学習指導要領のポイント②『対話的な学び』のポイントは3つ!【動画】
【トモ先生の算数チャンネル】第3回
小学校の算数の授業づくりをお手伝いする『トモ先生の算数チャンネル』。全3回で「学習指導要領 解説」をコンパクトにまとめた「ちょこっと学習指導要領」のコーナー、今回は『対話的な学び』を授業でどのように実現するのかを、髙橋朋彦先生が解説します!
このシリーズでは、小学校高学年の算数を専門とする髙橋朋彦先生が、小ネタや道具に頼らずに、基本を大切にした質の高い授業づくりができるアイデアをお届けしていきます。
目次
『対話的』とは?
そもそも、「対話」とは何でしょう?
辞書には、以下のように記されています。
「向かい合って話すこと。相対して話すこと。二人の人がことばを交わすこと。会話。対談。」
広辞苑(岩波書店)より
これだけでは、授業にどうつなげていけばよいのか、よくわからないですね。
なので、文部科学省が何を「対話的」としているのかを捉えることが大切です。
ちょこっと学習指導要領 Part2『対話的な学び』3つのポイント
そこで今回は、学習指導要領をもとに『対話的な学び』のポイントを3つにまとめました。
①目的:自己の考えを広げ、深める
②方法:意見交換・話し合い・協働・議論 など
③対象:子供同士・子供と教員・子供と地域の人・本の作者
実際には、どのようにこれらのポイントをおさえていくのかを見ていきましょう。
①【目的】自己の考えを広げ、深める
話し合い(対話)をすると、今まで自分の知らなかった考えを周りの人から取り入れ、「なるほど、そういう考えもあるのか!」というように、自分の考えを広げられます。
他にも、「なるほど、そういう考えもあるのか。だったら、これはどうかな?」というように、他者の意見を聴くことで考えがどんどん深まっていきます。
②【方法】意見交換・話し合い・協働・議論 など
今までの算数の授業では、複数の考え方を比較検討し、「どれが早くて、簡単で、正確か」を話し合ってきました。
でも、学習指導要領を見ると、それだけではないことがわかりました。
「早くて、簡単で、正確な方法はどれだろうか?」は、この中でいうと議論にあたります。
そして、「あなたの考えはどうですか?」とか、「あなたは、どのようにやるの?」と意見を交換しあったり、「この方法でみんなで解いてみよう!」と協働してみたり、「これって、どうやって解くんだろう?」と話し合ったり、というのも『対話的な学び』になります。
なので、今までのような「早い・簡単・正確な答え」の議論だけでなく、もっと幅広い対話の方法があることがわかります。
③【対象】子供同士・子供と教員・子供と地域の人・本の作者
文部科学省の資料(次項参照)には、「子供同士の対話に加え、子供と教員、子供と地域の人、本を通して本の作者などとの対話を図る」と書いてあります。
とはいっても、算数では、地域の人や本の作者との対話は難しいので、子供同士・子供と教員が「対象」になるでしょう。
今までは、子供同士の対話が重視されてきましたが、子供と教員の対話の中でも深い学びにしていくことができます。
『主体的・対話的で深い学び』に基づいた授業を実践する中でも、「対話」という部分により学びの範囲が広がった、と私は感じています。
この観点で算数の授業にも『対話的な学び』を取り入れていますので、みなさんもぜひ参考にしてください!
《資料》文部科学省の定義する『対話的な学び』
「子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める『対話的な学び』が実現できているか。」
文部科学省資料「新しい学習指導要領の考え方―中央教育審議会における議論から改訂そして実施へ―」より
トモ先生の「ちょこっと学習指導要領 Part1『主体的な学び』編」はこちらです! ⇒ 学習指導要領のポイント①『主体的な学び』は5ステップ!
対話を、目的・方法・対象の3ポイントに照らし合わせ、意識的に取り入れることで授業が変化しそうですね。答えの明確な算数でも、さまざまな角度で対話することにより学びの幅が広がり、応用の効く深い学びにつながりそうです!
髙橋朋彦●1983年千葉県生まれ。第55回わたしの教育記録特別賞を受賞。教育サークル「スイッチオン」「バラスーシ研究会」に所属。共著に『授業の腕をあげるちょこっとスキル』『学級づくりに自信がもてるちょこっとスキル』(共に、明治図書出版)がある。算数と学級経営を中心に研究中。
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