子供たちの声が上がってきたりすると、少しずつ教室が温かくなってきます。

②一気に回収(10分)

「宿題の絵、雑巾を1枚、ビニール袋を回収します。さて、回収と言ってもどちらの回収が良いでしょうか」

【話しながらスライド3a,b,cを提示】

雑巾・絵・プリントを回収します
スライド3a
雑巾・絵・プリントを回収します
スライド3b
どっちの改修が良いかわかりますか?
スライド3c

【子供の反応を確認してスライド4を提示】

ですよね、では前のカゴにこのように出してください。名前の順に並んできてください。
スライド4

「ですよねぇ。では前のカゴにこのように提出してください。

名前の順に並んでください。並ぶ時は廊下側を通って一方通行で動いてほしいです。そのほうが全員の動きがスムーズになり、速くなります。では、スタート!」

一人一人に「ありがとう」と声をかけながら回収していきます。忘れた児童は、その場で確認し、連絡帳に記入します。

【回収が終わったら「みなさん!」とだけ言って、スライド5を提示】

ありがとう
スライド5

アニメーションでアリを10匹表示します。これで笑ってくれるような雰囲気になっているといい傾向です。

「先生の指示を聞いてくれたおかげで早くできました。本当に、アリが10匹! 違う違う、ありがとう!」

ただし、もしこれがどうしても逆効果になりそうなら、提示しないほうがいいです。こういう小ボケが通用するような仕掛けが、初日ではまだ足りない場合も考えられます。

【スライド6を提示】

二枚の写真の違いは何でしょう?机の上
スライド6

「2枚の写真をよく見てください。違いはなんでしょう? 隣の人と10秒だけ話し合ってみてください」

子供を指名して確認します。

「1つ目は、左側は鉛筆・定規が出ていますが、右の写真はしまってあります。2つ目は、教科書の向きが違います。このように、「整える」ということが大切です。整えるというのは、引き出しやランドセルの中、体育着をたたむこと、筆箱の中をきれいにすることなどです。他にもありませんか?(いくつか子供に聞いて)そんな場面も「整える」ことが大切です」

【スライド7を提示】

整えるとケガが減ります。楽しい学級になるよ
スライド7

「整えると、みんな怪我をしなくなります。そして、楽しいクラスになります。教室がきれいだと、心も落ち着くからなんだとか。例えば、こんな感じです」

【スライド8a,b,cを提示】

整えられた良い状態と整えられていないダメな状態の写真を複数枚提示します。

防災頭巾のしまい方よい例
スライド8a
道具の置き方ダメな例
スライド8b
教科書の置き方よい例
スライド8c

「こうやって整えていきましょうね」

子供たち「はい!」

③教科書&ノート授与(15分)

【スライド9を提示】

教科書&ノート配り
スライド9

「次に、教科書とノートを配付します。最も時間がかかるかもしれないところです。教科書もノートも新品です。丁寧に扱ってください。そして、このように置いてください」

話に合わせて【スライド9】のアニメーション効果で写真を提示します。

「この列は国語、この列は算数……と、列ごとに配るものを指名します。役割が終わったら、全員の机を写真のように整えてあげる、または、どの教科でも構わないので、半分わけてもらって、配りを続けてください。全員で作業を行って、素早く、丁寧にやりましょう」

教科書とノートを配付します。

「では教科書を持っているか確認します」

国語!、算数!……と全員頭の上に上げさせて、全員が持っていることを確認してからランドセルにしまわせます。これにより、配られていない、無くす、といったことを回避します。

机の上がノートのみになります。

「さあ、ありがとう! とってもとっても早く終わりました。みんなに拍手! 作業はもう一つ! その調子でよろしくね!」

④名前書き&シール貼り(10分)

「次はノートにシールを貼ります。写真のように貼ります。すると、背表紙で、誰のノートかが分かりやすくなります。配ったり、集めたりするのがとても早くなります

【話しながらスライド10,11を提示】

ノートにシールを貼りましょう
スライド10
ノートにシールを貼りましょう
スライド11

まず出席番号1番〜5番の人!(と言って手を挙げてもらい、確認する)皆さんは白いテープです。1番の席に集まってください

このように指示をしていき、耳で聞いて活動内容を理解してもらいます。ちなみに私の学級では、このように色を決めています。

1〜5 白
6〜10 黄緑
11〜15 黄色
16〜20 水色
21〜25 ピンク
26〜30 グレー
31〜35 オレンジ

集まった子供にテープを渡しながら指示を続けます。

「どこに、何色のシールを貼るのかわかりましたか? それでは、スタート」

シールは低学年なら事前に用意しておいてもよいでしょう。

※鈴木優太『教室ギア55』(東洋館出版社、2021年)を参考にしました。

参考記事:「家庭学習ラベル」自治的な学級をつくる12か月のアイデア#2 – 鈴木優太

【貼り終えたことを確認してスライド12を提示】

ありがとう

「ここまでたくさんの作業ありがとうございました。正直1時間で終わるなんて思っていなかったです。でも、みんながよく聞いて、すぐ動いてくれたので、作業が終わりました」

こういう作業がこれからもたくさんあります
スライド12b

「これからもたくさん作業することがあります。そんな作業の時は、こんなことを大切にしてください。30人のクラスなら、手紙を1人が配るとなると30枚配らなければなりません。でも15人でやれば1人2枚、30人でやれば1人1枚でいいんです。だからね、みんなでやっていこうね。こうやって助け合っていこうね」

⑤振り返り(5分)

【スライド13を提示】

1時間目を振り返ります。
スライド13

「1時間目を振り返ります。Aペアは横の人のことです。Aのペアに①の「シールは綺麗に貼れた?」と聞いてみてください。続いて、Bペアは縦の人のことです。Bのペアに②の「好きな食べ物は何?」って聞いてみましょう。Cペアは斜めの人です。③の「担任の先生は誰だと思った?」と聞いてみましょう。

では以上で1時間目を終わります」

1時間目でここまで作業を終わらせるには、無駄なく終わるような順序で行えるように段取りをすることがとっても大切です。例えば教科書・ノート配りのところで、配りが終わる頃にランドセルを持って座るように追加指示をします。そうすると、一度座ってから、また立ってランドセルを取りに行く手間が省けます。

これは追加指示が聞けるかを試すためでもあります。そして何より、先生が一生懸命にやろうとしている姿をまず示すという意味もあります。

次回は最初の学級活動、1日目の《2時間目》の授業シナリオを紹介します!(続く)


今回ご紹介した1時間目のパワーポイントのテンプレートを共有します。
画像やクラス名などを差し替えてお使いください!
↓↓↓


執筆者:紺野悟(こんの・さとる)
埼玉の教育サークル clover 代表。イベントを数多く企画・運営し、価値ある教育情報を拡散する教育界きってのインフルエンサー。共著『全単元・全時間の流れが一目でわかる!社会科 6 年 365 日の板書型指導案』(明治図書出版)他多数。

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