学級開きは「先生の笑顔」で決まり!
学級開きから子供たちの心をつかんで、1年間を見通して、学級をしっかりまとめていきましょう。学級開きに大切なことを紹介します。
執筆/東京都公立小学校主任教諭・小倉さえ子
目次
とにかく笑顔!
学級開きは、1年間の始まりの大切な時間。どの子供も「今年もがんばっていこう」「今年こそはがんばろう」「今までできなかったことに挑戦しよう」と意欲にあふれています。
何かを始めるには、学級が安心できる場所となる必要があります。第一歩として「この学級は楽しそうだ」と感じさせることが大切です。それには「とにかく笑顔」。
子供との出会いは、ベテランの先生でも緊張します。静まり返った教室でも、子供たちが微笑みを返してくれなくても、それでも笑顔です。微笑みではなく、全力&満面の笑顔が大切です。
できることをていねいに!
一年生の初日は、入学式・学級での教科書等配付・保護者対応などやることがたくさん。二年生は始業式の後に、入学式での出し物等が控えている学校が多くあります。
そのため、子供とゆっくり過ごす時間はあまり取れません。それでも、子供たちに「この先生は頼りになりそうだ」などのプラスな印象を与えたいもの。しかし、無理にいばることや、背伸びした指導は必要ありません。時間のないときほど、一つ一つの作業をていねいに行うだけで大丈夫。
書類確認は実物を見せながら
顔の横の高さに書類を掲げ、タイトルを読み上げます。似ているタイトルの書類があるので、長くてもきちんと正確に伝えます。
呼名は名簿を見て
初対面の子供の名前を暗記して呼名するのは素敵ですが、緊張して記憶が飛ぶことも考えられます。ふりがなをふった名簿を手元に準備して、一人ひとり確認し、顔を見ながらていねいに呼ぶことでも誠実さは伝わります。
声を張る!
声が小さいだけで、自信がなさそうに見られてしまいがち。子供たちは担任を頼りなく感じ、不安な気持ちを抱くこともあります。
また、実際に聞こえていないと、子供はどうしたらよいか分かりません。学級開きのこの時期は、ハリのある元気な声で学級を明るくしましょう。大きさの目安としては、一番後ろの席の子供がしっかり聞こえる声です。
メリハリをつける!
「楽しいこと」と「好き勝手に面白おかしくする」のは違います。遊ぶときにはとことん遊ぶ。学ぶときには適度な緊張感をもたせる。叱るときは叱る。叱り終わったら笑顔に戻す。言葉で言うと簡単ですが、実践するのは難しいことです。そこで、極意を二つ紹介します。
その① 切り替えを速く
学校生活では、時には叱る場面もあります。叱る先生も、決して気分のよいものではありません。それでも、先生は切り替えて笑顔に戻りましょう! 「さっきまであんなに怒っていたのに、笑えない……」。そんな気持ちは封じ込め、笑顔です。終わったことは、終わったこと。前に進みましょう。
その② 一文は短く。指示は二つまで
話が長く、一度に多くの指示を出すと、子供にとって分かりにくく、やる気もしぼみます。
NG例
「ここに名前を書いたら、1番目の問題は、分からなかったら教科書の絵を見てやってね。分かる人はそのまま書いてもいいけど……」
OK例
「ここに名前を書きます」(作業をさせる)「1番目の問題を見ましょう」(問題を指で示す)
「分かった人は答えを書きます。分からない人は絵を見て考えましょう。質問はありますか?」(全員で確認する)
「それでは始めましょう」
先生のキャラ設定をする
子供たちは、初めて会った担任の先生に興味津々です。「どんなときに叱るの?」「何が得意?」「先生が小さい頃は、どんな子供だったの?」と、なんでも知りたがります。時には「何歳?」「体重は?」など、少し困ってしまうような質問もあります。答えにくい質問には、「ごめんね、答えたくないです」「マナー違反ね」とさらっと伝えるか、「200歳。意外と若いでしょ!」など、ユーモラスに答えるのもよいでしょう。
好きなこと・得意なことは、読書や書道などの真面目なものでなくても大丈夫です。「モノマネ(似ていなくてもオッケー)」「恐竜の名前を速く言える」「プロ野球やサッカーの応援歌が歌える」など、子供たちと一緒に楽しめるもので、盛り上がりましょう。
子供たちのテンションを上げる!
一日1回は、学級のテンションを上げる時間をつくりましょう。授業の隙間に5分のミニゲームで盛り上がる、みんなで爆笑する、「すごい!」と歓声を上げるなど、意図的に盛り上がる工夫をしましょう。手品・じゃんけん・なぞなぞ・早口言葉がおすすめです。
子供たちが喜ぶ方法で自己紹介をする
低学年は動きのあるグッズで自己紹介をすると大喜びします。
裏表イラストカードで自己紹介
〈用意するもの〉
白い画用紙(八つ切りサイズ。名前の枚数分)・カラーペン・のり
画用紙の表面にはかわいいイラスト(インターネットには無料のものがたくさんあります)を貼付け、裏面には1文字ずつ教師の名前をひらがなで書きます。
例えば、表面にオムライスのイラストを貼り、その裏にイラストの頭文字の「お」を書き込みます。
表…オムライスのイラスト 裏…お
表…グラタンのイラスト 裏…ぐ
表…ラーメンのイラスト 裏…ら
キャラクターカードで自己紹介
〈用意するもの〉
緑・赤・黄・黒の画用紙(八つ切りサイズ)・自分の名前を印刷した紙・のり・はさみ
絵本で人気のキャラクターを画用紙で作り、胴体に名前を貼り付けます。写真のように文字の部分を開きながら、1文字ずつ大きな声で自己紹介をします。
パタパタカードで自己紹介
〈用意するもの〉
10㎝角の工作用紙10枚(5文字の場合)・長さ14㎝のリボン16本(4本×4段)・のり・色画用紙(2色)・はさみ・わりばし
手品でおなじみのパタパタカードを作り、自己紹介をします。
パタパタカードの作り方
① 10㎝角に切った工作用紙1枚に、長さ14㎝のリボン4本を下図のように のりで貼り付けたものを、4枚作る。
② ①の用紙1枚の上に、リボンのない用紙1枚をのり付けする。
③ 上側のリボンは下向きに、下側のリボンは上へと折り返す。
④ ③の上に、①で作った2枚目を1枚のせ、③の用紙のリボンの端を下図のように折り返し、①の用紙の端にのり付けする。
⑤ ④の上に、リボンのない用紙を1枚のり付けする。これを計4回繰り返し、最後の5段目にリボンのない用紙を貼り、持ち手のわりばしを付ける。
⑥ 最後に、一文字ずつ文字が書かれた紙を、リボンに触れないように貼ったら完成。
イラスト/佐藤雅枝
『教育技術 小一小二』2021年4/5月号より