困った親7つのタイプ(前編)【現場教師を悩ますもの】

連載
諸富祥彦の「現場教師を悩ますもの」【毎週更新】

「教師を支える会」代表

諸富祥彦

「教師を支える会」を主宰する“現場教師の作戦参謀”こと諸富祥彦先生による人気連載です。教育現場の実状を説くとともに、現場教師の悩みやつらさを解決するヒントを、実例に即しつつ語っていただきます。

今回のテーマは「保護者対応」。20代の学級担任にとって保護者の存在は悩みの種。苦手でもつき合わないわけにはいきません。そこで保護者のタイプを大別し、どう対応するのがベターか諸富先生に解説していただきました。

諸富祥彦先生

40代保護者vs20代教師

教員構成が若返り、20代の教員が増えています。保護者に苦手意識を持っている教員がとても多いのもうなずけます。今、小学生の子供の保護者といえば、40代が中心です。40歳代から見れば、20代の教員はどうしても「まだ未熟な若者」に見えてしまいます。

しかし、20代前半であっても、学級担任として40代の保護者とうまく渡り合っていかなくてはなりません。

先生方から「困った親」について相談されることは少なくありません。その実態はさまざまですが、私が先生方の相談を受ける中で見えてきたのは、次の七つのタイプでした。

【タイプ1】クレーム好きの保護者
【タイプ2】学校任せの保護者
【タイプ3】依存的な保護者
【タイプ4】子供を溺愛する保護者
【タイプ5】逆ギレする保護者

【タイプ6】家で子供に教師の悪口を言う保護者
【タイプ7】集団で教師のバッシングを繰り返す保護者

「困った親」の七つのタイプをそれぞれ見ながら、対応の仕方をお伝えしたいと思います。今回は【タイプ1】から【タイプ4】を取り上げます。

【タイプ1】クレーム好きの保護者

あるお子さんが風邪をひいて休みました。先生が学級で「Aさんは今日は風邪でお休みです」と言ったところ、Aさんの親ではなく、同じクラスのほかの子供の保護者が「教師がみんなに欠席の理由まで伝えるのは、個人情報保護に反するのではないか」と訴えてきました。

このように、ほかの子供について、細かなことまでいちいち干渉してきて、教員を振り回すクレーム好きな保護者がいます。

このタイプはとても増えています。新型コロナ禍での緊急事態宣言下で起きた自粛警察と同じ構造です。「どうして帰省してきたの!」とわざわざ指摘しに来るような人がいましたね。相手にちょっと問題だと思えば、そこにからんでいくタイプです。

これは「他者に否定的な評価を下すことによって、自分の存在価値を確かめる」という心性が働いています。

このタイプは、人の揚げ足をとるために、相手の出方を虎視眈々とねらっています。人をジャッジメントするのが好きな人は、人からジャッジメントされることに非常に敏感です。少しでも言い返されると、怒り狂うことがあります。このタイプは、受け流して反応しないのが一番です。

【タイプ2】学校任せの保護者

自分の息子が箸をきちんともてないことに気づいたお父さんが、「箸もまともに持てないなんて、いったいどんな給食指導をしているんですか」とクレームをつけてきたことがありました。特に最近、父親から過剰に学校の責任を問うクレームが増えているようです。

傍から見れば、笑い話ですが、当の本人は真剣にクレームをつけています。これは、学校現場でよく起きる、親は学校の責任だといい、学校は親の責任だという擦れ違い現象の一つといえます。箸の持ち方を教えるべきなのは、いったいどちらなのか考えていただく機会としたいものです。

【タイプ3】依存的な保護者

ある子供のお父さんが担任の女性教師に、「うちの妻、洗濯物をまともに干せないんです。今度、うちに来て、妻に洗濯物の干し方を教えてやってくれませんか」と依頼してきたそうです。こういうタイプも珍しくありません。

何でも先生に頼めばいいと考えている人です。これは、担任に対して親近感があるから、このようなことを言ってくるのです。親近感の裏返しです。「余計な仕事を押しつけてきた」といちいち頭にくるのはやめて、「もっと関わってほしい」というサインなのだと受け止めましょう。

【タイプ4】子供を溺愛する保護者

ある子供は、算数の時間のたびに砂場に遊びに行ってしまいます。何度注意しても聞かないので保護者に連絡すると、「だって、うちの子、かわいいでしょ。私、叱る気になんかなれません」と言われてしまったという事例です。

教育界では、個の尊重が叫ばれています。それと呼応するかのように、保護者の中には、子供にやりたいことをやらせるのが一番という考え方の人がいます。その一方で、学級集団の中で協働して何かをすることや、協調心を学ぶことも重要なはずです。

このタイプの場合には、正面から対立するのではなく、ねばり強くお願いする作戦でいきましょう。「そういう教育方針であることはわかりました。しかし、学級のみんなで力を合わせてつくりあげるいい機会です。お子さんにその一体感を体験させてみませんか」と協力を仰ぐのです。

〈後編へ続く〉


諸富祥彦●もろとみよしひこ 1963年、福岡県生まれ。筑波大学人間学類、同大学院博士課程修了。千葉大学教育学部講師、助教授を経て、現在、明治大学文学部教授。教育学博士。臨床心理士、公認心理師、上級教育カウンセラーなどの資格を持つ。「教師を支える会」代表を務め、長らく教師の悩みを聞いてきた。主な著書に『いい教師の条件』(SB新書)、『教師の悩み』(ワニブックスPLUS新書)、『教師の資質』(朝日新書)、『図とイラストですぐわかる教師が使えるカウンセリングテクニック80』『教師の悩みとメンタルヘルス』教室に正義を!』(いずれも図書文化社)などがある。

諸富先生のワークショップや研修会情報については下記ホームページを参照してください。
https://morotomi.net/

取材・文/高瀬康志

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