小5理科「ヒトのたんじょう」指導アイデア

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執筆/大阪府公立小学校教諭・松田善行
編集委員/文部科学省教科調査官・鳴川哲也、大阪府公立小学校校長・細川克寿

小5理科「ヒトのたんじょう」指導アイデア
写真AC

単元のねらい

ヒトの発生についての資料を活用する中で、胎児の様子に着目して、時間の経過と関係付け、動物の発生や成長を調べる活動を通して、それらについての理解を図る。資料を基に調べる学習に関する技能を身に付けるとともに、主に予想や仮説を基に、解決の方法を発想する力や生命を尊重する態度、主体的に問題解決しようとする態度を育成する。

単元の流れ

(①~③…1時間 ④…4時間 ⑤~⑦…1時間 総時数 6時間)

① ヒトの命の始まりが受精卵であることを知る。

ヒトもメダカと同じように、丸い受精卵から命が始まるんだね。受精卵から私が知っている赤ちゃんの姿になるまで、どのように成長するのかな?

共通性・多様性の視点で捉えられるように、既習のメダカなど、他の生物の発生と関係付けて考えられるようにする。

②「ヒトは母親の体内で、どのように育って誕生するのだろうか」という問題を設定する。
③ 予想をもち、交流する。友達の予想との共通点や差異点、交流から生まれた疑問を基に調べることを焦点化する。
④ 解決方法を考える ⇨ 調べ学習(図鑑・模型・インターネット・インタビュー・養護教諭や産科医などからの情報や資料)

子供が胎内にいた頃や生まれたときの様子を導入で扱い、関心や意欲を高めたり、調べ学習の場面で活用したりする展開もあるが、個人の出生時の状況や家庭の事情など、配慮の必要な場合があるので、細心の注意が必要です。
また、「受精後約38週間で誕生」「身長約50㎝・体重約3000g」は目安や平均であり、個人差があることも配慮する必要があります。

インターネット上には、本単元の学習向けでない情報もある。あらかじめ、教師のほうでテーマに合ったウェブサイトを選んでおき、活用できるようにします。

⑤ 交流・考察
⑥ 結論
⑦ 学習の振り返り

指導のための豆知識

・妊娠期間が最も長いのはゾウで約21か月。体重は約100㎏。有袋類やネズミの仲間は妊娠期間が短いものが多い。オポッサム(有袋類)は約12日、ハムスターは約16日である。

・ヒトの命(発生)は受精で始まるため、理科の授業では発育を受精周期で表す。しかし、産科学では正確な受精日の特定が困難なので、最終月経の第1日目を妊娠の始まりとする妊娠週数(いわゆる妊娠〇か月や妊娠〇週)で表現される。受精周期と妊娠週数は、約2週間の差が生じる(受精周期+ 約2週間= 妊娠周期)。

単元の終わりに、期待される振り返り

・ヒトも植物や他の動物と同じように、生命を受け継いでいっているんだね。
・ヒトもメダカのように、受精卵から少しずつ体の形ができていくんだね。
・メダカは卵の中の養分で育ったけれど、ヒトは、母親からへその緒を通して養分を受け取って育つんだね。

授業の展開例

動物の生命を受け継ぐための巧みな仕組みに気付くことができる授業を行うことで、生物を愛護し生命を尊重しようとする子供を育成しましょう。

自然事象への関わり

ヒトもメダカと同じように、卵と精子が受精してできた受精卵から命が始まることを理解できるようにします。

みなさんの命が始まったのは、いつでしょうか?

生まれた日かな?

生まれる前のお母さんのおなかの中にいたときから、命は始まっていたよ。けれど、始まりはいつなんだろう。

女性の体内でつくられた卵が、男性の体内でつくられた精子と結び付くと受精卵となり、命が始まります(写真、もしくはイラストで見た目の様子や大きさを伝える)。

命の始まり方はメダカと同じなんだね。だけど、母親の体内で育つ点は違うね。体内でどのように育っていくのかな。

指導のポイント

命が受精卵から始まることを伝えることで、メダカと関係付けて考えるようになり、共通性・多様性の見方を働かせながら学ぶことができるようにします。また、写真で見た目の様子や大きさの情報を伝えることで、姿形の違うヒトとメダカが最初はどちらも球形であることや、メダカよりはるかに大きくなるヒトは、受精の段階ではメダカより小さいことに気付くことができます。そこから問題を醸成していくようにします。

問題
ヒトは母親の体内で、どのように育って誕生するのだろうか。

予想
予想をもつ。

ヒト・メダカの受精卵~誕生までの推移(イラスト)
クリックすると別ウィンドウで開きます

受精卵の写真(イラスト)と、生まれたての赤ちゃんの写真(イラスト) を提示し、その間にどのような成長があるのかを絵や文章・言葉で予想を表現できるようにしましょう。それを伝え合うことで、今後、調べたいことを焦点化しやすくなります。
メダカの受精卵の育ちのイラストを並べて掲示すると、比較したり関係付けたりして考えやすくなります。

解決方法の立案

メダカと違って、母親の体内で育つから観察は難しいね。図鑑やインターネットなどを使って調べよう。

保健室の先生が詳しい情報をもっているかもしれないね。

調べ学習と考察
調べてわかったことをまとめて交流し、考察する。

結論
ヒトは、子宮の中で母親から養分などをもらって育ち、受精後約38週間で誕生する。メダカは卵の中の養分を使って成長するが、ヒトは母親から養分を受け取って育つ。ヒトもメダカのように受精卵から少しずつ体の形ができていく。

→ ヒトもメダカも、子が親になり、また、子を産むことで命が受け継がれていく。

共通性・多様性の見方を働かせたり、生命を尊重する態度を育んだりするためのポイント

本単元で対象となるヒトの母体内での成長は、直接観察することが難しい単元ですが、これまでに学習した「メダカの誕生」で学んだ魚の卵の成長と関係付けて捉えられるようにすることで、共通性・多様性の見方を働かせやすくなります。ヒトも他の生物と同様に子が親になり、また、子を産むことによって生命を受け継いでいることに気付けるようにし、子供自身も長きにわたって受け継がれてきた命であることを捉えられるようにすることも大切です。


イラスト/高橋正輝、横井智美

『教育技術 小五小六』2020年1月号より

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