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卒業式練習は最後の授業

特集
卒業特集ー6担初心者もこれで安心!ー 
連載
古舘良純の「つぶやききれなかったこと」

元・岩手県公立小学校教諭

古舘良純

自らの体験に裏打ちされた教育哲学と再現性の高いスキルをTwitter(@YoshiJunF)で発信し、若手教師を励まし続ける古舘良純先生が、Twitterではつぶやききれなかった思いを綴る連載。今回は、「最後の授業」としての卒業式の練習に関するお話しです。

執筆/岩手県公立小学校教諭・古舘良純

卒業式の準備は様々

多くの学校で、卒業へ向けた取り組みが大詰めを迎えている頃でしょうか。私は、昨年度も6年生を担任していました。今年度は少なからず「準備」して卒業を迎えられそうです。その「準備」にはいろいろあります。今回は、「卒業式練習」について、考えていることを少しだけ紹介します。

私が経験してきた卒業式練習は、その多くが教務主任から提案されたものでした。その提案を受け、学年で細かな部分をすり合わせ、場合によっては変更し、いざ練習をスタートする流れでした。

第1時は、「卒業式の意義」「卒業式における礼儀作法」についてお話があります。いわゆるオリエンテーションのような時間です。座る位置、椅子の出し入れ(準備)、服装などの注意点に加え、立ち方、座り方、礼の仕方などを説明します。さらに、会の流れ(式次第)、卒業証書授与、門出の言葉(呼びかけと合唱)などのアウトラインが示されます。

第2時以降は、卒業証書授与や呼びかけ・合唱が交互に行われ、その精度を高めていく時間になります。終盤には校長先生に来ていただき、実際に証書の受け渡しを行います。予行練習(リハーサル)を行う学校もあります。

6年担任として、5年連続9回目の卒業式となりますが、これまで、同じ卒業式は一度もありませんでした。しかし、そのどれもが感動に包まれ、思い入れの深い卒業式となりました。

初めて卒業生を送り出した年は、ガチガチで機会的な指導をしていたように思います。それでも子どもたちはその期待に応えてくれ、たくさんお誉めの言葉をいただけた卒業式でした。嬉しい反面、今思うと「教師が思う形に子どもたちを揃え、整えた卒業式」だったと感じます(だからといって後悔はなく、それはそれでよかったと思っています)。

コロナ禍、ぶっつけ本番の卒業式

昨年度の卒業式は、ほぼぶっつけ本番の卒業式でした。コロナ禍で休校となり、卒業式前日に3時間だけ集め、当日を迎えた形になりました。と言っても、卒業式練習は1時間程度で、残りは物の片付けや配付物等に時間を費やしました。

そのため、証書のもらい方がぎこちなかったり、子どもによって歩く経路が変わったり、呼びかけは手元の紙をチラッと見たりと、従来であれば突っ込みどころ満載の卒業式でした。しかし、子どもたちの表情は凛々しく、1か月間の休校を思わせないほどの堂々とした姿でした。そんな姿に感動したことは言うまでもありません。

もしかしたら、「式が滞りなく行われ」「タイムテーブル通りに流れ」「ミスが一つもない」卒業式でなくとも、子どもたちの精一杯な姿さえあれば、それは卒業式に十分ふさわしいのかもしれません。もちろん、最低限の指導は行います。場合によっては、個々に応じた配慮も必要です。しかし、「ここで礼をしなければならない」という形式的な礼よりも、笑顔で晴れやかに歩いていった方が、気持ちよく見送ることができるのではないでしょうか。

「式だから」ということばかりが先行し、「失礼のないように」「形式的な指導」にのみ終始するようであれば、それは練習というよりも訓練です。6年間の集大成、総合力を発揮する「卒業式練習」とは言い難いものになってしまいます。それこそ、「最後の授業」とはかけ離れた時間になるでしょう。

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