学校の管理職に対して絶望しそうになったら?

「教師を支える会」を主宰する“現場教師の作戦参謀”こと諸富祥彦先生による連載です。多くの著書を通して ①多忙化・ブラック化、②学級経営、子供への対応の困難さ ③保護者対応の難しさ ④同僚や管理職との人間関係の難しさ、という「四重苦」が学校の先生を追いつめていると警鐘を鳴らしてきた諸富先生に、教育現場の現状やそれに対する危機感、そして現場教師へのアドバイスについて伺います。
目次
職場でのお父さんのような存在
私が「教師を支える会」などでうかがう先生方からの相談の中で、先生方の一番の悩みは何かというと、それは「学校管理職との人間関係」です。実に相談の8割は、この学校管理職に対する悩みなのです。
悩んでいる先生方は、学校管理職に対して絶望に近い感覚を抱いています。ある先生は私に「学校管理職に対する気持ちは怨念と諦念です」とおっしゃいました。今でもその言葉は忘れられません。
あるとき、小学校、中学校、高校と所属する学校の異なる先生から話を聞く機会があり、それぞれの先生に、「先生にとって、校長はどういう存在ですか」という同じ質問をぶつけてみたことがあります。
そうすると、高校の先生は「校長はいてもいなくても同じです」と言い、中学校の先生は「チームのボスです」と答えました。これらの回答は私の想定内でしたが、小学校の先生の回答は意外なものでした。
小学校の先生は「職場でのお父さんのような存在です」と言ったのです。
これを聞いて私は、小学校の先生にとって、校長に対する期待は非常に高いと思わざるをえませんでした。小学校はファミリーなんですね。おそらく小学校はファミリーじゃないとやっていけないような組織なのでしょう。
そんな場で校長のことを父親のような存在だと思って仕事をしているわけですから、もし期待が裏切られてしまったら、絶望感に覆われたとしても不思議ではありません。
小学校の先生にとって、学校管理職の存在というのはものすごく大きいのです。