失敗しない新学年スタート「1日目」の完全シナリオ《3時間目》

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始業式からはじまる新年度の学年開き「1日目」の具体的な流れと方法を、授業の流れに沿ってわかりやすく解説する連続記事の3回目《3時間目》です。初日から子供たちと良好な関係を築くコツ、効果的な進行の組み立て方など、すぐに実践できるテクニックが盛りだくさん。新任の先生はもちろん、ベテランの先生も、今年の新学期はこの記事を参考に、最高のスタートを目指しましょう!

執筆/埼玉県公立小学校教諭・紺野悟

photoAC

初日《1時間目》と《2時間目》の振り返り

新学期の初日に私が「何を」「どの順番で」「どのように」取り組んでいるのかを具体的に紹介しています。1回目の記事では《1時間目》の授業について、2回目の記事では《2時間目》の授業について、具体的な進め方の事例を紹介しました。

おさらいです。まず《1時間目》は作業を中心に以下のように進めてきました。

次に《2時間目》は教師の紹介を中心に以下のように進めてきました。

では次《3時間目》に行きます!

前回記事はこちら!
失敗しない新学年スタート「1日目」の完全シナリオ《1時間目》
失敗しない新学年スタート「1日目」の完全シナリオ《2時間目》

拍手リレーをもう1回(2分)

いよいよ3時間目が始まります。前時間から続けて、まずは拍手リレーをもう1回行います。

【説明しながらスライド1提示】

スライド1

「さあ、3回目のチャレンジです! もう少し早く終わらせるためにどうしたらいいですか? まわりの人と話してください」

と言ってペアやグループで相談させます。そして子供から出てきたアイディアでチャレンジしていきます。

いいですね、では今回は円になってやってみましょう!!」

だんだん先生もテンションをあげながらやっていきます。

日直カード作り(説明5分+活動20分)

【説明しながらスライド2を提示】

スライド2

「それでは、日直カードを作ります

台紙を配付します。

まず自分の名前を書きます。鉛筆で下書きをしてから、その後サインペンで丁寧になぞりましょう。カードの左側にクラスのみんなへの一言を書いて、真ん中には自分の似顔絵を描きましょう。

さあ、描けたら次は色鉛筆で色塗りをします。これは今日の宿題にします。でも、もし色鉛筆を持っていたら、いま塗っても良いです。質問はありますか? 


時間は20分です。静かに、ゆっくり取り組んでください。それでは、始めましょう。

静かに取り組むためには、静かな環境が必要です。先生も話しかけてはいけませんし、足音まで気をつけてください。しかし、まだ初日です。教卓に座っていては、子供たちの様子がわかりません。静かに穏やかな表情で机間巡視をします。何かあれば、小さな声で対応してあげましょう。

また、穏やかなBGMを流すのも良いです。私はオルゴールやピアノ、カフェなどのBGMをYouTubeで検索して流しています。

日直カードで交流(8分)

【話に合わせてスライド3提示】

スライド3

「はい、20分経ちました。途中だとしても、一度手を止めて先生の方を向いてください」

全員が先生の方を向くのを待ちます。

「目を見てくれてありがとう。ではこれからこのカードを使ってみなさんに交流をしてもらいます。これから説明をします」

1人の児童に立ってもらい、モデリングしながら手順を説明します。

「まずペアを作ります。ペアができたら、相手の人とじゃんけんをします。勝った人から話します

勝った人から①名前、②去年のクラス、③書いた一言を伝えます。次にじゃんけんに負けた人が話してください。その時に『好きな食べ物は?』と一つ質問してみましょう。

それぞれ話せたら、お互いに裏にサインをしてください。そして『ありがとうございました』と伝えて、次のペアを作りましょう。

何か質問はありますか? では初めはCペア(斜めの人)から始めてください。その次は、自由に動いてOKです。スタート!」

なぜか「自己紹介」と言うと難しさを感じてしまう子どもがいます。ですので「交流します」と伝えます。

ここでは、立ち歩き自由に交流してもらいます。ペアを自分から見つけられない子もいますので、子供たちを繋げてあげましょう。できなかったという印象より、先生にペアを決めてもらえた方がまだ子供たちにとっては良い影響があります。いずれ、自分でペアを組み、交流活動が行えるようになれば良いのです。まずは、活動に参加できたという経験を積ませてあげましょう。

④再チャレンジして価値づける(5分)

  【スライド1を再提示】

「さあ、4回目ですね。もっと速くするためにどうします?」

ペアやグループで相談させ、子供から出てきたアイディアでチャレンジしていきます。

「ではまた円になってやってみましょう!」

拍手リレーを実施し、結果のタイムを発表します。

  【スライド4を提示】

スライド4

はい、さっきこの時間の初めに日直カードを書いた20分間は、とっても静かな時間でしたね。そして、その後の交流は活発に動いた時間でした。これを『動く時間』と『静かな時間』、あるいは『動と静』と呼んでいます。

これからもこうやって、動く時は動き、話す時はたくさん喋ってください。そして静かに取り組む時はみんなが静かにすると、心地よく過ごせます

④1日の終わり方講座(5分)

「それでは今日1日の学習を振り返ります。1時間目は、整える。2時間目は、話は目で聞く。3時間目は、動と静ということを学びました」

スライドを提示してみんなで声に出しながら、学習した3つのことを確認していきます。

  【話しながらスライドを順次再提示】

「最後にノートを配ります」

と言って日記用のノートを配付します。

  【スライド5を提示】

スライド5

「みなさんには今日から毎日、このノートに日記を書いてもらいます。今日は4年1組最初の3時間授業でした。1日、4年1組で過ごして、いかがでしたか? どんな1年にしたいと思いますか? 先生に聞きたいことはありますか? そんなことを書いてくれると嬉しいです。先生もみんなの日記を読んで、コメントを入れますからね。

毎日5分、日記の時間をとります。これは、静かな時間です。時間いっぱい書きましょう」

(書き終えたら)「読むのを楽しみにしています。これで3時間目の授業を終わりにします」

挨拶をして終了。

これで1日目を終えます。1日目なので、1時間に一つ学ぶようにプログラムしています。今日は何を学んだか、どんなことを体験したかをできるだけわかりやすくするためです。この後、じっくり日記に返事を書いて、終わりにします。


いかがでしたでしょうか。皆さんの学校はもしかすると初日が1時間しかない、2時間しかないなど条件が違いますので、ご自身で切り取って使ってもらえればと思います。

1日目で大切なことは、何事にも目的をもって活動することです。「教科書を配るだけ」で終わってはいけないし、アクティビティを乱発するのではいけません。与えられた時間の中でやるべきことを行い、大切なことを指導します。アクティビティを行って、指導をすることです。活動と学びをセットにして学級の子どもたちと出会い、伝えていく中で学級づくりをスタートしていきましょう。


今回ご紹介した3時間目のパワーポイントのテンプレートを共有します。
画像やクラス名などを差し替えてお使いください!
↓↓↓


執筆者:紺野悟(こんの・さとる)
埼玉の教育サークル clover 代表。イベントを数多く企画・運営し、価値ある教育情報を拡散する教育界きってのインフルエンサー。共著『全単元・全時間の流れが一目でわかる!社会科 6 年 365 日の板書型指導案』(明治図書)他多数。

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