学級活動を充実させてめあてを決めよう
子供たちの意欲を具現化していくには、一人ひとりがめあてを明確にもち、具体的に行動していくことが重要です。そのために、特別活動のなかの「学級活動」の充実を図っていきましょう。
執筆/神奈川県公立小学校教諭・木村綾子
目次
一人ひとりのめあてを決めよう
新年度になり、学年が一つ上がりました。教師は、それぞれの学年に合わせて、どんな行事や活動があるのかについての話をすることと思います。その話を聞いて、子供たちは、「○○が楽しみだな」「○○をがんばりたい」という思いをもつようになるでしょう。
子供たちの意欲を具体化していくためには、まず、一人ひとりがめあてを明確にもち、めあてに向けて具体的に活動していくことが重要になります。そのためには、特別活動のなかの「学級活動」の充実を図っていきましょう。
学級活動には、⑴⑵⑶の三つの活動内容があります。「⑴学級や学校における生活づくりへの参画」「⑵日常の生活や学習への適応と自己の成長及び健康安全」「⑶一人一人のキャリア形成と自己実現」です。
⑴は、教師の適切な指導のもとに子供自らが楽しく充実した学級や学校の生活をつくっていくことです。
話合い活動では、「みんなのことをみんなで決めていく」という集団思考による「合意形成」をしていきます。
それに対して、⑵⑶は、子供に共通した問題ではありますが、個々に応じて生活や学習の目標を決め、実践されるものです。教師が意図的、計画的に指導する必要があります。
話合い活動では、「自分のことを自分で決めていく」ために、集団思考を生かして「意思決定」をしていきます。また、学級活動の学習過程は、次のようになっています。
1年間のおよその見通しをもち、自分のめあてを決める活動は、先ほどの学級活動⑶で行うことができます。子供が、学校生活を自分たちの力でつくっていこうとする基盤になるように、指導を継続して行い、積み重ねを大切にしていきましょう。
学級活動⑶の授業から
まずは、学校で年間指導計画を作成していると思いますので、学校や学年の教師に確認して取り組むのがよいでしょう。
ここでは、学級活動⑶で、現在や将来に希望や目標をもって生きる意欲や態度を形成することを扱います。「どんなことをがんばりたいか」「どんなふうになりたいか」というめざしたい自分をイメージして、最後には「自分のめあて」を決めていく流れになります。
1.問題の発見・確認
これまでの経験をふり返ります。一年生のときにどんな活動を行い、どんなことをがんばってきたのかをみんなで出し合ってみるのもよいでしょう。小学校に入学してからの1年間で、たくさんの力が身に付いたことが実感できるでしょう。
さらに、二年生に関連する行事や活動について教師が話をすることで、これからの1年間の見通しをもつことができるでしょう。そして、「どんな二年生になりたいか」という共通の問題を設定して、考えていきます。
1年間の見通しをもたせる際は、話だけではなく、できれば視覚的に分かるような掲示物があるとよいでしょう。また、学年目標や学級目標が決まっている場合には、その目標と絡めて話を進めていくのがよいでしょう。
2.解決方法などの話合い
昨年度の二年生がどんな活動をしていたのかを思い出してみたり、事前に昨年度の二年生にインタビューしたものを読み上げたりして、さまざまな子供たちの意見が出るように準備しておくとよいでしょう。
3.解決方法の決定
話合いで出た意見を参考に、自分に合っためあてを決めます(意思決定)。
めあては、カードに記入できるようにします。めあてを立てるとき、抽象的な言葉だけで終わらせてしまう様子が時々見られます。具体的なめあてが決められるように、教師は、個々の子供たちに声をかけて、具体的な姿について考えるように指導していくとよいでしょう。
4.決めたことの実践
自分の決めためあてを意識した学校生活を送ることができるように、それぞれのめあての掲示や日々の声かけなど、教師は個々への支援を工夫しましょう。
5.ふり返り
めあてを立てて終わりではありません。めあてに対して、自分はどうだったのかをしっかりとふり返る時間を取りましょう。
学級の実態にもよりますが、めあてを立てたら、1週間程度のサイクルで実践した後にふり返ります。自分でふり返ったことをカードに記入し、さらに学級全体で共有するとよいでしょう。ふり返りのなかで、子供たちから出た気付きを大切にし、今後の自分たちの実践につなげていくことが望ましいでしょう。また、ふり返りを定期的に行うと、子供たちが自分の成長に気付くこともできます。一度きりではなく、繰り返すことが大切です。
最後に、実践を続けていると、めあてが変わってくることもあるでしょう。時々、めあてを見返して追加や修正を加えて、子供の実態に合っためあてづくりをしましょう。
イラスト/佐藤雅枝
『教育技術 小一小二』2020年4/5月号より